祈祷会
ハイデルベルク信仰問答講解36

「わたしはわたしの契約を、わたしとあなたとの間に、そしてあなたの後のあなたの子孫との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる。わたしがあなたの神、あなたの後の子孫の神となるためである」(創世17:7)。

(1)幼児洗礼について
今回は、前回積み残した洗礼論の最後の第74問、幼児の洗礼について学ぶことにします。生まれて間もない幼児に洗礼を授けるという習慣は、古来教会の中で行われてきたものですが、それを聖書的に位置づけて整えたのは宗教改革の教会でした。中世カトリックの時代には、幼児洗礼はそのまま戸籍上の出生届のような意味を持っていましたが、宗教改革の教会はこれを単なる社会的な通過儀礼としてではなく、神の契約に基づく共同体としての教会の基礎に据えたのです。
 しかし一方で幼児洗礼を認めない教会もあります。宗教改革の時代に起こった「再洗礼派」あるいは「宗教改革急進派」と呼ばれる人々です。この人々は洗礼とはあくまでも個人の信仰の確信に基づく神との契約行為であって、自覚的信仰に至っていない幼児に洗礼を施すことは非聖書的であるとしてこれに反対したのです。今日のバプテスト教会も基本的にこの再洗礼派の流れを汲んでおり、今日でも幼児洗礼を認めていません。
 礼典論の場合は次に学ぶ聖餐論も含めていくつかの立場があり、それぞれに正当な聖書的根拠があると思われますが、幼児洗礼に関しては単にそれを受け入れるかどうかの問題にとどまらず、聖書全体をどのように受け止めるかという大きな問題が横たわっているのです。私たちの属する同盟教団は、その成り立ちからして特定の今日は的伝統に立つものではありませんので洗礼の理解についてもある多様性がありますが、現実にはTEAM宣教団の信仰がバプテスト派に近いことから、幼児洗礼を行わない教会がほとんどでした。今日では牧師たちの中に、自らの神学的な確信として幼児洗礼を受け入れる者もありますが、その場合でも教団の公同性という見地から、実際にそれを行うことはそれほど容易なことではありません。私自身の立場も幼児洗礼論を受け入れていますが、むしろその意義を献児式においてあらわしたいと願っています。

(2)契約のしるしとしての幼児洗礼
ではハイデルベルクが幼児にも洗礼を施すべきとする最大の理由は一体何でしょうか。まず答えの部分をみましょう。「なぜなら彼らも大人と同様に、神の契約とその民に属しており、キリストの血による罪の贖いと信仰を生み出される聖霊とが、大人に劣らず彼らにも確約されているからです。それゆえ彼らもまた、契約のしるしとしての洗礼を通して、キリスト教会に接ぎ木され、未信者の子どもたちとは区別されるべきです」。ここにある主張の第一点は、信者の子どもの救いを神の契約に基礎付けているということであり、第二点は信仰を生み出す聖霊への信頼があるということです。
 まず第一点に関して、冒頭にお読みした創世記の御言葉にあるように、アブラハム契約から一貫して神の救いの契約は神とご自身の民との間に結ばれたものでした。神がアブラハムを召し出されたのは彼個人ではなく、彼を基とする全イスラエルであったのです。ですからそこには当然、子どもたちも含まれていましたし、彼らはイスラエル共同体の中に生まれたことをもってもはや神の民でした。だからこそ、かれらはその自分に与えられた契約の確かさを憶えるために幼い頃から律法を学び、神の民として育っていったのです。 
新約の時代においてさらに重要な意味を持つのは第二点の聖霊への信仰です。ある神学者は今日の教会の持つ弱点に一つは、神を信仰の対象としてしまって、信仰を生み出す主体であることを忘れてしまっていることであると指摘しています。この指摘は重要です。神を信仰の対象としている時には、こちら側の認識の確かさや自覚的な信仰の確信など、人間の側の主体性が重視されますが、聖書の教えは一貫して信仰は聖霊が起こしてくださる恵みの賜物であるということです。誤解を恐れずに言えば、信仰の告白があって初めて救いがあるのでなく、聖霊が私たちのうちに信仰を起こしてくださるので、そこではじめて信仰の告白がなされるのです。
 そうであればたとえ生まれて間もない乳飲み子であったとしても、神の恵みの契約によって信仰の共同体の中に生まれた子どもが、聖霊の恵みの中で洗礼を受け、教会の肢に加えられることは相応しいことと言えるでしょう。もちろんその場合は旧約のイスラエルと同様に、教会と家庭はともに信仰の告白に至らせるための信仰教育を熱心に行わなければならないのです。

(3)割礼との類比
以上のような消息をふまえて、ハイデルベルクは新約における幼児の洗礼を、旧約の割礼との類比においてとらえています。「そのことは、旧約においては割礼を通してなされましたが、新約では洗礼がそれに代わって制定されているのです」。このように旧約と新約を神の契約において一貫して理解する聖書観はハイデルベルクのみならず改革派神学の伝統ですが、特に幼児洗礼論は最もその特色が現れる箇所といえるでしょう。これを機会に、教会において子どもたちの信仰のあり方について語り合うきっかけとなればと願っています。

 



日本同盟基督教団 徳丸町キリスト教会
〒175−0083
東京都板橋区徳丸6−24−10
TEL 03−3935−3405
FAX 03−3935−3445

メールでのお問い合わせ
管理人


Copyritht ©The Evangelical Alliance Mission Tokumarucho Christ Church All Rights Reserved.