祈祷会
ハイデルベルク信仰問答講解62

「父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください。」(ルカ22:42)

(1)御心を願う祈り
今日取り上げる第49主日では、主の祈りの第三の祈願である「御心の天になるごとく、地にもなさせたまえ」との祈りが扱われます。まず第124問を見ましょう。「問:第三の願いは何ですか。答:『御心の天になるごとく、地にもなさせたまえ』です。すなわち、私たちやすべての人々が、自分自身の思いを捨て去り、唯一正しいあなたの御心に、何一つ言い逆らうことなく聞き従えるようにしてください、そして、一人一人が自分の務めと召命とを、天の御使いのように喜んで忠実に果たせるようにしてください、ということです」。
ハイデルベルク信仰問答は、主の祈りについて、この祈りは私たちが父なる神を知り、この神にあって生きることへと向かわせる祈りであると教えています。この神を知り、神に生きるために、私たちは御名をあがめ、御国を求め、そしてこの神の御心を求めるのです。そこで、ハイデルベルクは神の御心を求める第三の祈願が「私たちやすべての人々が、自分自身の思いを捨て去り、唯一正しいあなたの御心に、何一つ言い逆らうことなく聞き従えるようにしてください」と祈ることであると教えているのです。これは言い換えれば自己放棄と能動的服従の祈りと言えるでしょう。神の御心に生きるためには、自分自身の思いを捨て去り、神にのみ従うという信仰の決断が必要です。それは単に口先だけの表面的な姿勢ではなく、心からの服従をともなうものでなければなりません。主イエスがマタイ福音書7章21節で次のように言われた通りです。「わたしに向かって、『主よ、主よ。』と言う者がみな天の御国にはいるのではなく、天におられるわたしの父のみこころを行う者がはいるのです」。
自分の思いを捨て、唯一正しい父なる神の御心に、何一つ言い逆らうことなく聞き従う。それは徹底的な自己放棄と服従のあるところに成り立つものです。しかもその服従は、消極的で受動的な服従ではなく、自ら進んで喜びのうちに神の御心に自らを従わせていく能動的で積極的な服従です。しかし実際には、神の御心に従う祈りは、私たちに時に困難を生じさせるものでもあるでしょう。いつもいつも喜んでお従いできるとばかりは言い得ない、そのような信仰の試練に直面することがあるのです。しかしそのような時に思い起こしたいのは、この主の祈りの第三の祈願は、第二の祈願である御国を求める祈りと密接に結びつくものであるということです。前の123問で御国を求める祈りについて次のように教えられていたことを思い起こしましょう。「あなたがすべてのすべてとなられる御国の完成に至るまで、私たちがいよいよあなたにお従いできますよう、あなたの御言葉と御霊とによって私たちを治めてください」。このように父なる神に対する服従は、私たちの外から語りかけられる御言葉と、私たちの内に住んでいて下さる聖霊によって起こされる恵みの業です。そして日々御言葉に教えられ、聖霊に導かれながら、神の御心と一つにされていくところに、私たち信仰者の聖化の歩みがあるのです。主イエス御自身もゲッセマネの園で「父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください」と祈られました。そうであればなおさら私たちは御言葉と御霊による助けを求めて祈ることが必要なのです。

(2)天使のように喜んで、忠実に
さらに、ハイデルベルク信仰問答は次のように教えます。「そして、一人一人が自分の務めと召命とを、天の御使いのように喜んで忠実に果たせるようにしてください、ということです」。ここでは私たちの御心を求める祈りの模範として、天の御使いたちの存在が示されます。ハイデルベルクは、父なる神の御心に対する服従は特定の人々にではなく「私たちやすべての人々」に求められていることを教えつつ、同時に、その服従は「一人一人が自分の務めと召命とを、天の御使いのように喜んで忠実に果たせるように」と、一人一人の個別的な召命に結びついたものであると教えています。御心への服従は全体的命令であり、その服従の在り方は個別的命令なのです。一人一人の神の御心への従い方は、それぞれの務めと召命によっている。けれども互いにそのことを尊重し、吟味しつつ、天使のように喜んで、忠実にそれを果たしていくのです。このように天の御使いたちに、天において喜んで忠実に果たすべき務めと召命があるように、私たち一人一人にも、この地において喜んで忠実に果たすべき務めと召命があるのであって、そのようにして天と地において主に従う歩みが続けられているところに、「唯一正しい」父なる神の御心は成し遂げられていくのです。
詩篇103篇20節から22節で、詩人は次のように歌っています。「主をほめたたえよ。御使いたちよ。みことばの声に聞き従い、みことばを行う力ある勇士たちよ。主をほめたたえよ。主のすべての軍勢よ。みこころを行い、主に仕える者たちよ。主をほめたたえよ。すべて造られたものたちよ。主の治められるすべての所で。わがたましいよ。主をほめたたえよ」。ここでは御使いたち、主の御心に仕える者たち、すべて造られた者たちがこぞって主を賛美する姿が歌われています。そしてそのように神の御心に結びついて生きる者たちの姿を「みことばの声に聞き従い、みことばを行う力ある勇士たち」と歌っているのです。そのように神の御心を知るために必要なことは、「みことばの声に聞き従う」ことです。御言葉と御霊の支配の中で、私たちは天使たちとともに、私たちと隣人と被造物世界の全体に神の御心がなるようにと祈り続けなければなりません。それは神の国の到来と、神の民と御使いによる統治を願う終末論的な祈りなのであり、またそれゆえに今、この地にその成就を願って日々忠実にわたしが生きられるようにと願う現在形の祈りなのです。

 



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