使徒信条講解07
『父なる神を信ず』

「わたしは、わたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神のもとに上る」。ヨハネ20章17節


(1)父、子、聖霊を信ず
 使徒信条は全体で大きく三つの項目から成り立っており、それらは父、子、御霊の三位一体の神についての告白となっています。第一項では父なる神について告白され、第二項では御子イエス・キリストの人格と御業について告白され、そして第三項では聖霊なる神の御業として教会、罪の赦し、よみがえり、永遠のいのちについての告白が続くのです。 さて、このような三一論的な定式がいつ頃からどのような経緯を経て教会の中で成立していったかは、それだけで膨大な研究がなされていますが、結論的に申し上げるならば、古代教会においてまず成立した信仰告白は「イエスは主である」という一項目型であったということです(Iコリント12・3、ローマ10・9、ピリピ2・11)。これに創造主である父なる神への告白が加わった二項目型が生まれ(Iテモテ6・13、IIテモテ4・1、Iペテロ1・21)、そして信仰告白の場が教会の洗礼に据えられる経緯の中で、三位一体の神の御名において施される洗礼の場において告白される信仰告白にも、その神への告白が求められるという事情から、聖霊の神への告白が加わった三項目型が生まれていったと考えられています(IIコリント13・13、Iペテロ1・2)。このように、新約聖書の中にもすでに三一論的な信仰の表現を見いだすことが出来ますが、しかし基本的に使徒信条を含めて信仰告白の言葉の中心にあるのは、絶えず「主イエス・キリスト」への告白であるということになるのです。

(2)御子と御霊の父
 以上のような使徒信条の持つ三位一体論的な構造を踏まえてた上で、使徒信条の第一項において「父なる神を信ず」と告白される時、私たちはこの「父」ということをあくまでも三位一体における父としてとらえることが必要です。つまり「父なる神を信ず」と言う時の父とは、まず何よりも主イエス・キリストの父であり、聖霊の父であられるということなのです。三位一体論はキリスト教信仰の主要な教理であり、父と子と聖霊が三つで一つであるという奥義的な教えです。しかしながら、このことは父・子・聖霊なる神が、その存在の独自な在り方においては三つでありつつ、しかもなお一つであり、またその私たちに対する働きかけにおいても固有な職務を果たしつつなお一つの御心を成し遂げて下さることにおいて絶えず完全な調和と交わりがあることを意味しているのです。
 ですから私たちは使徒信条全体を通して三位一体の神への信仰を告白しつつ、この第一項において父なる神への信仰を言い表す時、これは決して三つの神のうちの第一の神についてのみ告白しているではなく、絶えずその全体との関わりで、父なる神に向かいながらそこで父・子・聖霊の三一の神を告白しているのだということを覚えておきたいと思うのです。その時に、私たちは次回以降に学ぶ第二項の御子イエス・キリストについての告白を「そのひとり子」として始めることができるのであり、御父が愛したもう御子イエス・キリストのご人格とその御業について、父なる神の御愛を背景にして学び取ることができるのであって、それと同じようにして第三項の聖霊についての告白にもまた進むことができるのです。

(3)私たちの父なる神
このようにして「父なる神」をまず「主イエス・キリストの父」としてとらえる時、私たちはこのイエス・キリストの父なる神を「わたしの父」としても呼ぶことがゆるされます。神の子としての特権ある身分が与えられ、おそれおののきつつ、しかも大胆に、自由に神を「父よ」と呼ぶことができるのは、御子イエス・キリストが私たちの救いを成し遂げるために十字架と復活を通してその贖いの業を全うして下さり、聖霊なる神がその救いの恵みを私たちに当てはめて、この主イエス・キリストを通して神を信じる信仰を起こして下さったからに他なりません。こうして聖霊により主イエス・キリストの贖いの御業を通して父なる神の子とされる特権を与えられた私たちは、そこにおいて始めて主イエス・キリストの父なる神を、また私の父なる神として信じ、呼び求めることができるようにされているのです。ですから冒頭のヨハネ福音書で復活の主イエスが「わたしはわたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神」と仰っておられるのも、この消息において明らかになるでしょう。
 主イエス・キリストの父なる神をわたしの神とお呼びすることができる。これが救いの中に入れられた者たちの最も麗しく誇らしい姿なのです。「我は天地の造り主、全能の父なる神を信ず」。改めてこの告白を口にする時、天地の造り主、全能の神が、同時に父としてあられることに驚きを禁じ得ません。しかしこの神の遠大さが御子イエス・キリストの贖いと聖霊のお働きによって私たちへの身近さとなる時、そこにおいてまことの神信仰は私たちのうちで愛に基づく生きた信仰の認識を生み出し、真実な告白を生み出すのです。今、私たちのうちに確かに内住したもう聖霊の神の促しに従い、天に挙げられたキリストの執り成しを通して、神を「父よ」と呼びまつる光栄と幸いにあずかる私たちでありたいと願います。




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