case1:ヒアリング結果を報告書にする

Renji Talk Top > Happy Outlining ! > case1:ヒアリング結果を報告書にする

case1:ヒアリング結果を報告書にする

ここからは、アウトライナーの私的ケーススタディをいくつか。まずは、雑多なメモ書きを整理して、構成の決まったレポートにまとめる、というケース。

クライアントからの依頼で、「Xシステムの企業における導入事例」を、導入企業ごとにヒアリングして、報告書にまとめたい、とします。(カタイ例ですね)

こういう場合、アウトラインは最初から決まっています。だから、構成に頭を悩ますということはなく、むしろ各項目をどのように埋めていくかということが問題になります。つまり、典型的なトップダウン型の長文作成です。

ここでは、導入各社ごとに以下のような大項目で、ヒアリング結果を整理したいとします。

  • XシステムのA社における導入事例
    • A社のシステムの現状
    • A社におけるXシステム導入検討の背景
    • A社におけるXシステム導入の取り組みの経緯
    • A社におけるXシステム導入に関する問題点と今後の課題
    • A社のXシステムに関する要望

これがアウトラインの最上位項目となります。ヒアリング結果に基づいて、この項目の中身を埋めていきます。項目と並び順は固定されています。

手順としては、まずヒアリング結果のメモを、この項目ごとに整理し、報告書の形に整えていくことになります。アウトライナーは、例によってOPALを使っていますが、Wordのアウトラインモードでも同じことができます。

(1)最上位のアウトラインを打ち込む

ここでは、アウトラインの最上位レベルを報告書のタイトルとし、次のレベルに決められている項目を記していきます。これが対象会社数だけ並ぶことになります(9社だったらA社からI社まで)。そしてもうひとつ、末尾に「未整理」という項目を立てておくのがポイントです。これがまだ整理されていないメモを置いておく場所になります(GTDでいうInboxですね)。

最初の段階ではアウトラインはこんな風になります。

interview1.png

(2)メモの断片を「未整理」見出しの下に片っ端から打ち込む

「未整理」の下に、ヒアリングのときのメモの内容を打ち込んでいきます。たとえメモが支離滅裂でも、この段階では内容についてはあまり深く考えず、ただひたすら打ち込んでいきます。順序も内容も考えず、音楽でも聴きながら、ただヒアリングのときのノートに書かれたままに打ち込んでいきます。考えるのは後です。

interview2.png

(3)メモに見出しをつけていく

メモの打ち込みが終わったら、それぞれのメモの断片に、内容を示す「見出し」をつけていきます。見出しの内容は自由。あくまでも整理用の仮の見出しなので、適当につけます。ただし、この例のようにアウトラインがあらかじめ決まっている場合は、どの項目に入りそうな内容かをあらかじめ意識しながら見出しをつけていくと、後で整理するとき便利です。たとえば、見出しの中に該当しそうな項目名(現状、背景、経緯、課題、要望など)を入れておくと、後で整理するとき格段に楽になります。もちろん、この時点でどの項目に入るのか判断がつかないメモも結構あります。その場合は「(?)」とでもつけておきます。

interview3.png

見出しがついたら、アウトラインを折り畳んで、見出しだけを表示した状態にします。その結果、このようになりました。

interview4.png

(4)見出しをつけたメモを仮分類する

次に、仮の見出しをつけた断片を、該当すると思われるパートに振り分けていきます。通常のカット&ペーストでこれをやろうとすると、とんでもなく骨が折れます(できないことはありませんが)。アウトライナーなら、見出しをマウスでつまんでドラッグするだけで、簡単に移動できます。また、常に全ての見出しが見えた状態になっているので、どこからどこに移動すればいいかも容易に把握できます。

この段階では、あくまでも仮に移動するだけで、後で必要があればいくらでも修正します。だから、(ここでも)深く考えずに見出しにつけた項目名にしたがって、機械的に放り込んでいきます。どこにも含まれなさそうなメモは、そのまま「未整理」に残しておきます。整理していく過程でマッチする場所が見つかることもあるし、そのまま捨ててしまう場合もあります。移動の結果、アウトラインはこんな風になりました。

interview5.png

(5)内容が足りていない項目をチェックする

こうして定められたアウトラインに項目を放り込んでいくと、内容に不足のある項目が一目瞭然になります。たとえば「現状」についてはやたらとたくさん内容が入っているのに「問題点と今後の課題」についてはほとんど内容がない、というようなことが頻繁に起こります。

ヒアリングをした担当者が、システム導入の苦労話で盛り上がってしまった結果時間切れになったのかもしれません。内容が足りない項目が存在し、それはどの項目なのかということが、この段階で明らかになることには意味があります。この段階でなら、(その不足が致命的なものであれば)電話なりメールなりで追加取材することができるから。しかし経験上は、多くの場合他の項目に分類した内容から不足している項目の内容を補えることが多いようです。

(6)各項目の中で、関連性のある内容をまとめる

項目ごとの仮分類が終わったら、それぞれの項目ごとに、内容を整理していきます。この段階では、ほんの少し考える必要が出てきます。個々のメモの内容を読みながら、関連のある項目、内容の共通した断片をまとめていきます。項目ごとの内容が整理できてきたら、文章化することを考えて順序を入れ替え、流れを作ります。

最初につけた整理用の仮見出しは、この段階では用済みになることが多いので、不要なものは削除します(もちろん必要だったら残します)。この作業を全ての「見出し2」レベルの項目について繰り返します。

(7)文章として完成させる

全ての「見出し2」レベルを整理できたら、もう一度アウトラインを折り畳んで見出しだけを表示してみます。今まで整理した話の流れが目に見えるようになります。話の流れが内容がスムーズになるよう、必要に応じて見出しの順序を入れ替えてみます。

この作業をしていくと、話を聞いたときには気づかなかった個々の話の関連や因果関係がわかってくることが多くあります。4つの無関係な話だと思っていたものが、実は1つの話を繰り返していただけだとわかったり。1つにまとめられる話はまとめ、不要なものは捨てます。前半の話と後半の話が矛盾していることに気づくこともあります。矛盾が無視できないものであれば、電話で確認する必要があるかもしれません。

最後に再び本文の全テキストを表示し、最初から読みながら全体がなめらかに流れていくように修正していきます。メモを入力したときの冗長な表現や繰り返しを削除し、段落間のつなぎが滑らかになるようにします。

実際にはこの段階で、「背景」に分類した内容が、実は「経緯」に入れた方が収まりがいいことに気づいたりもします。もちろん、そういう場合はテキストを移動します。

議事録やブレストのまとめにも応用可能

こうした手順は説明すると大変そうですが、アウトライナーを使うと想像以上に楽です。打ち込み、見出しをつけ、該当個所に移動するというそれほど苦にならない個別の作業に分解し、目前の作業に集中することで、それほど苦しむことなく作業の8合目くらいまで進めることができます。

実際の文章や資料として仕上げる作業は、まあ、口で言うほど楽ではない場合もあります。それでも8合目からのスタートと、麓からのスタートでは、労力と時間と消耗度は確実に違います。なんとか内容をまとめようとして呻吟する、という時間が(ゼロとは言いませんが)最小限になります。

同じ方法は、インタビューだけでなく、会議の議事録づくりや、ブレーンストーミングの結果整理など様々な場面に応用できます。簡潔・明瞭でありながら、通り一遍でない、現場の熱気をそのまま伝えるようなまとめがつくれます。