ルツ記講解その12    2018/07/22
『選びの民として生きる』

ルツ4:18-22

 いよいよ今晩でルツ記を読み終えることとなります。4章という短い書物を、約半年かけて読み進めてきましたが、その最後に、エピローグに記された系図を通して、人々の波瀾万丈の人生の中に、しかし真実をもって生きて働かれる神さまのお姿を見つめてまいりましょう。

(1)ボアズの系図
 ルツ記のエピローグは短い系図で締め括りを迎えます。18節から22節。「ペレツの家系は次のとおりである。ペレツの子はヘツロン、ヘツロンの子はラム、ラムの子はアミナダブ、アミナダブの子はナフション、ナフションの子はサルモン、サルモンの子はボアズ、ボアズの子はオベデ、オベデの子はエッサイ、エッサイの子はダビデである」。
 ルツ記という書名、中心的な登場人物たちであったルツとナオミ。彼女たちの波乱に満ちた歩みを記してきた本書の終わりに置かれているのは、意外にもボアズの血筋を示す系図です。聖書には数多くの系図が登場します。創世記の5章以下や、1章から9章までと最も長い一歴代誌などなど。私たちはこのような系図を無味乾燥なものと思い、ついつい読み飛ばしてしまいたくなるのですが、系図をじっくりと読んでみると、そこから様々なメッセージを読み取ることができるのです。
 この短い系図の中にも、いくつか目を留めておきたいポイントがあります。まずこの系図が「ペレツの家系は次のとおり」と言われる点です。ボアズの祖先として挙げられるペレツとはどのような人物だったのでしょうか。前回読んだ12節にも、ボアズとルツの間に生まれた子どもについて、「主がこの若い女を通してあなたに授ける子孫によって、あなたの家が、タマルがユダに産んだペレツの家のようになりますように」と記されています。ペレツの生い立ちは複雑なものでした。創世記38章によれば、ヤコブの四男ユダの長男エルが死に、その妻であったカナン人の女性タマルは弟オナンに嫁ごうとしますが、オナンは彼女とのレビラート婚を拒否する。そこで彼女は策略を働かせて自分のしゅうとユダとの間に子をもうける。そうやって生まれたのがペレツでした。いわくつきの血筋、それがペレツの家系なのです。

(2)サルモンの子ボアズ
 次に、ペレツからヘツロン、ラム、アミナダブ、ナフション、サルモンそしてボアズと繋がる系図ですが、ここにも目を留めたいポイントがあります。ボアズの父親がサルモンと記されますが、では母親は誰か。ここで聖書の系図の中で最も重要なものであるマタイ福音書1章の系図を見てみましょう。3節から6節を新改訳2017でお読みします。「ユダがタマルによってペレツとゼラフを生み。ペレツとゼラフがヘツロンを生み、ヘツロンがアラムを生み、アラムがアミナダブを生み、アミナダブがナフションを生み、ナフションがサルマを生み、サルマがラハブによってボアズを生み、ボアズがルツによってオベデを生み、オベデがエッサイを生み、エッサイがダビデ王を生んだ」。新改訳第三版で3節を読むと「サルモンに、ラハブによってボアズが生まれ」とあります。ボアズの父がサルモン、母がラハブ。このラハブとはヨシュア記6章で、エリコ陥落の時にイスラエルの偵察部隊を匿った遊女ラハブであると考えられています。これについては他に傍証するものがなく、この系図には相当の編集が入っているとする説や、そもそもこの系図は後の時代の創作ではないかとさえ主張する説があるのですが、ともかくもボアズもまたいわく付きの両親のもとに生まれたという歴史が刻まれているのです。

(3)選びの民として生きる
 そしてこの系図の何よりもポイントは、この系図がボアズの後、オベデ、エッサイ、ダビデへと続き、さらに先のマタイ福音書1章の系図が明らかにするように、このダビデの子孫としてイエス・キリストがお生まれになったという事実です。
 エリメレクと二人の息子の相次ぐ死によって、一度は途切れかけたエリメレクとナオミの血筋。しかしそれがボアズとモアブ人ルツとによってかろうじて繋がっていく。ボアズの血筋もまた、一度は途絶えかけたユダの血筋がカナン人タマルの策略の中で保たれ、遊女ラハブを介して繋がっていく。そのような細い線が支えられ、紡がれて、ルツとボアズの出会いが導かれ、そこからダビデが、そしてやがてはイエス・キリストの誕生へと導かれて行く。主なる神さまの導かれる歴史の妙味を覚えます。その渦中にいる人々にとっては、まさか自分の人生のあの別れが、あの出会いが、あの境遇が、あの決断が、まさかこのような意味を持つようになるとはと思うような事柄が、神さまの確かな御手の中では、神さまの大きな御心の実現に向けて用いられていく。まさにルツ記が描き出すのは、そのような神さまの御手の確かさです。
 それとともに、神さまの選びの民の歩みが、まさに神の選びのゆえであるとしか言いようのない仕方で導かれていることをも覚えたいと思います。マタイの系図に出て来る女性たちを見ると、そのことが特に印象付けられるでしょう。タマル、ラハブ、ルツ、ウリヤの妻。彼女たちはいずれも本来ならば、この系図に記されることはなかったはずの人々です。しかしそんな彼女たちが、神の選びの民の歴史の中では、決定的な役割を果たしていくのです。私たちもまた神の選びの民の一人として、このささやかな人生を通して現される神の御業に期待しつつ、日々を生かしていただきたいと願います。

 

 



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