1998.09.27


神の前の罪


シラー特別変察官(しらちゃん別名)のレポート

 9月12日の『朝日』朝刊を読んだら、クリントン大統領が「私は神の前で罪を犯した」
とホワイトハウスの朝食会で演説したとあった。同じ日の夕刊を見たところクリントン夫
妻が沈痛な顔をしている写真があり、「なにもここまでしょげなくても」とおれは思った
のだが、これはアメリカ大使館爆破事件の追悼式の写真であった。まぎらわしいね。

 ところでクリントン氏の犯した「神の前の罪」とはいったい何のことであろうか。ふた
つのことが考えられる。
 1.発射1−−−モニカ・ルインスキーに精液を発射! ドレスを汚してしまった。
 2.発射2−−−アフガンおよびスーダンの「テロ基地」にミサイルを発射! 死傷者
         100名前後。
おれが考えるに発射2の方が罪深いような気がするが、どうやら世間では発射1が問題に
なっているらしい。では発射1がなぜに罪深いのか理由を考えてみた。

 1.奥さんがいたのに他の女性と関係を持った。
 2.そのことに仕事部屋を使った。
 3.そういったことをもみ消そうとした。
 4.シャワーをあびないでフェラチオさせた。
 5.フェラチオのお返しをしてあげなかった。
 6.ドレスに精液をひっかけてしまった。
 7.ドレスのクリーニング代を渡さなかった。
 8.国費で買ったティッシュペーパーを情事に使用した。
 9.そうじ(ゴミ箱片づけ)のおばさん(おじさん)を「ゲゲッ!」と思わせた。
 10.結果として捜査費用に50億円もかけさせてしまった。

 フランスのマスコミや大臣が言うとおりこれは「合意の上での成人の関係であり問題は
ない」とすると問題は8.であることがわかる。薬のセイジョーでクリネックス・ティシ
ュー5箱を買うと税抜き348円税込み365円である。9回にわたる関係で一箱のティ
ッシュを消費したとすると、73円もの国民の血税を私的に流用したことになる。不正は
1円でも許されない。あとあとまで悪しき状況の繰り返しを行わないためには、たとえ不
正の額をうわまわる金額を使用してでも状況を正さなければいけない。おれはここにアメ
リカ民主主義の奥深さを知ったのである。
 また、世間ではバイアグラを服用して急死している人も多いなかで、クリントン氏は
50歳近くなってもバイアグラいらず。シークレット・サービスを引き連れてのジョギン
グの効果が大であったことはまちがいない。日頃の運動の大切さを身をもって示した点で
彼はアメリカ国民の鏡でもあるだけでなく、日本の中年男性にとっても敬意を表すべき人
材である。なんだいいことばかりじゃないか。

 「クリントン大統領のオーラル・セックスなんて目じゃない。われわれの市長ときたら、
男から突然、女になったんだから」と性転換で市民を驚かせたのはドイツ・ザクセンアン
ハルト州ケレンドルフ市のノルベルト・リンドナー市長である(日刊スポーツ1998.09.14)。
女装して登庁し始めたと思ったら突然性転換し「ミハエラ」と名乗りだした市長に対して
市民・市議会は市長リコールをしようとしているらしい。そこで考えてみた。政治家にと
って許されないことはなんであろうか。

 1.当選後公約をひるがえす(たとえば愛知万博反対から賛成へ)。
 2.比例代表制で当選したのち所属政党を鞍替えする。
 3.ルックスで票を集めたのに、当選後はげたりむくれたりして面影がなくなる。
 4.主義主張は変えず性転換する。
 5.実は自分の父親は火星人であったと告白する。

 イギリス映画で『オルランド』という作品があった。主人公の男はある朝、目が覚める
と女になっている。彼女のせりふ「男と女、何も変わらない。ただ性がちがうだけ」。ま、
虫になっていたらこんな悠長なことは言えないと思うけれど、要はたいして違いはないの
である。つまり4.は問題ではない。子は親を選べない。となると5.も問題ではない。
親の出身がどこであるかなどということはこの際どうでもいいことである。1.2.は日
本では日常茶飯事。問題にすることではない。本当に問題なのは3.である。人は印象が
たいせつだ。印象がたいせつなら男が女になったら問題だろって? いいのいいの、ルッ
クスを売り物にしていなければね。その点クリントン氏は就任当初から見かけが変わって
いない。立派である。繰り返して言うがこれは日頃の運動の成果である。

