祈祷会「ウェストミンスター小教理問答」の学び(1)   2019/04/03

「私は神のご計画のすべてを、余すところなくあなたがたに知らせたからです。」
使徒20章27節

(1)教理を学ぶということ
 今日から水曜の祈祷会では「ウェストミンスター小教理問答」という書物を通して、教理の学びを始めます。私たちの教会ではかつて2007年の3月から2010年2月まで、全107問の問答を一通り学んだことがありました。それから約10年ぶりですが、新たな思いで学びに取り組んでいただきたいと願っています。
 いつも繰り返し申し上げているとおり、私たちの教会は聖書を学ぶことと、教理を学ぶことを大切にしています。教理の学びは、私たちが聖書をよりよく知るためのガイドブックを手にするようなものです。聖書を通して示された神さまの救いのご計画の全体をよく受け取り、それによって救いの喜びの中を生きることができるのです。また教理の学びは、私たちの信仰の足腰を鍛えるトレーニングのようなものです。渡辺信夫先生はこれを「修練」、「エクササイズ」と言われます。プロのスポーツ選手が毎日、地味で地道なトレーニングを重ねているように、私たちも信仰の馳せ場を終わりまで走り抜くための修練を怠りなく続けたいと思うのです。また教理の学びは、骨を強くするカルシウム補給のようなものです。信仰の骨粗鬆症に陥らないために、日頃からよく教理の栄養を蓄えて、骨太な信仰を形作っていきたいと願うのです。
 その意味で、教理の学びは反復が大切です。一度学んで終わりというのでなく、何度も繰り返し学んで「身に着ける」ことが重要です。私たちはこれまで祈祷会や夕拝で「使徒信条」を学び、「ニカイア信条」を学び、ハイデルベルク信仰問答」を学び、「バルメン宣言」を学び、「親と子のカテキズム」を学び、「同盟教団信仰告白」を学んで来ました。こうした学びはともすると堅く、難しく、味気ないものと思われますが、私たちが信仰を身に着けるためにもっとも相応しい営みであると言えるのです。

(2)ウェストミンスター神学者会議の歴史
 ウェストミンスター小教理問答は、17世紀英国イングランドのピューリタン革命の最中、1643年から1649年にかけて開催された「ウェストミンスター神学者会議」が生み出した文書の中の一つです。当時の英国はイングランド、アイルランド、スコットランドという別々の国であり、その関係もなかなか複雑なものがありました。
 当時、イングランド国内は国王チャールズ一世率いる王党派と議会派が対立して内戦状態にあり、国王の圧政に与する国教会と対立する議会派は、聖書に立った正しい教会の改革を願って国内の神学者たちを招集し、ロンドンのウェストミンスター大聖堂において五年以上の会議を続けていったのです。この会議に集うことは国王と国教会に反旗を翻すことを意味するため、まさにいのちがけの会議であったと言われます。
 また当時、独立した王国であったスコットランド国内でも国王と議会の対立が続き、ジョン・ノックス以来改革派の伝統にあったスコットランド教会がイングランド国王の圧力の中でカトリックへの転向を要求されるようになったため、これに反対して抵抗する人々が立ち上がって内戦が勃発していました。このような状況下で英国の議会派がスコットランドの抵抗グループに同盟関係を結ぶことを求め、「厳粛な同盟と盟約」(Solemn League and Covenant)が結ばれます。この結果、当初イングランドの改革のために始まった神学者会議は、イングランド、スコットランド、アイルランドの一致した信仰の基準作成が大きな課題となり、三つの王国の信仰、教会政治、礼拝、教理教育の一致が目指されることとなりました。こうして神学者会議にスコットランド教会からの特命委員が派遣され、これらの諸文書の作成に携わるようになっていったのです。
 これらの経緯を辿って作り上げられたのが諸文書のうち、教会の信仰について定められた文書が「ウェストミンスター信仰基準」(Westminster Standards)と呼ばれるものです。信仰基準は三つの文書からなり、一つ目は聖書に基づく教会の信仰を記した「信仰告白」(Confession of Faith)、二つ目は、それを信徒たちに教えるための牧師の教科書、あるいは信仰告白の注解のような役割を果たす「大教理問答」(Larger Catechism)、そして三つ目が実際の教会員たちのための教材として用いられる「小教理問答」(Shorter Catechism)です。このように、私たちが今日から学ぶ小教理問答は、実際に教会員たちが繰り返し学び続けるために用いられてきたものです。また神学者会議はこれらに加えて教会政治の要綱や公的礼拝の指針など、実際に教会が建て上げられていくために必要な諸文書を作り出していきました。

(3)ウェストミンスター小教理問答について
 こうして出来上がったウェストミンスター信仰基準のうち、最も良く用いられたのは小教理問答で、欧米の長老主義の教会で広く用いられています。日本でも1873年(明治6年)に「耶蘇教略問答」という名で最初の日本語訳が出版されて以後、数多くの翻訳が出され、今日まで広く普及して多くの教会で用いられており、特に日本基督改革派教会や日本長老教会では正式に教派の信条とされています。今回は、もっとも新しい日本語訳である袴田康裕先生訳の「ウェストミンスター小教理問答」(教文館、2015年)を用います。
 ウェストミンスター小教理問答は、一読すると分かるように、とても論理的にできています。そこからしばしば「固い」、「冷ややか」、「難しい」という印象を持たれることがあります。しかし丁寧に読み進めていくと、神さまの救いの御心の全体を聖書に聞き、教会が信仰の確立のために辿ってきた神学の道筋がよく明らかにされるよう、実に行き届いた言葉と表現が使われていることが分かります。また教育的な意図として「答え」を繰り返し覚えることが期待されており、実際に「答え」だけを読んでも内容がよく分かるとように工夫されています。
 全107問からなる内容は、有名な第1問で人間の目的、第2問で人間の規範としての聖書、第3問で聖書が主に教えることとして「人間が神について信じなければならないこと」と「神は人間にどのような義務を求めておられるか」が示されます。そしてこの第3問の「人が神について何を信じなければならないか」が教理篇として第4問から第38問で記され、「神は人にどんな義務を求めておられるか」が実践篇として第39問から第107問で記されます。すなわち神の存在と業(第4問〜第12問)、人間の堕落と罪(第13問〜第19問)、御子イエス・キリストによる贖い(第20問〜第28問)、聖霊による救いの適用 (第29問〜第38問)が教理篇ということになり、十戒(第39問〜第81問)、人間の罪の現実と命に至る悔い改め(第82問〜87問)、恵みの手段としての御言葉と聖礼典(第87問〜第97問)、主の祈り(第98問〜第107問)が実践篇ということになるのです

 

 



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