ハイデルベルク信仰問答による説教その37  2012/12/16
『御名による誓い』 

エレミヤ4:1-2

 今晩は前回に続いて十戒の第三戒、主の御名の冒涜と濫用を禁じる戒めを通して、私たちが為す「誓い」のあり方について、信仰問答の言葉に導かれつつ御言葉に聞いていきたいと願います。

(1)御名による誓い
 今晩取り上げるハイデルベルク信仰問答第37主日は、十戒の第三戒を当時の時代背景の中に適用させながら、「誓いを立てる」ことの意味を教えるところです。第101問には次のように記されます。「問:しかし、神の御名によって敬虔に誓うことはよいのですか。答:そのとおりです。権威者が国民にそれを求める場合、あるいは神の栄光と隣人の救いのために、誠実と真実とを保ち促進する必要がある場合です。なぜなら、そのような誓いは、神の言葉に基づいており旧約と新約の聖徒たちによって正しく用いられてきたからです」。「主の名をみだりに唱えてはならない」という誓いを、御名の冒涜、乱用の禁止と教えた信仰問答は、今度はより積極的に「御名によって敬虔に誓う」ことを扱います。御名による誓いが許されるのはいかなる場合か。これについて信仰問答は「権威者が国民にそれを求める場合、あるいは神の栄光と隣人の救いのために、誠実と真実とを保ち促進する必要がある場合」というのです。
 聖書は基本的に上に立つ為政者を尊び、それに従うことを求めます。私たちもこの社会に属する者として、裁判の際の誓約も行います。それらは律法の持つ「市民的な用法」と関わるものです。しかし信仰問答がこの点を強調するのは、必要以上に国家に従属的な姿勢を取るためではなく、そこには当時の再洗礼派と言われる急進派グループに対する反駁の意図がありました。彼らは自分たちがすでに神の国に所属しているゆえに、地上のあらゆる権威には服さないとして、裁判や宣誓、納税や兵役を一切拒否する姿勢を持っており、その聖書的な根拠として十戒の教えを踏まえての主イエスの「決して誓ってはいけません」との御言葉を掲げていました。これに対して信仰問答は権威者の求めに一市民として応じるべきこと、しかもそれが国家の権威の要求以上に神の栄光と隣人の救いに照らして是とされる場合には、誠実と真実とを保ち促進するためにこれを行うことを認めているのです。

(2)真実と公義と正義とによって
 今日はちょうど都知事選挙、衆議院選挙の日です。私たちも原則的に聖書の教える為政者への尊敬と服従とを重んじますが、しかしそれらは決して無条件なことではありません。今日与えられているエレミヤ書4章1節、2節では次のように語られます。「イスラエルよ。もし帰るのなら、主の御告げ。わたしのところに帰って来い。もし、あなたが忌むべき物をわたしの前から除くなら、あなたは迷うことはない。あなたが真実と公義と正義とによって『主は生きておられる。』と誓うなら、国々は主によって互いに祝福し合い、主によって誇り合う」。主なる神がイスラエルに求めておられる「真実と公義と正義」による誓いが為されるとき、国々は互いに祝福し合い、誇り合うと言われます。しかし今の私たちの前に立つ為政者たちは、むしろ真実と公義と正義を曲げて、隣国同士が罵り合い、牽制し合い、武力衝突にさえ発展しかねない危うい状況を生んでいるのです。
 私たちは心して祈らなければなりません。主の御名によって正しいことが行われるように。そのためになら立てられた為政者のために私たちは尊敬をもって祈り、自分たちの義務と責任を果たす用意はあるでしょう。しかしそれと同時に、地上の為政者たちがおごり高ぶり、神の御名を乱用し、冒涜し、真実と公義と正義を曲げるなら、そして主なる神の主権を越え出ようとする時には、私たちは断固として「否」の声を上げなければならないのです。

(3)被造物による誓いの禁止
 最後に、御名による誓いが禁止される場合について第102問を見ましょう。「問:聖人や他の被造物によって誓うことはよいのですか。答:いいえ。なぜなら、正当な誓いとは、ただ独り心を探る方である神に、真実に対してはそれを証言し、わたしが偽って誓う時にはわたしを罰してくださるようにと呼びかけることであり、このような栄光は、いかなる被造物にも帰されるものではないからです」。一般に契約を結ぶ際にその当事者たち以外の第三者が証人として立てられる場合がありますが、信仰問答は、誓約の確かさの保証が聖人や他の被造物によって担保されるかを問うています。
 誓約をすることは、その誓いに対する真実が保証され、不真実が裁かれることを承認し、服することを含んでいますが、そのような人の内面までも貫いて真実を見極められるのは創造主なる神以外にはありえないことです。そのように考えるならば、この神の御前にあるという自覚なしの誓約がいかに軽く、不確かなものであるかもまた明らかです。神を恐れることなしに、人の前に誓うことは第三戒の違反となる。私たちが誓いを立てる時、契約を結ぶとき、そこでは単に目の前にいる相手だけを見てそれを為すのでなく、見えないけれどもすべてのものを御手の内に治めておられる主なる神の御前で、すべてのことを為すのです。私たちがひとりの市民として真実公義と正義を求めつつ、時に政治に参加し、時に世に向かって責任ある発言をし、また具体的な行動をとることがあったとしても、そこで私たちは「ただ独り心を探る方である神」に向かって語り、行動しているのです。そうして私たちは、「地の塩」、「世の光」としての使命を果たし続けていくのです。

 



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