 閑話休題。先日『週刊プレイボーイ』(1998.09.22)のグラビアを見ていた。巻頭グラ
ビアは今やマイクロソフト日本法人の宣伝マンとなった西田ひかるである。むかついて見
る気もしない。巻末にきれいなヌード写真が載っていないかな、と思ってぺらぺらめくっ
てある写真を見たとたん気持ちが悪くなってしまった。タイトルは「ガルフウォー(湾岸
戦争)・チルドレン」である。栄養失調で猿のミイラのような新生児、骨髄ガンで妊婦の
ようにおなかがふくれた少女。米軍の不発弾で足を吹き飛ばされた上にガンになった青年。
言うまでもなく湾岸戦争時のアメリカの爆撃とその後の経済制裁が原因である。5分にひ
とりの割合で子どもが死んでいくという(1日で288人)。だいぶ前の『週刊金曜日』
には病院でゴミ箱のような箱に新生児の遺体が何体も捨てられている写真が載っていた。
あまりにも多すぎて、手厚く葬ることができないのだ。
 イラクの記事が載っていたかどうかは記憶にないが、同様のスタンスでグラビア特集を
組む雑誌として『週刊現代』がある。「アメリカではまともな雑誌でヌード写真を載せる
ものはありません」と袋叩きにあっている雑誌の代表格である。湾岸戦争自体はブッシュ
前大統領の指揮下におこなわれたものであるが、人気取りのためにクリントン大統領も巡
航ミサイルを発射!している。イラクでの人的被害こそが第一に取りあげるべきことであ
るにもかかわらず、「まともな新聞」「まともな雑誌」はそんなことはどうでもいいよう
である。アメリカのミサイル発射!と精液発射!、どっちが重大な問題かよーく考えてほ
しいよ。

 憎まれ口をたたいたついでに付け加えておこう。アメリカという国は国家の樹立から現
在に至るまで内外での武力制圧を国是としてきた国である。もっとはっきり言おう。

  アメリカは人類の歴史始まって以来最低最悪の侵略・虐殺・テロ国家だ。

東京で10万人の市民を焼き殺し、広島・長崎で原爆実験を行い数十万の市民を殺した国
を「自由の国」だとか「民主主義の手本」だとかあがめててまつることはやめようじゃな
いか。
 繰り返す。アメリカの原爆やミサイル発射!と精液発射!、どっちが重大な問題かよー
く考えてくれ。


<映画の紹介> 

クリント・イーストウッド主演『ザ・シークレット・サービス』(1993年)
 イーストウッドはシークレット・サービスである。大統領の命をねらう男(ジョン・マ
ルコビッチ)は実は元CIA特殊隊員。アメリカのためにありとあらゆるテロ殺人行為を
かさねてきたものの冷戦体制の終結とともに不要となり、CIAの別の隊員が始末しよう
としたが失敗。そのことでプッツン切れて大統領暗殺を企てる。
 日本公開時新聞の宣伝には、「この映画は現実に起きうる恐怖を描いている」とクリン
トン大統領が絶賛したと載っていた。CIAが世界中で暗殺・破壊行為を行ってきたこと
を認めてしまったわけ?

クリント・イーストウッド監督・主演『目撃』(1997年)
 イーストウッドは大泥棒である。大統領(ジーン・ハックマン)が不倫中に相手の女性
が酒に乱れてナイフを振りかざしたところでシークレット・サービスが射殺。大統領は自
分を守るために強盗殺人のぬれぎぬを泥棒にかぶせようとするが...


<恐るべき男女>

モニカ  「核爆発を見たい見たい。映画でしか見たことないんだもーん。発射してー」
クリントン「ちょっとまずいんだよね」
モニカ  「ふつうのミサイルでいいから発射してよー。お礼はあたしよ」
クリントン「トマホーク一発できみに一発。いいかな」
モニカ  「もう、大統領ったらえっちー」


<チャールトン・ヘストンへの手紙>

拝啓
 全米ライフル協会(NRA)会長就任おめでとうございます。銃による自衛権を否定し
自分たちの娘たちと同じ年齢の女性に手を出すクリントン大統領を信用することができな
い、とヘストン様は大演説したとか。まったくごもっともです。娘が職場の上司にむりや
り変なことをさせられたら、そいつを撃ち殺してもかまわないと思います。そういう事件
が起きたら、おれはなんの躊躇もなく無罪嘆願署名に署名いたします。
 でももし娘が職場で喜んでそのようなことをし、精液のついたドレスを後生大事にとっ
ておいた上にあちらこちらでできごとを吹聴などしたおりには、そんな子どもしか育てら
れなかった我が身を恥じて、自分の頭をショットガンで打ち抜くことを強くおすすめいた
します。敬具


<大いなる反省>

 スター独立検察官のレポートの一部分をうちでプリントアウトした。なんとA4で101
枚。むだなことをしてしまったなあ、と思う。「紙の前」で罪を感じてしまったおれは実
はエコロジスト。

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