テモテへの手紙一講解その22    2019/05/26
『しかし、神の人よ』

Iテモテ6:11-16

 いよいよテモテの手紙第一も終わりが近づいて来ました。今晩は使徒パウロがあらためてテモテに対して「神の人よ」と呼びかける言葉を通して、私たちの追い求めていくべきキリスト者の完成の姿を見つめてまいりたいと思います。

(1)追い求めよ、獲得せよ
 11節。「しかし、神の人よ。あなたはこれらのことを避け、義と敬虔と信仰、愛と忍耐と柔和を追い求めなさい」。6章3節以下で、エペソ教会を混乱に陥れていた偽教師たちの本質を語ってきたパウロは、そこから翻ると、伝道者テモテに向けて「しかし、神に人よ」と呼びかけ、神に召され、教会に仕える者とされた「神の人」としての生き方と、その追い求めるべき方向を指し示します。そこで追い求めるべきもの。それらは「義と敬虔と信仰」、そして「愛と忍耐と柔和」です。ここでは追い求めるべき神の人としての徳目、品性がそれぞれ三つずつ二セット挙げられています。まずこれらのリストから見えてくるのは、それが10節の「ある人たちは金銭を追い求めたために、信仰から迷い出て、多くの苦痛で自分を刺し貫きました」と言われたことと全く対照的な姿です。「神にも富にも仕えることはできない」とかつて主イエスが言われたように、これらは全く真逆の方向性にあるものなのだということです。先日、アジアの国々で奉仕されている二組の牧師夫妻といっしょにお会いする機会がありました。そこで最近アジアの各地で大きな影響を与えつつある「繁栄の神学」の問題を知らされました。物質的な繁栄や金銭的な祝福イコール神の祝福、貧しさは罪というあまりに露骨な主張なのですが、その影響が各地に広がっているというのです。しかしここではっきりと語られている、私たち追い求めるものと、その方向性を確認しておきたいと思います。私たちが追い求めるのは「義と敬虔と信仰」という主なる神への姿勢と、「愛と忍耐と柔和」という、前者のセットによって生きる者の内に造り上げられていく愛の実り、御霊の実りなのです。
 さらに12節前半。「信仰の戦いを立派に戦い、永遠のいのちを獲得しなさい。あなたはこのために召され、多くの証人たちの前ですばらしい告白をしました」。「追い求めよ」と語ったパウロはそこからさらに踏み込んで「戦い、獲得せよ」と号令を掛けます。なぜなら地上の生における「義と敬虔と信仰」、「愛と忍耐と柔和」の追求が、単に地上の事柄にのみ終始するのではなく、「永遠のいのち」に関わるものだからです。信仰の世界は受動態の世界であると常々学んでいますが、しかし一方で、聖書がこれほどまでに語る「追求」、「闘争」、「獲得」の持つ響きをも、私たちはしっかりと受けとめておかなければならないと思うのです。

(2)告白に生きる
 12節後半から14節。「あなたはこのために召され、多くの証人たちの前ですばらしい告白をしました。私は、すべてのものにいのちを与えてくださる神の御前で、また、ポンティオ・ピラトに対してすばらしい告白をもって証しをされたキリスト・イエスの御前で、あなたに命じます。私たちの主イエス・キリストの現れの時まで、あなたは汚れなく、非難されるところなく、命令を守りなさい」。
 「あなたはこのために召され、多くの証人たちの前ですばらしい告白をしました」とは何を意味するのでしょうか。聖書が「召し」という時、そこでは「救い」を意味する時と、「務めへの召し」を意味する時とがあります。前者で言えば、テモテが救われた時になした信仰の告白、後者で言えば、テモテが伝道者として召された時の召命の告白ということになるでしょう。いずれにしてもここにはテモテの神の人としての原点が確認されています。いつもここから考える。立ち戻って始める原点。それが「多くの証人の前」と「すべてのものにいのちを与えてくださる神の御前」と「ポンティオ・ピラトに対してすばらしい告白をもって証しをされたキリスト・イエスの御前」だというのです。救われた者、召された者、神の人とされた者の生き方が、どのようなものであるか。その本質が表されていると言えるでしょう。

(3)しかし、神の人よ
 こうして神の人としての生きる方向と、その生き様を語ったパウロの言葉は、そのまま神への圧倒的な賛美、頌栄、祈りへと変わっていきます。15節、16節。「キリストの現れを、定められた時にもたらしてくださる、祝福に満ちた唯一の主権者、王の王、主の主、死ぬことがない唯一の方、近づくこともできない光の中に住まわれ、人間がだれ一人見たことがなく、見ることもできない方。この方に誉れと永遠の支配がありますように、アーメン」。
 実にスケールの大きな祈りです。地上にあって生きる私たちが仰ぎ見るお方、待ち望むお方、信じ従うお方は実にこれほどのお方なのだということ。そのような神の偉大さと豊かさを思えば、金銭を追い求めるなどということがいかにつまらない、ちっぽけなものかが分かってきます。神の人として私たちが追い求めて生きる地上の生は、これほどに偉大で、豊かで、恵みと祝福に満ちあふれた神によってむしろ導かれ、促され、招き入れられていく歩みでもある。この祝福の生を今晩、しっかりと受け取って「神の人」としての生を全うさせていただきたいと願います。

 



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