2003.05.04


マイケル・ムーア『アホでマヌケなアメリカ白人』


表紙写真1:アホでマヌケなアメリカ白人

松田和也訳、柏書房、2002年


 アメリカ大統領選挙ではアル・ゴアが本当は勝っていたのに、小細工で自分を勝たせた偽物の大統領ジョージ・ブッシュにアメリカはのっとられた。ヤツは無能な男だ。そのアメリカっていう国は愚かな白人どもらがのさばり、有能な黒人の職をうばい世界中を侵略している。ポンポン飛び出すその主張にびっくり。アメリカでは発禁処分騒動もおきたという。

 2000年のアメリカ合衆国大統領選挙のいきさつにも驚く。フロリダの黒人の圧倒的多数は民主党、つまりアル・ゴア支持だ。そんな彼らの投票率が低くなるように、元犯罪人であると”疑わしい”人物を選挙人名簿から削除したという。この結果犯罪歴がない人も数多く含めたフロリダの黒人の31%が投票権を奪われたのだという。この結果、フロリダ州マディソン郡の選挙監督人リンダ・ハウエルまで投票権を奪われてしまい(彼女が黒人かどうかは不明)、抗議をしてもなしのつぶてだったというのだ。そしてこれはフロリダ州知事のジェブ・ブッシュの差し金なのだ。

 それにしても驚くのはブッシュファミリーやとりまきの犯罪歴である。ジェブ・ブッシュの奥様は1万9000ドル相当の宝石を無申告で国内に持ち込もうとして捕まったとか、ローラ・ブッシュが17歳の時に信号無視で車を走らせて級友を殺しているとか、ディック・チェイニー副大統領が25年間のあいだに2回も飲酒運転で捕まっているとか、である。金持ちは多少悪いことをしても逃げ道はいくらでもあるようだ。

 ロナルド・レーガンがアルツハイマー病にかかり、中絶した胎児の幹細胞からその治療薬ができると知ったとたんに中絶反対をやめたナンシー・レーガン、自分が癌になったとたんに市の財源から保険を受けていない子どもへのヘルスケアをすることを認めた元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアー二、自分の娘が同性愛者なので同性愛反対のホワイトハウス決議をにぎりつぶしているディック・チェイニー。マイケル・ムーアは言う、この国がよくなるためには「権力を持つ者たちが、人生で考えうる最悪の病気、悲劇、環境に見舞われるように、一心不乱に祈ることだ。なぜなら、彼らが苦境に陥るや否や、俺たちすべてが救われる可能性が出てくるからだ」

 翻訳本の表紙は星条旗パンツのガンマン。爽快なテンポで読みやすい本である。ご一読を。

映画の時間 『ボウリング・フォー・コロンバイン』



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