使徒信条講解05
『天地の創造主』                               

「わたしの名で呼ばれるすべての者は、わたしの栄光のために、わたしがこれを創造し、これを形造り、これを造った。」イザヤ43章7節


(1)天地の創造者
 今回は使徒信条が「天地の造り主、全能の父なる神を信ず」と告白する時の、「天地の創造主」であられる「神」について学びたいと思います。
 使徒信条の原点となる初代の信仰告白文の成立の背景には、その当時の最大のキリスト教異端であったグノーシス主義的な二元論があったと言われます。目に見えない精神的なものを善とし、見える物質的なもの悪とするこの思想にあっては、聖書が語るこの世界を創造する神は、神的な存在の中でも低い所に位置する下等な存在とされていました。そのような異端思想のはびこる当時の状況に向かって、使徒信条が「天と地の造り主なる神を信ず」を告白することの意義は実にチャレンジングなものであったと言わなければなりません。
 しかしこのグノーシス的な二元論は、様々に形を変えてはいても依然としてその影響力を残しており、しかも今日の私達の信仰の中にも入り込んでいるのではないでしょうか。霊的なものを善とし、物質的なものを悪とする考え方が、私たち信仰者の価値観の中にも根深く存在しているように思えるのです。しかし私たちとしては、創造主と被造物の関係を取り去った汎神論に陥ってはなりませんし、この被造世界を神格化してもなりませんが、しかしかえって殊更にこれを矮小化したり、卑下したり、過小評価してはならないのです。「私たちとこの世界は被造物に過ぎない」と言う時に、そこにある種の二元論が入り込んでくる余地が生まれるのです。

(2)栄光の劇場
 そこで今日の御言葉に改めて耳を傾けてみましょう。「わたしの名で呼ばれるすべての者は、わたしの栄光のために、わたしがこれを創造し、これを形造り、これを造った」。また詩篇19篇には次のようにあります。「天は神の栄光を語り告げ、大空は御手のわざを告げ知らせる」。このようにこの世界は神の栄光を表しているというのが聖書の持つ被造物理解なのです。宗教改革者カルヴァンは神の絶対的主権と神の栄光を強調した人物として知られますが、しかし同時に彼はこの被造物世界の意義もまた積極的・肯定的に強調した人物です。カルヴァンはその主著である「キリスト教綱要」第一篇の創造論の記述の中で次のように語っています。「われわれはこの世界の美しさの極みの劇場において、まのあたりに示され・差し出される、神の御わざから、敬虔な楽しみを受けとることをうとんじてはならない。なぜなら(われわれが他のところで言ったように)、どこへ目を向けようとも、目に見えるすべてのものが、神の御わざであることを心にとめ、また同時に、これらが神によって造られた目的が何であったかを、敬虔な瞑想によって熟考することは自然の秩序からいって、第一番に信仰の証拠になるものだからである」(綱要1.14.20)。このようにカルヴァンは被造世界を「栄光の劇場」と呼んで、その神の御手のもとにある湖の世界の意義を最大限に評価したのです。
 古来、神学の世界においては創造の教えの中で大切な二つのこととして、「無からの創造」と「良き創造」ということが主張されてきました。神が天地を創造されたと告白することは、神は無から有を生み出すことのできる唯一の神であり、私達は決してその神の座に着くことができないという絶対的な違いを教えると同時に、しかしその神が私達とこの世界を良きものとして造ってくださり、この世界を通して御自身の御栄光をあらしてくださっていることを教えるものでもあるのです。

(3)新天新地の回復と更新
 その一方で人間の罪への堕落はこの被造物世界全体をも虚無に服させているとローマ書は語ります(ローマ8:18-25)。このように罪ある人間のみならず、人間とともに虚無に服し呻いているこの世界が待望しているもの、それは主イエス・キリストにある救いなのです。このことは私達自身の救いの理解を大きく広げるものであることに気付かされます。すなわち主イエス・キリストにある救いは単に私一人の、魂の救済の問題に限定されるものではなく、被造物世界全体の救済と回復そして新天新地への更新という宇宙大のものであることを捕らえるべきでしょう。そういう全被造物の救いと回復、そして更新を目指して今私達は主イエス・キリストの再び来たり給うことを待ち望み、救いの完成の時を待ち望んでいるのです。この待望の中で私達が「天地の造り主を信ず」と告白する時、そこで私達は被造物世界の只中にあって、その呻きを担いつつ、神の御前に立っているのです。その責任を果たしつつ、謙虚な思いで、主イエス・キリストを待ち望みつつこの告白をともに言い表したいと願います。




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