祈祷会
ハイデルベルク信仰問答講解18

 はじめにイザヤ書7章14節に記されたメシヤ預言の箇所を読みましょう。「それゆえ、主自ら、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ。処女がみごもっている。そして男の子を産み、その名を『インマヌエル』と名づける」(イザヤ7:14)。

(1)主イエスの処女降誕の意義
今日学びます第14主日は、使徒信条の主イエス・キリストについての告白の第二の部分、イエス・キリストの処女降誕を言い表している部分です。ここから神が人となられたという「受肉」の教理が説明されることになります。第35問「主は聖霊によりてやどり、処女マリヤより生まれ」とは、どういう意味ですか」。この問いに言い表されているイエス・キリストの処女降誕の教理は、啓蒙主義の時代以降、聖書的な信仰が揺さぶられてきた中で絶えず疑いの目を向けられてきた所です。近代の人々は聖書の中の神話的要素、人間の理性で説明づけられない事柄をすべて排除しようとしましたが、その筆頭の挙げられて来たのが「処女降誕」の教理だったのです。その自然科学的・生物学的な論証をここで試みることはできませんが、しかしキリストの処女降誕の持つ意義は、確かなものとして受けとめておくことが必要です。キリストが処女マリヤから生まれたこと、すなわち人間の通常の生殖過程を経ずしてお生まれになったことの意味をハイデルベルクは次のように答えています。「永遠の神の御子、すなわち、まことの永遠の神であり、またあり続けるお方が、聖霊の働きによって、処女マリヤの肉と血からまことの人間性をお取りになった、ということです」。
ここで強調されていることは、処女マリヤからの出生が可能か否か、と言うことではありません。その誕生の不思議さを語ってはいないのです、むしろそこに一貫してある力強い告白は「永遠の神の御子、すなわちまことの永遠の神であり、またあり続けるお方」という信仰です。主イエス・キリストは人としてマリヤからお生まれになるずっと以前から、永遠から永遠にあり続けるお方でいらっしゃる。その神の御子が、まことの人間性をおとりになったというのです。「人間性」と訳される言葉は日本語にするとなにやら曖昧な表現に聞こえますが、ここで語られている本来の意味は、人間存在全体を包括するまさに人であることを示す言葉です。永遠の神の子が、このような真の人間としてお生まれになった。それが処女マリヤを通してであった。永遠の神の子として変わることのないキリストが完全な人間性をその身に帯びて下さった。これがあのクリスマスにおいて起こった出来事です。
 このことの目的については次のように説明されます。「それは、御自身もまたダビデのまことの子孫となり、罪を別にしては、すべての点で兄弟たちと同じようになるためでした」。この説明の背景にあるのはヘブル書2章14節、4章15節です。神の子が人となって下さった理由は、「一生涯死につながれて奴隷となっていた人々を解放して下さるためでした。・・・主はすべての点で兄弟たちと同じようにならなければなりませんでした。それは民の罪のために、なだめがなされるためなのです」。

(2)受肉のもたらす益
 以上のようにキリストの処女降誕の意義は第35問だけでも十分に語られていると言えますが、ハイデルベルクはなお重ねて第36問で「キリストの聖なる受肉と誕生によって、あなたはどのような益を受けますか」と問うています。キリストの受肉と誕生がもたらす利益を問う。この問い方そのものが、受肉の教理を私たちがどのように扱うべきかのお手本にもなっているといえるでしょう。ともすると私たちの関心は、「キリストは処女マリヤからいかにして」、という問いへと向かってしまいますが、その事実性を疑うことも、その事実性を証明することも、それが私たちの益と結びつくことがなければ単なる思弁の弄びに過ぎません。むしろ大切なことは、神がこのような手段を用いて私たちに与えたかった恵み、キリストがこのような仕方で私たちの所にまで来て下さったことの恵みをこそ受けとめることです。
 そうであるならば、キリストの受肉のもたらす益とは、仲保者キリストの恵みであると言うことができるでしょう。その意味はすでにヘブル書2章17節で、あるいはハイデルベルク信仰問答の第12問から19問で語られた通りです。「第18問:それでは、まことの神であると同時にまことのただしい人間でもある、その仲保者とは一体どなたですか。答:私たちの主イエス・キリストです。この方は、完全な贖いと義のために、私たちに与えられているお方なのです。」




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