テモテへの手紙一講解その11    2019/01/13
『生ける神の教会』

Iテモテ3:14-16

 夕拝ではテモテへの手紙第一を読み進めています。今日で3章を読み終えることになりますが、ご一緒にパウロの語る「生ける神の教会」の姿に教えられてまいりましょう。

(1)教会の現実と神学
 3章で教会に立てられている監督の務め、執事の務めについて語ってきたパウロは、ここで改めて、これらのことを語る意図を確認しています。14節、15節。「私は、近いうちにあなたのところに行きたいと思いながら、これらのことを書いています。たとえ遅くなった場合でも、神の家でどのように行動すべきかを、あなたに知っておいてもらうためです。神の家とは、真理の柱と土台である、生ける神の教会のことです」。若き伝道者テモテが教会でどのように行動すべきかを知っておいてもらいたい。まさに本書が「牧会書簡」と呼ばれる所以が明らかにされていると言えるでしょう。
 ここでのパウロの論の進め方によく目を留めておきたいと思います.パウロはここで教会に牧会のことを論じながら、具体的な事柄と本質的な事柄の両者に良く目配りをしていることが分かります。教会に仕えることはまさに日々の具体的な事柄ですから、抽象的な論じ方だけでは十分とは言えません。かといって具体的なことが論じられるだけで、その背後に控える神学、教会論が明らかにされなければ、事柄の本質を捉えた奉仕にはなりません。そのどちらもが十分に明らかにされる必要があるのです。
 先週の月曜日から水曜日までお休みをいただいて、高知、宿毛に恩師の牧田吉和先生をお訪ねしてきました。高知空港から車で約3時間、土佐の西南端にある小さな町の教会で奉仕される先生ご夫妻のもとで、実に充実した三日間を過ごさせていただいたのですが、教会に着くなり先生の書斎に通されて、そこで先に上梓した『教会に生きる喜び』を巡る対話の時を持ってくださいました。そこで先生から受けた幾つかの示唆の中に、「次は、この書物で論じられている事柄の背後にある神学的な事柄を明らかにする必要がある」と指摘がありました。「この本の良い所は、教会の様々な事柄が具体的に、日常のこととして記されている点にあるが、その背後にどのような神学的思考が動いているかを明らかにすることで、より益するものになるだろう」と仰ってくださったのです。事柄の背後に控える教会の神学の重要性を教えられたことでした。

(2)生ける神の教会
 パウロがここで「たとえ遅くなった場合でも、神の家でどのように行動すべきかを、あなたに知っておいてもらうためです。神の家とは、真理の柱と土台である、生ける神の教会のことです」と、教会を「神の家」、「真理の柱と土台である、生ける神の教会」と言うのも、教会についての神学的な理解を明らかにする論じ方と言えるでしょう。
 教会を「家」、「建物」のイメージで表現する例として、一コリント3章11節やエペソ3章20節、一ペテロ2章4節などがありますが、これらの箇所と今日の御言葉を読み比べてみると、幾つかの気づきを得ることができます。一コリント3章11節では「土台とはイエス・キリストです」と言われ、エペソ2章20節では「使徒たちや預言者たちという土台の上に建てられていて、キリスト・イエスご自身がその要の石です」と言われ、一ペテロ2章4節、5節では「主は、人には捨てられたが神には選ばれた、尊い生ける石です。あなたがた自身も生ける石として霊の家に築き上げられ・・・」と言われます。これに対して今日のテモテの手紙では「神の家とは、真理の柱と土台である、生ける神の教会のこと」と言われるのです。キリストが土台、要の石、あるいは使徒と預言者という福音が土台という論じ方と、教会が土台、柱だという論じ方の違いとまとめられるでしょう。
 15節で「土台」と訳される言葉は、新約聖書中ここでのみ用いられ、「支え・砦・防波堤」などの意味を持つ言葉です。それと「柱」がセットで用いられている意図を考えてみると、キリストを土台、福音を土台として建つ教会が、そのキリストを支え、守る役割を果たしているということでもあるのです。教会がキリストによって立つのはもちろんのこと、その一方で地上の教会が、その営みによってキリストの教会を支え、建てていく。その具体的な現れが、教会の奉仕であり、職務であり、それによって担われる一つ一つの教会の現実なのです。

(3)敬虔の奥義
 このような教会の姿の中に、敬虔の奥義が現れるとパウロは言います。16節。「だれもが認めるように、この敬虔の奥義は偉大です。『キリストは肉において現れ、霊において義とされ、御使いたちに見られ、諸国の民の間で宣べ伝えられ、世界中で信じられ、栄光のうちに上げられた』」。こうして当時の教会の典礼、礼拝で歌われていたであろう賛美の言葉を引きながら、教会がキリストの奥義の現れとして表現されているのです。
 ここではキリストの受肉から始まり、復活と死への勝利、そしてその栄光が御使いたちにまで知れ渡り、諸国民の間に宣教されるという壮大な福音宣教と、全地の主としてのキリスト賛歌が歌われています。 この「諸国民の間に宣べ伝えられ、世界中で信じられ、栄光のうちに上げられた」キリストこそが、教会の保ち守るべき真理であり、敬虔の奥義だというのです。教会はこのキリストの事実を出発点とするばかりでなく、このキリストの事実に生きる群れです。ですから、栄光の主をかしらと仰ぎ、このキリストの福音を全世界に宣べ伝えて行くところにこそ、敬虔の奥義を担い、伝える、生ける神の教会の姿があるのです。

 



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