ルツ記講解その7    2018/04/22
『あなたがしあわせになるために』

ルツ3:1-5

 今晩からルツ記3章に入ります。ちょうど半ばを折り返し、ルツ記の物語の山場に差し掛かっていくところです。主なる神さまの確かな御手によって導かれて行く人間たちの姿を、ご一緒に御言葉を通して味わってまいりましょう。

(1)積極的に動くナオミ
 落ち穂拾いにいそしむルツが、出かけて行った先の畑で特別の取り計らいを受けたことを知ったナオミは、その背後に「御恵みを惜しまれない主」の特別の計らいを感じ取りました。すなわちその畑の持ち主が亡き夫エリメレクの親戚のボアズであること、彼は買い戻しの権利を持つ者であったこと、そしてボアズのルツに対する取り計らいは、在留異国人でありやもめである彼女への通常の配慮以上のもの、すなわち好意を持ってのことであること、そしてルツもまたボアズに対して好ましい印象を抱いていることなどです。
 ここからナオミは一気に動き出します。これまでの悲しみと苦しみの日々を吹っ切るかのようにして積極的に動き出すナオミの姿をルツ記は次のように描き出すのです。3章1節から4節。「しゅうとめナオミは彼女に言った。『娘よ。あなたがしあわせになるために、身の落ち着く所を私が捜してあげなければならないのではないでしょうか。ところで、あなたが若い女たちといっしょにいた所のあのボアズは、私たちの親戚ではありませんか。ちょうど今夜、あの方は打ち場で大麦をふるい分けようとしています。あなたはからだを洗って、油を塗り、晴れ着をまとい、打ち場に下って行きなさい。しかし、あの方の食事が終わるまで、気づかれないようにしなさい。あの方が寝るとき、その寝る所を見届けてから入って行き、その足のところをまくって、そこに寝なさい。あの方はあなたのすべきことを教えてくれましょう』」。
 この場面、あまり詳しい説明を施すのは少々野暮に感じるほどです。まとめて結論的なことを申し上げるならば、ここでナオミはボアズとルツを結び合わせようとしている。しかも通常の婚姻のための手続き、紹介やお見合いのようなプロセスを経ることをせず、大胆過ぎるほどに、もっと言えばかなりの際どさをともなう方法によって、半ば強引にルツをボアズのもとに送り込もうとするのです。このナオミの行動には様々な評価が下されるでしょう。イスラエルにもこんな婚姻の進め方はないと批判めいた評価がされますし、ルツの出身地であるモアブにもこのようなしきたりはなかったことは、ナオミがルツに事の進め方を逐一教えていることからも明らかです。ですからここでのナオミはあまりにも強引過ぎるのではないかと言われるのも理由のないことではないでしょう。それだけでなくボアズに対しても、ともすれば非常に無礼なことであり、ルツに対しても、もしこの作戦が失敗するようなことになれば、ルツが非常にふしだらな女性、それこそ朝拝で学んだ姦淫の女のようなレッテルを貼られ、最悪の場合、いのちに関わるような仕打ちを受けるかも知れないのです。ですからこれは一種の賭けのような、リスクを伴う提案であったと言えるのです。
(2)従順に従うルツ
 夕方までの大麦の脱穀と篩い分け作業を終え、食事をし、ほろ酔い気分で眠りにつくボアズの寝床に、からだを洗い、油を塗り、晴れ着をまとってそっと忍び込み、足元をめくってそこに寝るという振る舞いは、非常にきわどい行動です。「そんなことはできません。そうまでして再婚したいとは思いません」と断ることもできたルツです。しかし5節。「ルツはしゅうとめに言った。『私におっしゃることはみないたします』」。
 ルツ記を読むと、ルツという女性はいかにも純真、純朴、素朴、まだあどけなさの残る、それこそまだ男性を知らない処女マリアのようなイメージを抱きます。しかし実際にはルツも既婚者で、夫ともにそれなりの年月を過ごして来た女性ですから、このナオミの提案が何を意味するか、自分に何をせよと言っているか、そこにどんなリスクが伴うかは、よくよく分かっていたはずです。この従順さと潔さがルツという女性をよく表しています。ルツには、ナオミの自分に対する思いの深さがひしひしと伝わっていたのでしょう。しゅうとめナオミのルツへの思い。それが1節の「娘よ。あなたがしあわせになるために」という言葉に溢れ出ています。ナオミのきわどすぎるほどの大胆さ、批判とリスクを招きかねないほどの、ある人は「策略」とまで言うほどの計画。それがひとえにただただひたすら「あなたがしあわせになるために」という思いから出ていることをルツは受け取っているので、「私におっしゃることはみないたします」と応じたのでしょう。
 ある人は、ナオミがなぜこれほどのきわどい方法をとってルツをボアズのもとに送り込むようなことをしたのか、正面切ってボアズに会いに行き、嫁の縁談話を進めることもできたのではないかと疑問を呈します。ボアズの酒の力や一時盛り上がる欲望を利用しようとしたのではないか、後々ボアズが断れないような既成事実を作ってルツを無理矢理妻に迎えさせようと仕向けたのではないか。そんなことまで考えるのです。しかしナオミを動かしているのはひたすらルツのしあわせを願う思いです。ナオミはボアズが買い戻しの権利を持つ親類であることを知り、もしそのボアズにルツの縁談を持っていけば、それはナオミが自分とエリメレクの血筋を絶やさないための結婚、すなわちルツのしあわせのためでなくナオミのための結婚のようになってしまうことを避けたかったのではないかと思います。それこそナオミにとっては自分のための策略になってしまう。そうでなくて、どこまでもルツのしあわせを願うナオミの思いがルツをもまた動かしていったのでしょう。
 しかもルツは、ただナオミの作戦通り、彼女自身の何の主体性もなく、ただ言いなりになって事を進めているとも思えません。ルツモルツでそのような事情をすべて飲み込んで、自らの決断として進んで行くのです。そう思ってこの箇所を読むと、決してルツの振る舞いはボアズの弱さにつけ込むようにして誘惑をしようとするようなものでなく、むしろ事の背後に働いておられる主なる神にあっての行動であると見ることができます。からだを洗い、油を塗り、着物を着替えるという振る舞いを記すIIサムエル12章20節を読みます。 「するとダビデは地から起き上がり、からだを洗って身に油を塗り、着物を着替えて、主の宮に入り、礼拝をしてから、自分の家へ帰った」。これは礼拝の時の振る舞いです。ボアズのもとに進んで行くルツの姿。それはこのことの背後に働かれる主なる神を畏れての姿と言えるのです。それはナオミの背後にあって神ご自身がルツのしあわせを願っておられることを、ルツもまた受けとめていたことの証しと言えるのではないでしょうか。

 

 



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