使徒信条講解20
『キリストの着座』

「神は、その全能の力をキリストのうちに働かせて、キリストを死者の中からよみがえらせ、天上においてご自分の右の座に着かせて、すべての支配、権威、権力、主権の上に、また、今の世ばかりでなく、次に来る世においてもとなえられる、すべての名の上に高く置かれました。」エペソ1章20−21節


(1)キリストの着座の教え
キリストの十字架と復活が分かち難く結びついている事柄であるのと同様に、キリストの昇天と着座もまた切り離して考えることのできないほどに関わりの深い教えです。冒頭の御言葉でパウロが「神は、その全能の力をキリストのうちに働かせて、キリストを死者の中からよみがえらせ、天上においてご自分の右の座に着かせて・・・」と語る通りです。また使徒の働き7章で殉教するステパノが「人の子が神の右にいる」と天の幻を見たという記録も、天におけるキリストの姿を指し示していると言えるのです。
 さて「神の右に座す」という表現には、王からゆだねられた権威を行使する行政官、首相のような姿がイメージされていると言われます。たとえば新約聖書にしばしば引用される詩篇110篇には次のようにあります。「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまでは、わたしの右の座に着いていよ」(詩篇110:1)。そして天に挙げられたキリストと、この詩篇が表現する王の権威をゆだねられたメシヤのイメージが、ここに一つに結び合わされているのです。
 著名な新約学者クランフィールドは、この所を解説して次のように言いました。「この節が他のどのような旧約聖書の節よりも頻繁に新約聖書中に引用され反映しているという事実、ならびに教会の最初期の信条は『イエスは主である』であったと思われる事実は、最初期の教会の信仰の焦点が天に挙げられたキリストの現在の主権であったことを示すのである」。この指摘の中で、特に「キリストの着座の教理が天に挙げられたキリストの現在の主権を示す」という指摘の重要さを心に留めておきたいと思います。確かに使徒信条もこの「座したまえり」の原文はラテン語、ギリシャ語いずれの場合も現在形の時制を用いています。これは天において、今、キリストの支配と統治があると言っているのです。ジュネーヴ教会信仰問答の第80問には次のようにあります。「問:あなたが『父の右に座したもうなり』と言うのは何の意味ですか。答:この言葉は彼にすべてを治めさせるために、御父が天と地の主権を委ねたもうたことを表します」。またハイデルベルク信仰問答の第50問は次のように言います。「問:なぜ『神の右に座したまえり』と付け加えるのですか。答:なぜなら、キリストが天に昇られたのは、そこにおいてご自身がキリスト教会のかしらであることをお示しになるためであり、この方によって御父は万物を統治なさるからです」。十字架の苦難を経て栄光の中に天に挙げられた主イエス・キリストを、天の父なる神は「天上においてご自分の右の座に着かせて、すべての支配、権威、権力、主権の上に、また今の世ばかりでなく、後に来る世においてもとなえられる、すべての名の上に高く置かれました」。このようにキリストの着座の教えは、天と地のすべての上に今働いておられるキリストの主権の偉大さとその確かさを私たちに教えているのです。
(2)キリストの着座の意義
では、天におられるキリストの主権は、今この地上においてどのように働くのでしょうか。通常、キリストの御業は「預言者、祭司、王」の三つの職務によって果たされると教えられますが、これは地上における御生涯だけでなく、天においてもまた果たされます。ですからここではこの挙げられたキリストの天の座における働きをもこの預言者、祭司、王という三つの職務から考えておくことが相応しいのです。
 まず挙げられたキリストは預言者として、ご自身の群れである教会を通して、御言葉と御霊をもって、とりわけ御言葉の説教と聖礼典を通してこの地にご自身の御心を示し、御言葉によってご自身の群れを導かれます。またキリストは祭司として神の右の座にあって、御霊のうめきとともに弱い私たちのために私たちのためにとりなしをしていて下さるのです。そしてキリストは王として今、ご自身の御言葉と御霊を通して、この地を隅々までご自身の力ある御手によって統べ治めておられるのです。
 この預言者、祭司、そして王なるキリストが、この地上において働くための器官として生み出されたのがキリスト教会であると御言葉は教えます。そしてさらにエペソ書においてパウロは「神は、いっさいのものをキリストの足の下に従わせ、いっさいのものの上に立つかしらであるキリストを、教会にお与えになりました。教会はキリストのからだであり、いっさいのものをいっさいのものによって満たす方の満ちておられるところです」と語るのです。挙げられたキリスト、すなわち教会のかしらなるキリストの主権が、今、ご自身のからだなる教会を通して行使されている。この自覚の中に立つ時に、教会は目覚めてこの主イエス・キリストの使命に生きることの自覚を促されるのです。全世界の主が我らの主である。この確信に立って、恵み深い主の御心をこの地にもたらす者でありたいと願います。




日本同盟基督教団 徳丸町キリスト教会
〒175−0083
東京都板橋区徳丸6−24−10
TEL 03−3935−3405
FAX 03−3935−3445

メールでのお問い合わせ
管理人


Copyritht ©The Evangelical Alliance Mission Tokumarucho Christ Church All Rights Reserved.