ルツ記講解その11    2018/07/08
『主に仕える人』

ルツ4:13-17

 今年の1月から夕拝でゆっくりと読み進めてきたルツ記も、今晩と次回の残り二回となりました。今晩はルツ記のエピローグの場面から、主なる神さまの真実さと、それに応えて生きる人々の信仰の姿に教えられてまいりましょう。

(1)主に祝福された結婚
 ルツ記の物語は、悲しみから始まって喜びで終わりを迎えようとしています。1章1節から5節のプロローグと、今日の4章の終わりのエピローグを読み比べてみると、そのコントラストの鮮やかさが印象深く私たちの心に響いてきます。13節「こうしてボアズはルツをめとり、彼女は彼の妻となった。彼が彼女のところに入ったとき、主は彼女をみごもらせたので、彼女はひとりの男の子を産んだ」。
 子を与えられる前に夫に先立たれ、しゅうとめの後につき従って、誰も知り合いのいない異国イスラエルにやって来たルツです。しかも彼女はモアブの出身。イスラエルにおいて異国人として生きることが決して容易いものでないことも承知の上で、それでもナオミと生きていくという覚悟と決心をもって彼女はここまで歩んで来ました。ところが今やルツは新しい家族を与えられる。考えられないような幸せを得るのです。誠実で愛と配慮に富んだ信仰の人、しかもエリメレクの親類として買い戻しの権利を持つ贖い手ボアズが夫となり、そしてその結婚の祝福として彼女は念願の男の子を授かったというのです。
 ルツ記には、主なる神さまのお姿は極めて控えめにしか出てきませんでした。それでもポイントごとに、主なる神さまの御手の介入を見て来たわけですが、ここに至ってルツ記は、この一連のストーリーの中で働かれて来た主なる神さまの姿を私たちの前にハッキリと示します。「主は、彼女をみごもらせたので、彼女はひとりの男の子を産んだ」と。まさに1章8節で「主があなたに恵みを賜るように」との祈りが、また2章12節で「主があなたのしたことに報いてくださるように。また、あなたがその翼の下に避け所を求めて来たイスラエルの神、主から、豊かな報いがあるように」との祈りが、ここに至って実現しているのを目の当たりにするのです。

(2)贖い手を与えられた主
 この主なる神さまの恵みに満ちた介入は、ルツに対するものだけではありません。いやむしろルツ記は、この出来事をもっと大きな視点で捉えようとしています。14節から16節前半。「女たちはナオミに言った。『イスラエルで、その名が伝えられるよう、きょう、買い戻す者をあなたに与えて、あなたの跡を絶やさなかった主が、ほめたたえられますように。その子は、あなたを元気づけ、あなたの老後をみとるでしょう。あなたを愛し、七人の息子にもまさるあなたの嫁が、その子を産んだのですから』」。
 「ルツ記」とタイトルが付けられた書物であるのに、この最後の部分を読むと、主人公はほとんどナオミなのではないかと、ちょっと違和感を覚えるほどに、ルツそっちのけでナオミの姿が強調されます。まるでナオミが出産したかのような書き方です。しかし私たちはここで視点を大きく取ることが大切でしょう。確かにルツ記は、ルツの人生、ナオミの人生、ボアズの人生という個別的で具体的な人間たちの姿を追いかけてきていますが、しかしそれによって描き出されているのは、それら一人一人の人生を貫いて紡ぎ出されていく神の民の姿であり、神の契約の真実さなのです。
 「イスラエルで、その名が伝えられるよう、きょう、買い戻す者をあなたに与えて、あなたの跡を絶やさなかった主が、ほめたたえられますように」との賛美は、この視点をもって読んでこそわかるものでしょう。ただナオミのための跡継ぎと言うことを越えて、ルツとボアズに与えられた子どもは、イスラエルの贖い手、あの創世記12章でアブラハムとの間に結ばれた契約からの線が、細く途切れそうになりながらも、それでも繋がって紡がれていく、まさに神の真実な祝福の系図を受け継ぐものなのです。
 その上で「あなたを愛し、七人の息子にもまさるあなたの嫁が・・・」と言われます。「跡継ぎを生んででかした!」と読むと、お嫁さんは子孫を残すための道具か、という批判が聞こえて来そうですが、ここでルツは、ナオミに誠実の愛を尽くし、それゆえにナオミにとっても「七人の息子」という完全な祝福にまさる存在として覚えられているのです。
  
(3)主に仕える人
 16節後半から17節。「ナオミはその子をとり、胸に抱いて、養い育てた。近所の女たちは、『ナオミに男の子が生まれた』と言って、その子に名をつけた。彼女たちは、その名をオベデと呼んだ。オベデはダビデの父エッサイの父である」。こうして生まれた子どもをナオミがことのほか愛し、養い育てた様子が伝わってきます。注解者の中には、16節の記述を、ナオミがこの男の子を養子に迎えたと理解する人もありますが、そこまで考えることは不要でしょう。今の私たちの常識とは違って、当時のユダヤでは一族上げての子育て、家族の形成がなされていったことを思えば、ナオミが強調されたからといってルツの母親の立場が薄れていくように思う必要は無いと思います。
 いずれにしても大切なのは、まさにルツとボアズの結婚によって、エリメレクとナオミの系図が引き継がれていくという事実です。その上で「彼女たちは、その名をオベデと呼んだ」とあります。「オベデ」、小預言書「オバデヤ」と同じ言葉で、その意味は「主に仕える人」です。主に仕えるオベデ。このオベデにやがてエッサイが生まれ、そしてエッサイにダビデが生まれる。最後に学ぶ18節から22節の系図がここで先取りされています。主に仕える。それはオベデ一人のことでなく、まさにエリメレク一族の信仰の姿でした。そういう生きた信仰の姿、それが受け継がれていく姿を、今晩、私たちもまたしっかりと心に刻ませていただきましょう。

 

 



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