五十音順主題説教その8   2020/07/05
『記念』

出エジプト12:14
 
 7月第一の主日も朝に夕に礼拝をおささげできる恵みを感謝します。夕拝に共に集うまでにはもうしばらく時間がかかりそうですが、許された機会と手段を用いて、今夕も主を見上げてまいりましょう。

@「記念する」ということ
 五十音順主題説教の第七回、今晩は「き」で「記念」としました。「記念」を国語辞典で引いてみますと「後日の思い出として残しておくこと。過ぎ去った物事などを思い起こすこと」とあります。過去の出来事を記録して残すとともに、「思い起こす」という役割が大切です。過去を記念することで、その出来事を「今、この時」のもとに思い起こし、それの意味を受け取り直すということが起こるというわけです。
 今年、私たち徳丸町キリスト教会は、宣教55周年の記念の年を迎えています。当初の計画通りに進めば10月の終わりに記念礼拝を行う予定にしていますが、これもまたこれまでの教会の歩みを振り返り、それをもって今とこれからを展望しようという意味が込められています。このように考えてみると「記念する」というのは、実は聖書の中でも重要な事柄だということに気づかされます。聖書は私たちに「記念する」ことの大切さを教えている。その場合、ポイントは「何を記念するか」ということであり、「何のために記念するか」ということでしょう。

A過越
 今晩開かれている御言葉は、旧約聖書の出エジプト記12章14節です。「この日は、あなたがたにとって記念となる。あなたがたはその日を主への祭りとして祝い、代々守るべき永遠の掟として、これを祝わなければならない」。今日は12章全体を詳しく見ることはしませんが、ここに記されているのはエジプトで長年奴隷であったイスラエルの民が、神がお立てになったモーセに率いられていよいよエジプトを脱出しようというところです。この時、エジプトの王ファラオが何度も心変わりする中で、主がエジプトに十の災いを下された。その最後の十番目の災いが、エジプトの全家の男子の初子を打たれるというものでした。そしてその時に主が、家の門柱と鴨居に屠った子羊の血を塗った家は主の災いが通り過ぎると言われた。そしてこれが実行に移されるにあたって語られた主の言葉が14節の「この日は、あなたがたにとって記念となる」との言葉だったのです。
 さらに主は24節から27節でこう命じられます。「『あなたがたはこのことを、あなたとあなたの子孫のための掟として永遠に守りなさい。あなたがたは、主が約束どおりに与えてくださる地に入るとき、この儀式を守らなければならない。あなたがたの子どもたちが「この儀式には、どういう意味があるですか」と尋ねるとき、あなたがたはこう答えなさい。「それは主の過越のいけにえだ。主がエジプトを打たれたとき、主はエジプトにいたイスラエルの子らの家を過ぎ越して、私たちの家々を救ってくださったのだ。」』すると民はひざまずいて礼拝した」。このように過越の祭りは、まさに「記念」のためでした。「何を記念するか」。それは主の救いの御業です。「何のために記念するか」。それは主の救いの恵みを繰り返し思い起こし、今のその主が私たちを救う神であることを信じ、主に信頼するためでした。ここにイスラエルの民の救いと解放の原点があり、それが過越の祭りによって記念されていったのです。
 
B主の晩餐
 この出エジプトにおける神の救いの経験の記念は、今の私たちにとっても神の救いの原型としての意味を持つものです。私たちもまた罪の奴隷として長く捕らわれの生活をしていたのですが、主なる神は私たちを罪の奴隷の状態から解放するために救いの道を備えてくださいました。それが過ぎ越しのいけにえとしてご自身の血を流し、肉を裂いてくださったただ一人の贖い主イエス・キリストです。主イエスの十字架の血潮のゆえに、このお方を信じる者の上を神の怒りと裁きは過ぎ行き、私たちはもはや罪に定められることなく、死に至らしめられることなく、神の民としての新しい出発を始めることができるのです。
 この主イエス・キリストの贖いの御業の大切な記念。それが主の晩餐の礼典です。パウロは一コリント11章26節で、主イエスが最後の晩餐において語られた言葉を次のように伝えています。「あなたがたは、このパンを食べ、杯を飲むたびに、わたしを覚えて、これを行いなさい」。「わたしを覚えて、これを行え」。これが主の晩餐の中心的な意義です。主イエス・キリストの贖いの御業の記念ということです。しばしば主の晩餐について「想起の食卓」と言われることがあります。「想い起こす」ということ。ここには冒頭に申し上げた「記念」ということの持つ、「その出来事を今、この時のもとに思い起こし、それの意味を受け取り直す」という意味が込められています。主の晩餐は単なる過去の記念に留まらない。主の晩餐においてキリストが現臨なさり、その贖いの恵みを私たちに差し出してくださる。まさにそこに主の御業の「現在化」が起こるのです。
 私たちは毎月第一主日とイースター、ペンテコステ、宗教改革記念日、クリスマスと、少なくとも一年に十六回、主の晩餐を祝ってきました。しかし今年は2月に主の晩餐の礼典にあずかって以来、3月からこの7月までその執行を止めています。これまでになかったことです。新型コロナの影響下でも様々な工夫と配慮をしながら主の晩餐を続けている教会もありますが、私たちとしては今しばらく控えようと判断しています。しかしだからといって主の晩餐に示された主イエス・キリストの贖いの恵みの記念と想起を忘れてしまってはなりません。むしろこういう時だからこそ、いつも以上に意識的に、自覚的に、主の食卓の恵みを想い起こし、そこにあらわされた主イエス・キリストの十字架の贖いの恵みを感謝して受け取り、天の御国の祝宴の先取りとしての主の晩餐の喜びを憧れをもって待ち望み、一つのパンと杯から飲むことで作られる教会の交わりの大切さを心したいと想うのです。「あなたがたは、このパンを食べ、杯を飲むたびに、わたしを覚えて、これを行いなさい。」

 



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