ハイデルベルク信仰問答による説教その49 2013/04/07
『天と地を結ぶ祈り』

ルカ22:42

 4月の新しい歩みのスタートを、ともに幸いな礼拝をささげて過ごしてまいりました。明日からの日々に向かうにあたり、今晩もう一度、「御心が天でなるごとく地にも」と教えられた主イエスの祈りの教えに聞いて、天の御心をこの地に実現するために生かされている私たちの生き方を、ともに教えられてまいりましょう。

(1)御国を願う祈り
 今晩学ぶ信仰問答第49主日、第124問は、主の祈りの第三の祈願である「御心の天になるごとく、地にもなさせたまえ」との祈りが説き明かされるところです。「問:第三の願いは何ですか。答:『御心の天になるごとく、地にもなさせたまえ』です。すなわち、私たちやすべての人々が、自分自身の思いを捨て去り、唯一正しいあなたの御心に、何一つ言い逆らうことなく聞き従えるようにしてください、そして、一人一人が自分の務めと召命とを、天の御使いのように喜んで忠実に果たせるようにしてください、ということです」。
 信仰問答は「主の祈り」が、父なる神の御名をあがめ、父なる神の御国を求め、そして父なる神の御心を求めるという、一筋の祈りであることを明らかにしています。私たちの祈りの生活において相当に大きなボリュームを占めるのが「神の御心」を求める祈りではないでしょうか。けれどもそこでしばしば起こることは、御心を求めると言いつつ実際には自分の願望を投影し、そうであってほしいと神に押しつけるような祈りになってしまうという現実です。けれども信仰問答は、この祈りの心が「私たちやすべての人々が、自分自身の思いを捨て去り、唯一正しいあなたの御心に、何一つ言い逆らうことなく聞き従えるようにしてください」と祈ることであると教えているのです。これは徹底的な自己放棄と服従の祈りと言えるでしょう。そしてそのような祈りの究極の模範を、私たちは御父に向かって祈られた御子イエス・キリストのお姿に見るのです。
 今晩開かれているルカ福音書22章42節は、すでに見たあの受難の夜、ゲッセマネの園で血の汗を滴らせながら祈られた御子の痛切な祈りです。「父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください」。御父と御子との関係を単純に私たちと父なる神との関係に置き換えることはできませんが、それでも今や御子イエスによって神の子とされた私たちが、御父と御子とからの聖霊によって祈る者とされている事実を踏まえるなら、この祈りの模範から学ぶべきことは、自分の思いを捨て、唯一正しい父なる神の御心に何一つ言い逆らうことなく聞き従うという徹底的な自己放棄と服従の姿勢です。しかもその服従は、消極的で受動的ないやいやながらの服従ではなく、自ら進んで父の御心に自らを従わせていく能動的で積極的な服従です。

(2)御言葉と聖霊によって
 しかし現実には神の御心に対して徹底的な自己放棄と服従の姿勢をもって祈ることは決して容易なことではありません。むしろなかなか主の御心に従い得ない信仰の試練に直面することがあるのです。しかしそのような時に思い起こしたいのは、この主の祈りの第三の祈願は、第二の祈願である御国を求める祈りと密接に結びつくものであるということです。前の123問で御国を求める祈りについて次のように教えられていたことを思い起こしましょう。「あなたがすべてのすべてとなられる御国の完成に至るまで、私たちがいよいよあなたにお従いできますよう、あなたの御言葉と御霊とによって私たちを治めてください」。
 このように父なる神に対する服従は、私たちの外から語りかけられる御言葉と、私たちの内に住んでいてくださる聖霊によって起こされる恵みの業です。そして日々御言葉に教えられ、聖霊に導かれながら神の御心と一つにされていくところに、天と地を結ぶ祈りの結び目があるのです。

(3)天と地を結ぶ祈り
 続いて信仰問答は教えます。「そして、一人一人が自分の務めと召命とを、天の御使いのように喜んで忠実に果たせるようにしてください、ということです」。ここでは私たちの御心を求める祈りを「天の御使いのように」と言います。天の御使いこそ、父・子・聖霊なる神の御心に最も近い存在たちでしょう。その御使いを指し示しつつ、信仰問答は父なる神の御心に対する服従が「私たちやすべての人々」に求められていることを教え、「一人一人が自分の務めと召命とを、天の御使いのように喜んで忠実に果たせるように」と教えるのです。一人一人の神の御心への従い方は、それぞれの務めと召命によっている。けれども互いにそのことを尊重し、吟味しつつ、天使のように喜んで、忠実にそれを果たしていくのです。このように天の御使いたちに、天において喜んで忠実に果たすべき務めと召命があるように、私たち一人一人にも、この地において喜んで忠実に果たすべき務めと召命があるのであって、そのようにして天と地において主に従う歩みが続けられているところに、「唯一正しい」父なる神の御心は成し遂げられていくのです。
 私たちはこの地上で生きています。罪の支配が及び、悪がはびこり、神亡き世界のようなこの世界の中で、それでも天を仰ぎ、生きておられる神を「父よ」と呼び、「御名をあがめさせたえ」と賛美しながら、御子イエス・キリストのゆえに神の子どもとされた者たちとして、御言葉と御霊の支配の中で私たちは祈ります。天使のような忠実さと従順さを教えられながら、この地上にあって天を見上げて祈る。それは地上の事柄を天に押しつける祈りではなく、天での御心が地上で実現するようにとの祈りです。この祈りを、私たちは天使たちとともに祈ります。私たちと隣人と被造物世界の全体に神の御心がなるようにと祈り続けるのです。それゆえに、御国を求める祈りは天と地を結ぶ祈りであり、そして続く第四の「日々の糧」を求める祈りへと繋がっていく今日の祈り、現在形の祈りなのです。



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