ルツ記講解その6   2018/04/15
『御恵みを惜しまれない主』

ルツ2:14-23

 今晩もご一緒にルツ記2章を読み進めます。いよいよルツ記の物語が大きく動き出し始める、そんな場面をともに聖霊に導かれて読み進めてまいりましょう。

(1)配慮するボアズ
 2章に入って、ルツ記の大切な登場人物であるボアズが登場しました。ナオミの亡き夫エリメレクの親戚で、一族の有力者、そして広く寛大な心、清々しさを感じさせるほどの誠実さ、そしてまことに行き届いた愛と配慮の心の持ち主。それがボアズという人の印象でした。このボアズとルツが偶然のように彼の畑で出会う。片や畑の所有者、片やその畑で落ち穂を拾う異国から来たやもめ。本来ならまったく接点のないような二人が出会っていく背後に、私たちは「主の翼の下に避け所」を設けてくださる主なる神さまのお取り計らいを見たのでした。
 そんな二人の距離はさらに近づいて行きます。14節から18節。「食事のとき、ボアズは彼女に言った。『ここに来て、このパンを食べ、あなたのパン切れを酢に浸しなさい。』彼女が刈る者たちのそばにすわったので、彼は炒り麦を彼女に取ってやった。彼女はそれを食べ、十分食べて、余りを残しておいた。彼女が落ち穂を拾い集めようとして立ち上がると、ボアズは若者たちに命じて言った。『あの女には束の間でも穂を拾い集めさせなさい。あの女に恥ずかしい思いをさせてはならない。それだけでなく、あの女のために、束からわざと穂を抜き落としておいて、拾い集めさせなさい。あの女をしかってはいけない。』こうして彼女は、夕方まで畑で落ち穂を拾い集めた。拾ったのを打つと、大麦が一エパほどあった。彼女はそれを持って町に行き、しゅうとめにその拾い集めたのを見せ、また、先に十分食べてから残しておいたのを取り出して、彼女に与えた」。
 前回も学んだように、畑で収穫の際に手許の束から抜け落ちた穂は、後で貧しい人々、やもめや在留異国人たちがそれを拾い集めることができるようにしておくというのが律法の定めでした。自分たちの共同体の中に特別の配慮と保護を必要とする人々がいる。このことをあらかじめ想定して成り立っていた社会の姿がここにあります。その上で、ボアズのルツに対する配慮は、読んですぐに分かるように、それ以上の、まったく破格と言ってよいほどのものでした。畑の所有者の食卓でともに食事を取らせ、畑でもわざわざ彼女のための落ち穂を用意させ、彼女が「恥ずかしい思い」をしないように、また不当な扱いを受けることのないようにと特別に配慮するのです。ボアズはえこひいきではないか。ルツにばかり配慮するのは不公平ではないか。何か下心があるのではないか。そんな勘ぐりはすべきでないでしょう。むしろ私たちはここに分かりやすいほどに明瞭でストレートなボアズのルツに対する好意、いや好意以上の愛情を見ることができるのではないでしょうか。

(2)気づくナオミ
 こうして一日を終えて戻って来たルツを見て、ナオミは驚いたことでしょう。落ち穂拾いで得たとは思えないほどの豊かな物を携えて帰って来たからです。19節。「しゅうとめは彼女に言った。『きょう、どこで落ち穂を拾い集めたのですか。どこで働いたのですか。あなたに目を留めてくださった方に祝福がありますように。』彼女はしゅうとめに自分の働いてきた所のことを告げ、『きょう、私はボアズという名の人の所で働きました』と言った」。 
 このルツの報告を聞いてナオミの中に大事な気づきが起こります。20節。「ナオミは嫁に言った。『生きている者にも、死んだ者にも、御恵みを惜しまれない主が、その方を祝福されますように。』それから、ナオミは彼女に言った。『その方は私たちの近親者で、しかも買い戻しの権利のある私たちの親類のひとりです』」。長年の人生経験を積んだナオミ、しかも主なる神さまを信じて生きてきたナオミだけに、この一連の報告を聞き、とりわけルツがボアズと出会ったという出来事の中に、神さまの御手が働いていることを感じ取ったのでしょう。「その方は私たちの近親者で、しかも買い戻しの権利のある私たちの親類のひとりです」と言うのです。ここにルツ記の最も重要なテーマである「買い戻しの権利」という言葉が出てきます。これが何を意味するかは今後、追って確かめることにしますが、ともかくここでは、ボアズとルツの出会いに込められた意味を彼ら以上にナオミが気づき、受け取っているという事実を覚えたいと思います。
 そして21節から23節。「モアブの女ルツは言った。『その方はまた、「私のところの刈り入れが全部終わるまで、私の若者たちのそばを離れてはいけない」と私におっしゃいました。』ナオミは嫁のルツに言った。『娘よ。あの方のところの若い女たちといっしょに出かけるのは、けっこうなことです。ほかの畑でいじめられなくても済みます。』それで、彼女はボアズのところの若い女たちのそばを離れないで、大麦の刈り入れと小麦の刈り入れの終わるまで、落ち穂を拾い集めた。こうして、彼女はしゅうとめと暮らした」。まだこの出会いが何を意味するのかを十分に気づいていないルツ。彼女以上にすでに主の導きを感じ始めているナオミ。しかしナオミはそのようなそぶりを見せず、ただボアズを信頼して落ち穂拾いに励むように勧め、ルツもそれに従って日々の暮らしを営んでいくのでした。
 
(3)御恵みを惜しまれない主
 ルツ記は短い書物です。今日でちょうど全体の半分、折り返し地点に来て、この後、3章、4章でさらに大きく物語は展開していきます。主なる神さまが前面に出て来ることはありません。むしろ神さまを知らずに読めば、いくつもの偶然の積み重ねの中で、たまたま出会った二人の「運命の物語」のように読めなくもない。しかしルツ記は、むしろナオミ、ルツ、ボアズといった一人一人の生き方、そこでの選択や決断、それを支え、促す価値観の中に、一人一人の人生の中に祝福を注ぎ、それらを通して大きな救いの御心の歴史を動かされる、生きて働く真実なる神さまのお姿を鮮やかに映し出しているのです。
 ナオミはボアズとルツの出会いを知って、「生きている者にも、死んだ者にも、御恵みを惜しまれない主」と告白します。「生きている者」だけでなく、「死んだ者にも」と言うのです。ボアズの存在を通して、彼女は亡き夫エリメレクを思い起こしたことでしょう。主なる神さまが恵みのうちに、エリメレクの親類ボアズとルツとを引き合わせてくださった。この事実に彼女は慰められたに違いありません。そこにも神さまの御恵みが表されています。御恵みを惜しまれない主の御手に支えられて、私たちもまた歩んでまいりましょう。

 

 



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