2020年聖霊降臨節記念主日朝拝説教  2020/05/31
『ことばにならないうめきをもって』

ローマ8:26

 この朝は「聖霊降臨節」、ペンテコステの記念の主日です。主イエス・キリストの復活から五十日後、助け主、慰め主の聖霊がお出でくださり、教会が誕生したことを記念する、キリスト教会にとってはクリスマス、イースターと並ぶ大切な祝いの日です。  
 5月25日に新型コロナウイルス感染にともなう緊急事態宣言が解除され、少しずつ社会が回復に向かって進み始めていますが、私たちも急ぎすぎず、万全を期しながら、共に集う礼拝の再開に向けて祈り備えていこうとしています。そのような中で、今日もそれぞれの場所でささげるペンテコステの礼拝ですが、「あなたがたとともに、あなたがたのうちに」共にいてくださると約束された聖霊の恵みを受け取って、明日から始まる6月へとスタートを切ってまいりましょう。皆さんに主の祝福を祈ります。

(1)ペンテコステの出来事
 聖霊降臨、ペンテコステの出来事が記されるのは使徒の働き2章です。1節から4節をお読みします。「五旬節の日になって、皆が同じ場所に集まっていた。すると天から突然、激しい風が吹いて来たような響きが起こり、彼らが座っていた家全体に響き渡った。また、炎のような舌が分かれて現れ、一人ひとりの上にとどまった。すると皆が聖霊に満たされ、御霊が語らせるままに、他国のいろいろなことばで話し始めた」。
 ペンテコステの出来事は大変不思議な光景ですが、その中でまずこの朝、心に留めたいのが1節の「皆が同じ場所に集まっていた」、44節の「信者となった人々はみな一つになって」、そして47節、「主は毎日、救われる人々を加えて一つにしてくださった」という描写です。東京神学大学の芳賀力先生が「キリスト新聞」に寄稿された文書で、新型コロナウイルスの影響下で共に集まることが難しくなっている教会の現実を踏まえつつ、しかしそもそもの教会のあり方として、この「同じ場所に」、「一つになって」ということの意義を確認しておられます。「新約聖書が教会を特徴づける際に用いるのは、「同じ場所に(エピ・ト・アウトー)」集まるという定型句である。同じ場所に集まることなしには、見える教会は存在しない。人々がみ言葉を聴くために集まり、パンとぶどう酒を分かち合うところ、そこに見える教会がある。そして、この見える教会を通して罪の赦しの福音が伝達される。見えざる教会は見える教会を離れて抽象的に存在するのではない」。
 これは私たちが繰り返し確認しておきたい大事な点です。確かに今は同じ場所に集まることができない。しかしそういうときこそ、教会が何をもって一つになるのかをよく考えたいと思います。そして聖霊なる神さまが「皆が同じ場所に集まっていた」ところで「一人ひとりの上にとどまった」という、この事実をこのペンテコステの朝に深く心に留めたいと思います。

