使徒信条講解06
『全能の神』                               

「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前を歩み、全き者であれ。」創世記17章1節。


(1)全能の神、契約の神
 今回は「全能の神」という告白について考えたいと思います。旧約聖書で「全能の神」は「エル・シャッダイ」という言葉ですが、この表現が用いられる箇所で特に重要なのは、冒頭に記した創世記17章1節と次の出エジプト6章3節です。「わたしは、アブラハム、イサク、ヤコブに、全能の神として現れたが、主という名では、わたしを彼らに知らせなかった」。これらの箇所で共通しているのは、全能の神が、アブラハム、イサク、ヤコブとの間に立てられた約束に忠実であられる「契約の神」であるということです。
 そもそも「全能」という言葉には、何でもおできになる、またそれをなすために必要なあらゆる権威や力を持っておられる、という意味がありますが、しかし聖書において示される主なる神の御性質としての「全能」は、そのような全く無制限で圧倒的な力の概念というよりは、そこにある一定の方向性を持った意志的な働きを意味しています。すなわちそれは、主なる神御自身が人間との間に結ばれた救いの契約に基づいて、その契約を成就させるために働かれる御力、そして、その恵みの契約の当事者である私たちに対して、今この時にも働かれる神の御力なのです。ここにおいて私達はこのお方を真に全能の神と告白することができるのです。宗教改革者カルヴァンは創世記の注解の中で次のように解説しています。「この(全能という)語によってあたかも神御自らはアブラムを守るに十分な力を持つ、と宣言しておられるかのようである。私たちは世界の中で私たちの救いに逆らういかなることが起ころうとも、ただ神の守りだけで十分であると確信し、それによって私たちの信仰は堅く立つのである。それゆえ神は御自身のうちに抑えられ、隠されてある御力を誇りたまわず、その子たちに向けて顕わされる御力をこそ誇りたもう。従って、この全能の神という言葉のうちには約束が含まれているのである」。
 このようにカルヴァンは神の全能の力がその「子たちに向けて」恵みの約束の成就として「顕わされる」ゆえに、「この言葉のうちには約束が含まれている」と語りました。それゆえに、神の全能の力は、神が愛する者たちの救いのために与えてくださった約束された救い主イエス・キリストにおいて最も鮮やかにあらわされたのです。

(2)主イエスをよみがえらせた神
 神の全能の力は御子イエス・キリストによる救いにおいて示されました。私たちの罪を贖うために御独り子を私たちのもとに遣わし、愛する御子を十字架に架けた神、そして私たちに罪に対する勝利を得させるために愛する御子を死者の中からよみがえらせた神。ここにおいてこそ神は全能の神として告白されるのです。神の全能の力が今、ここに働いているゆえにこの私の救いがあり、こうして今、私は罪赦され、神の子とされて、ここに存在することが許されている。何でもお出来になる神が、その気になれば一言の言葉を持ってこの世界を造ったごとくに、この世界を終わらせることさえお出来になる神が、しかしその御力を持ってこの私を救うために愛する御子をこの地上に遣わし、十字架の死に至らせ、そしてよみがえらせて下さったという事実。それはとてもこの私の小さな頭や心などでは捕らえきれないものですが、しかしそこにおいて全能の神を見上げることをしなければ、「全能の神」という呼び名は空虚な力の概念に過ぎないものとなってしまうのです。
 だからこそ、この「全能の神を信ず」は、その本来の意味から言えば、使徒信条の続く告白「父なる神を信ず」と併せて、「全能の父なる神を信ず」として一気に語らなければならない言葉です。使徒信条の元々の語順は「我信ず、神を、父なる、全能の、」であり、神が全能者であられることに先だって、まずこのお方が私たちの父なる神であることを告白しています。そして私たちがこの神を「全能の神」と告白する時に、この順序が重要な意味を持つのであって、私の父である神こそが全能の神である、という順序を崩してはならないのです。「私の父、私たちの父」という所から切り離されて、神の全能の力はない。私たちは私たちを愛してやまず、私たちを救うためにその御力を用いて働いてくださる全能の神を「わが父よ」と呼ぶことの出来る幸いの中で、この告白の言葉を口にしたいと願うものです。




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