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日本児童文学
『ティンパウ物語―蛇神の杯』の書評

特集:子どもの文学この一年

◆総論 出版不況下の子どもの文学(抜粋)

                  日本児童文学 2011年5ー6月号 野上暁



ーー堀切リエ『蛇神の杯』(長崎出版)も、南の島を舞台にしたファンタジー。サンゴ礁に囲まれた美しい島・オーナンチュは、部族同士の戦いが絶え間なく続いていた。ところが、巫者(プシャ)と呼ばれる女たちの行動によって戦いは奇跡的に終結し、一切の武器は海に沈められた。交易の島に生まれ変わった平和な地に、怪しげな黒衣の人物が現れ、彼女が持つ蛇神の杯を朽ちにした子どもたちが蛇に変えられてしまう。踊りが大好きな主人公の少女と精霊の子たちが活躍し、蛇神を操る巫者・ミーツカイの正体が解き明かされていく。骨太なテーマを持つ、新人の意欲的なデビュー作だ。(28頁より抜粋)



新人登場

『蛇神物語 ティンパウ物語』
(松田シヅコ・絵 長崎出版)

◆沖縄を思わせる架空の島オーナンチュ。三七年前にすべての部族が武器を捨て、交易の道を選んだが、その結果歴史の影に生きることになった巫者の中には、蛇神の復活と支配を密かに企てる者のいた。陰謀に巻き込まれた子どもたちや、政治を司る女たち、また島を守る政令の子たちは、力を合わせて立ち向かう。戦いではなく、舞いと交渉の力で世界を動かす、アジア的ファンタジー。三十年来、ともに物語と絵を描き続けてきた画家とのコンビによる初出版。



ファンタジーの翼

 なんといってもファンタジー。『ナルニア国ものがたり』で、ルーシィといっしょに洋服ダンスにもぐりこんでから、その魅力にはまって生きてきました。
 読んできた多くがイギリスの作品でしたが、自分で作品を書くなら、舞台はやはりアジア。主人公や重要人物に女性を登場させ、武器をもって戦うシーンはパス。中心に据えるのは世界に広がる原始蛇信仰……。と考えて、東南アジアから沖縄に広がる地域をイメージし、時代は16世紀くらい、武器を捨て、交易で身をたてる島を舞台として、『ティンパウ物語 蛇神の杯』を書き始めました。
 「ティンパウ」とは、宮古島の言葉で「天のハブ」、虹をさします。虹は大蛇に見立てられることが多く、天と地をつなぐものとして神聖視されてきました。ティンパウ物語では、大昔、人間が自ら手放した宝が虹となって空にかかるという設定で、この宝をとりもどすために、蛇を操る巫女が暗躍します。巫女は、子どもたちを蛇に変えてしまう。踊りの大好きな少女ククモイは、精霊の子どもたちといっしょに、見える世界と見えない世界を行き来しながら、巫女と対します。
 実際の生活でも、目に見えない力は様々なところで働いています。見えない力のなす業を描きだすのに、ファンタジーは最適です。そして、創造の翼ではばたき、ファンタジーを書くことは、私にとってなにごとにも変えがたい喜びです。
 これからも様々な年齢向けのファンタジー文学を書いていきたいと思います。



 





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