(2)御霊は私たちを助けてくださる
 さて、このことを踏まえてこの朝、ご一緒に聴きたいと願っているのはローマ書8章26節の御言葉です。「同じように御霊も、弱い私たちを助けてくださいます。私たちは、何をどう祈ったらよいか分からないのですが、御霊ご自身が、ことばにならないうめきをもって、とりなしてくださるのです」。私たちの教会ではずっと朝の礼拝でローマ書を読み進めておりますので、すでにこの8章も学んだところです。しかし改めてこのペンテコステの朝に、この御言葉に聴いておきたいと願っています。それは聖霊について学ぶにあたって相応しい御言葉であるのはもちろんのこと、特にこの時期、様々な意味で社会全体も危機の時を過ごし、また教会も今まで経験したことのないような日々を送ってくる中で、それぞれ疲れも覚え、心配も募り、普段使わなかった様々な神経を使い、身体も緊張をして強ばり、自分で自覚している以上に恐らく心にも身体にも霊性においても様々な影響を受けているであろう皆さんに、今日、主が与えてくださるこの御言葉が必要だと思うからです。
 「御霊も、弱い私たちを助けてくださいます」。聖霊は「助け主」、「慰め主」と言われます。主イエスはヨハネ福音書14章16節、17節で次のように言われました。「わたしが父にお願いすると、父はもう一人の助け主をお与えくださり、その助け主がいつまでも、あなたがたとともにいるようにしてくださいます。この方は真理の御霊です。世はこの方を見ることも知ることもないので、受け入れることができません。あなたがたは、この方を知っています。この方はあなたがたとともにおられ、また、あなたがたのうちにおられるようになるのです」。また26節でもこう言われます。「しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、わたしがあなたがたに話したすべてのことを思い起こさせてくださいます」。私たちのもとに来てくださった聖霊は、私たちを助け、私たちを教えてくださるお方であり、「あなたがたとともにおられ、あなたがたの内におられる」お方だと言うのです。そしてその事実がもっとも深く、身近に表されるのが、私たちがうめくときに、ともにうめいてくださることにおいてなのです。「同じように御霊も」。これがこのペンテコステの朝に、私たちが心に刻みたい大切なことです。聖霊が弱い私たちを助けてくださる。何をどう祈ったらよいか分からない私たちのために、聖霊ご自身がことばにならないうめきをもってとりなしてくださるというのです。ここで大切なのは「ともに」ということです。
 先週の火曜日の関東宣教区の教師会がありました。4月から新しく赴任された先生もいるのですが、まだ歓迎会もできず、一緒に集まることも難しい中で、オンラインでの教師会でした。実は私はその同時刻にTCIの理事会があったため教師会には参加できなかったのですが、その後、教師会担当の先生から当日の様子を分かち合っていただき、よい交わりになったとうかがいました。そこでは諸教会の新型コロナへの対応、礼拝再開への準備などの情報も分かち合われたそうですが、この間の苦悩を率直に語られた先生もいたそうで、牧師たちも何が正解か分からない中で、教会にとって良いことかを一生懸命模索し、この間の対応で神経をすり減らし、悩みつついることを感じたそうです。でもそういう悩みが分かち合える牧師会であってよかったと思いました。悩みやつらさを口にした途端にあちらこちらからアドバイスや意見が飛んで来たら口をつぐんでしまうだろうと思います。良いか悪いか、正しいか間違っているかはもちろん大事なことですが、しかしそれ以前に私たちが一番欲するのは「ともにうめいてくれる」存在でしょう。
 
(3)ことばにならないうめきをもって
 そうであれば、私たちもこの方の元に行って、心の内を吐き出してよいのだということです。「神さま、疲れました」。「主よ、しんどいです」。「主よ。心配でしょうがありません」。「イエスさま、助けてください」。そういう訴えを率直に主に申し上げ、ともにうめいてくださる聖霊のとりなしによって支えられていく。弱い私を主の前にさらけだして助けを求めていく。そのような私たちの正直な祈りを主にささげたいと願うのです。
 しかしそういう危機の時に、「御霊ご自身が、ことばにならないうめきをもって、とりなしてくださる」というのです。「ことばにならないうめき」というのは、聖霊がうめいている私の姿に困惑し、混乱し、狼狽して、かける言葉もなく私の周囲で同じようにうめいているというのではありません。そうでなくて、聖霊が言葉に表現できないほどの深いうめきをもって、筆舌に尽くしがたいほどうめきをもって、私のためにとりなしていてくださるということです。聖霊は饒舌なお方ではありません。立て板の水のように滑らかに、よどみなく、私たちの苦しみの意味を説き明かしたり、悩みに答えを与えたり、こうすればよい、ああすればよい、それは間違っている、これが正しい、そのようにアドバイスや指図をなさることよりも、むしろほとほと疲れ果ててしまう私たち、祈りの言葉も見当たらず、祈る気力も失せてしまう私たち、何をどう祈ったらよいか分からずに困惑し切ってしまう私たちの傍らに来て、と「ことばにならないうめき」を共にしてくださっている。一緒になって弱い私たちのうめきの中に入ってきてくださるのです。
 この聖霊のとりなしに支えられてはじめて、28節。「神を愛する人たち。すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いてい益となることを、私たちは知っています」と言えるのです。教会では礼拝再開に向けて少しずつ準備を進めています。今日も礼拝後に役員会で話し合います。しかし皆さんひとりひとりよく主の御前に静まり、自分の心と身体と魂の状況を見極め、聖霊の助けを求めていただきたい。そうして主の支えによって立ち上がらせていただきたいと願っています。来週、6月第一主日の朝拝ではヘブル書12章12節、13節の御言葉に聴こうと備えています。本来ならローマ書講解がいよいよ12章に入るところなのですが、その前にまずこの御言葉に聴きたいと導かれています。「ですから、弱った手と衰えた膝をまっすぐにしなさい」。キリストの身体なる教会が起き上がって動き出すために、一つずつ関節を伸ばし、よく可動域を広げ、十分に全身をほぐして、ゆっくりと動き出したいと願っています。そのためにもお一人一人が聖霊に恵みに信頼し、与えられている恵みの手段、特権としての祈りをよく用いて、ことばにならないうめきをもって今日も私たちをとりなしていてくださる聖霊に導かれて歩み始めてまいりたいと願います。



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