五十音順主題説教その9   2020/07/19
『契約』

イザヤ54:10
 
 7月第三主日の夕べを迎えました。まだ梅雨が明けずに雨の多い日が続き、また東京の新型コロナ感染者が増加していることもあって、なかなか先の見通しの晴れない日々を過ごしていますが、私たちの歩みを確かに導いておられる主の御声によく聞いて、今週もスタートしてまいりたいと願います。

(1)「契約」ということ
 五十音順主題説教の第九回、今晩は「契約」と題を付けました。66巻の聖書を貫く聖書の中心的なテーマが「契約」です。「旧約」、「新約」が主なる神と私たち人間との間に結んでくださった「旧い契約」と「新しい契約」を意味していることからも、この点は明らかです。しかし一口に「契約」といっても、それが聖書の中でどのように進展していったかを把握するのは簡単なことではありません。いつも申し上げるように、それは「聖書の全体」を大きく見据える時に見えてくるものと言えるでしょう。
 創世記3章は天地創造の後、神のかたちに造られて神との交わりの中に生きる人間が蛇に誘惑されて罪に堕落する様子が記されるところです。この出来事の後、神の蛇に対する裁きの言葉が記されますが、そこで注目されるのが3章15節です。「わたしは敵意を、おまえと女の間に、おまえの子孫と女の子孫の間に置く。彼はおまえの頭を打ち、おまえは彼のかかとを打つ」。これは後に女の子孫から生まれるお方がサタンに勝利するという、いわゆる「原福音」と呼ばれるところです。神によって造られた最初の人間は、神との間に結ばれた「命の契約」の中に置かれていました。しかし人間はその契約に背いて罪の中に堕落したのでした。ところが主なる神は、神との契約に違反して罪と悲惨の中に陥った人間が、そのまま罪と悲惨の状態のうちに滅びるままにされることをよしとされず、そこから救い出してくださるために、人間が堕落したその直後に、女の子孫から出る「ひとりの贖い主」による、罪からの救いの御心を定めていてくださったというのです。
 この神が人との間に結んでくださった契約を、教理の言葉では「恵みの契約」と呼びます。そしてこの恵みの契約は、その後の旧約聖書の記述の中で、この地を二度と洪水によって滅ぼさないという「ノア契約」、その子孫を増え広がらせてくださるという「アブラハム契約」、この祝福にあずかるためにモーセに授けられた十戒に代表される「シナイ契約」、そしてやがてひとりの救い主を到来させてくださるという「ダビデ契約」として確認、更新されていき、ついに御子イエス・キリストの到来とその贖いの御業による「新しい契約」によって成就したと聖書は語るのです。

(2)真実の愛、平和の契約
 しかしこのような神と人との契約がすんなりと進展していったわけでないことを、私たちは知らされています。今もちょうど毎朝の『日々のみことば』でイザヤ書を読み進めていますが、せっかく神さまが結んでくださった恵みの契約を、人間は何度も踏みにじり、何度も背き、何度も反故にしてきたのです。ですから本来ならば、この契約関係はとっくに解除され、破棄されていてもおかしくない。ところが神はそのように契約を捨て去ることをなさらず、なお愛と忍耐をもって、そして契約に対する真実と誠実をもって、この契約関係に服し続けて来てくださったのです。
 今日のイザヤ書54章はそのような主なる神さまの契約の愛がはっきりと語られるところです。10節の前の7節から読みます。「わたしはほんの少しの間、あなたを見捨てたが、大いなるあわれみをもって、あなたを集める。怒りがあふれて、少しの間、わたしは、顔をあなたから隠したが、永遠の真実の愛をもって、あなたをあわれむ。あなたを贖う方、主は言われる。これは、わたしにはノアの日のようだ。ノアの洪水が、再び地にやって来ることはないと、わたしは誓った。そのように、わたしはあなたを怒らず、あなたを責めないと、わたしは誓う。たとえ山が移り、丘が動いても、わたしの真実の愛はあなたから移らず、わたしの平和の契約は動かない。あなたをあわれむ方、主は言われる」。ここで契約を支える何よりの根拠が語られます。それが8節の「永遠の真実の愛」、10節の「わたしの真実の愛」です。旧約聖書の契約には契約の当事者の片方だけがその責務を負う「片務契約」と、双方がその責務を負う「双務契約」とがあるのですが、特に重要なのは「片務契約」です。主なる神さまは契約のもう一方の当事者である私たち人間の度重なる背反と違反にもかかわらず、その契約を破棄することなく、その契約の中に身を置き続けていてくださる。それはなぜなのかと言えば、主なる神さまがご自身の結ばれた契約に対してどこまでも真実を尽くしてくださるお方であり、そのようにして罪ある私たちを見捨てることなく、見限ることなく、「永遠の真実の愛」で愛し続け、愛し抜いてくださっているからにほからなない。その契約の突き詰めた姿こそが、新しい契約の成就者、仲保者である御子イエス・キリストご自身なのです。

(3)あなたを贖い、あなたをあわれむ契約の神
 こうして、聖書の神は私たちとの契約をどこまでも真実に、誠実に果たし続けてくださるお方です。今晩開かれているイザヤ書はこの主なる神さまのお姿を、その語りかける姿をもって言い表しています。1節で「主は言われる」と言われる主は、6節で「あなたの神は仰せられる」とされて「あなたの神」すなわち私たちの神であることが確認されます。そして8節では「あなたを贖う方、主は言われる」と言われて、私たちの神は私たちを贖ってくださる恵み深い救いの神であることが示され、そして今日の10節で「あなたをあわれむ方、主は言われる」と語られる。聖書が示す契約の主なる神さまは、私たちに語りかけてくださる「私の神」であり、私たちを贖ってくださる方であり、そしてそのようにして私たちをあわれんでくださる神でいてくださる。この神さまが御子イエス・キリストによって成し遂げてくださった恵みの契約の中に、今日も生かされている恵みを覚え、感謝しつつ、私たちもこの契約の関係、生きた主との交わりの中を、真実に、誠実に、忠実に歩んでまいりましょう。

 



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