祈祷会
ハイデルベルク信仰問答講解43

「私たちは神の作品であって、良い行いをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行いに歩むように、その良い行いをもあらかじめ定備えてくださったのです」。(エペソ2:10)

(1)救いと善き行い、義認と聖化、恵みと感謝
 今日からハイデルベルク信仰問答の第三部「感謝について」の部分に入ります。改めて繰り返しになりますが、もう一度この信仰問答の全体の骨格についておさらいしておきましょう。これまで学んできたようにこの信仰問答は全部で三部からなっており、第一部では人間の置かれている罪の悲惨さ、第二部ではその罪の状態からの救いが教えられました。特に第二部では使徒信条の解説を通して私たちに対する神の恵みによる救いの教理が教えられたわけです。そしてこの神の恵みに対する感謝の教えがこの第三部で教えられていくことになります。その中心は十戒と主の祈りの解説で、この使徒信条の後に十戒を論じること、つまり福音から律法への進む論じ方にハイデルベルク信仰問答と、改革派の神学の特色があるのでした。
 さて、そこで今日の第32主日と続く第33主日では、十戒の解説に先立って「全生涯にわたる感謝」という見出しを掲げて幾つかのことを論じます。ここでの中心点は救われた者が為すべき善き行いの問題です。まず第86問の問いに注目しましょう。「問:わたしたちが自分の悲惨さから、自分のいかなる功績によらず、恵みによりキリストを通して救われているのならば、なぜわたしたちは善い行いをしなければならないのですか」。ここではすでにこれまで第8問や第62問、第64問で教えられてきた恵みによる救いの教理が繰り返されています。人は行いによらずただ恵みによって救われる。これは新約聖書においてパウロが一貫して主張している点であり、また宗教改革の信仰の中心点です。しかしこの第86問とそれ以前の関連する問答との違いは、そのように恵みによって救われた私たちになぜ善い行いが必要であるのかを問うている点です。この救いと善い行いの問題を教理の言葉で言い換えるならば、義認と聖化の問題となります。そしてこれらの問題をハイデルベルクは恵みと感謝の問題として教えて行くのです。
そして特に聖化論は私たちの日々の生活に直接結びつく教えであり、ルター派にとって義認論が絶えず中心となるのに対して、聖化論は改革派神学が大変重んじた教えです。そこで第86問は次のように答えます。「答:なぜなら、キリストは、その血によってわたしたちを贖われた後に、その聖霊によってわたしたちを御自身のかたちへと生まれ変わらせてもくださるからからです」。ここには私たちを恵みにより十字架の血による贖いによって救ってくださる贖い主キリストが、同時にまた私たちを本来あるべき神のかたちへと生まれ変わらせてくださるお方であると教えられます。つまり贖い主キリストは、私たちを義とするお方であると同時に、聖とされるお方でもあるのです。「キリストは、私たちにとって、神の知恵となり、また、義と聖めと、贖いとになられました」(Iコリント1:30)とある通りです。しかも私たちを義として下さった贖い主は、私たちに聖化の道を辿らせるために「聖霊」なる神を与えて下さっているのです。救いは神の業、善き行いは人の業ということではありません。聖霊に導かれての聖化の歩み。これが感謝の生活の基本線なのです。

(2)善き行いの目的
宗教改革が向き合った当時のローマ・カトリックからの問いかけは、救いが神の恵みによるならば、人は怠惰になり善き行いに励むことがなくなるということでした。しかしこれに対してすでに第64問が「まことの信仰によってキリストに接ぎ木された人々が、感謝の実を結ばないことなど、ありえない」と答えています。そこから今日の第86問はさらに進んで、その実を結ばせるのは私たちの内にあって今働いていて下さる聖霊の御業であり、同時にそれは私たちのために贖いとなってくださったキリストへの感謝であるとするのです。続く答えを見ましょう。「それは、わたしたちがその恵みに対して全生活にわたって神に感謝を表し、この方がわたしたちによって賛美されるためです。さらに、わたしたちが自分の信仰をその実によって自ら確かめ、わたしたちの敬虔な歩みによってわたしたちの隣人をもキリストに導くためです」。
ここには信仰者の善き行いの目的が四点にまとめられています。その第一は私たちを恵みによって救って下さったキリストへの感謝、第二はこの方に対する賛美、第三は自分自身の信仰の確認、そして第四が隣人をキリストに導く福音宣教の業です。私たちが善い行いに励むのは、それによって自分の救いを得るためではありません。救いはすでに神の恵みによって成し遂げられているのです。では救われたから、あとは自分の好き勝手に生きるのかと言えば、決してそうではない。主イエス・キリストの十字架によって示された神の愛と、そこで成し遂げられた贖いの恵みを知れば、その恵みをただ甘んじて受けるばかりではなく、その恵みに応えて生きる者へと私たちは聖霊によって変えられていくのです。父なる神が御子イエス・キリストの十字架によって表して下さった愛が、聖霊によって私たちの内へともたらされる時、私たちの心はこの神への感謝に溢れます。そして溢れ出た感謝はこのお方への応答へと私たちを促し、感謝と賛美、そして福音の宣教へと私たちを押し出すのです。
「すべてのことはあなたがたのためであり、それは、恵みがますます多くの人々に及んで感謝が満ちあふれ、神の栄光が現われるようになるためです。」(IIコリント4:5)


 



日本同盟基督教団 徳丸町キリスト教会
〒175−0083
東京都板橋区徳丸6−24−10
TEL 03−3935−3405
FAX 03−3935−3445

メールでのお問い合わせ
管理人


Copyritht ©The Evangelical Alliance Mission Tokumarucho Christ Church All Rights Reserved.