予測できない自由、カオスの甘美

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予測できない自由、カオスの甘美

著者:
Leo Babauta
原文:
原文公開:
2012-3-14
日本語訳:
日本語訳公開:
2012-4-15
日本語訳更新:
「カオスを内に秘めた者こそ躍動する星を生み出すことができる」
(ニーチェ)

生産性向上、プランニング、整理術に関する人生を変えてしまうようなハックを紹介しよう。予測できない結果をもたらす可能性もあるが、正しくアプローチすれば、自由、喜びとともに驚くべき成果をもたらすだろう。

この奇跡のようなハックとはどんなものだろう?

簡単なことだ。何かをコントロールしようとすることを止め、人生の奔流に押し流されることを、自分自身に許すのだ。何かを計画するという考えを捨て、何が起こるかわからない状況を受け入れる。生産性という考えを捨て、新しい発想、新しい可能性、自発的な創造性に心を開く。

カオスについて

考えてみよう。今日の、今週の、そして年間の計画を立てようとするとき、私たちはどんなことをしているだろうか。人生をコントロールし、計画という形を取って、今日の、今週の、この一年の人生を予測しようとしているのだ。私たちはこう言っているのだ。今日はこれをする。物ごとはこのように進むだろう。これが達成できたら人生は良くなる。今日という日についての私の考えはこうだ。

今度は別の考え方をしてみよう。書き出したことが現実になるかどうかは全くわからない。将来を確実に予測することなどできない。当てにならない予測に基づいて計画するという発想は素敵なフィクションではあるが、所詮はフィクションだ。今日何が起こることなどわからないし、今週、今月となると、それ以上にわからない。今年何がおこるか予測する? 馬鹿げている。

そしてもう一つ。もし将来を知ることができたとしたら? もし日々起こることを正確に予測できて、完璧に計画することができたとしたら? それは素晴らしい人生と言えるだろうか。将来を知ることができない方が、はるかにマシだと私は思う。将来を予測できるということは、日々起こることが最初からわかっているということだ。それは途方もなく退屈なだけでなく、決められたルートから決して外れることができないということでもある。将来を知るということは、恐るべき自由の欠如を意味するのだ。

だから、私たちには何が起こるかはわからないし、わかろうとするべきでもない。計画を立てることはできるが、その計画は真の知識に基づいたものではなく、おそらくその通りにはならないので、時間の無駄でしかない。

では、これから起こることの予測や、計画を試みるかわりに何ができるだろうか。それは、不確かであることを受け入れることだ。そして、変化に対して心を開くことだ。

カオスを善きものとして受け入れる

「手放す」ことについて様々な試みを行なってきた経験から、このことについていくつかの考えをあげてみよう。

カオスな方が、仕事は楽しい。

一日の仕事が順序よく穏やかに進行するというのは素敵な考えではあるが、幻想にすぎない。そして率直に言って退屈でもある。楽しみ、遊び、そして自発性に基づいた仕事の方が面白い。ふと浮かんだアイデアから始まり、進めるそばからどんどん変化し、見ず知らずの人のアイデアを取り入れ、最終的に始めたときには想像さえしなかった素晴らしい結果に至るようなプロジェクトがある。私の近著「The Effortless Life」がまさにそれであり、それは私自身が最も楽しんだプロジェクトの一つとなった。実際、今では全てのプロジェクトで同じことをやっている。

何の計画もない一年。

2007年にブログ「Zen Habbits」を開始した当時、私は詳細な目標、アクション、そして週間計画からなる年間プランを作っていた。当然のことながら、Zen Habbitsを開始し、最初期の読者たちと出会うことによって、その計画はドアから放り捨てられることになった。彼らは親切にもZen Habbitsに注目し、フィードバックをくれることで、私の人生を変えてしまったのだ。私の人生はひっくり返り、計画は意味をなさなくなった。そして、人生は予測不能だが、その予測不能性こそが素晴らしいものごとをもたらすのだということを私は学んだ。

新しい可能性に心を開く。

Zen Habbitsの最初の年に、私は新しい機会に心を開くことを学んだ。私がその存在すら知らなかった——知りようもなかった——新しい扉が繰り返し私の前に開いたのだ。私は扉が開くのを目にし、検討し、中に入っていった。同じようなことが何度も起こり、ひとつひとつのステップが何をもたらすのか、その道の先に何があるのかわからないときに、道筋を計画する術など存在しないことを私に教えてくれた。

新しい出会いに対して心を開く。

一日を綿密に計画したとしよう。生産性を高める手法は磨き上げてある。あなたは次々とタスクを書き出していく。生産性マシーンのように。しかし今、偶然出会った人が親しげに声をかけてくる。あなたも挨拶を返す。ここに新しい可能性が生まれる。未知の男と言葉を交わし、彼のことを知ることもできる。しかし、そうするとあなたの計画は狂ってしまう! 計画にこだわるべきだろうか。彼と言葉を交わすべきだろうか。まあ、計画に固執する方が生産性は高いかもしれない。そして人生のコントロール度合いも高いかもしれない。しかし、未知の男と会話をすることで、あなたは新しい友情を手にすることになるかもしれない。他では得がたい知識を得るかもしれない。私は何人かの親友をこの方法で得た。なぜなら私が計画を逸脱し、その人と言葉を交わすことを厭わなかったからだ。

カオスとは創造性であり、創造性とはカオスだ。

その二つは同じものなのだ。創造的な仕事は、計画とコントロールからは生まれない。もちろん、天才的な創造性を持った人の中にも細かいことにこだわる人はいる。しかし、彼らは天才的なアイデアを生み出すことを計画したりはしない。彼らがランダムな発想に対してオープンでいたからこそ、そして他の誰も顧みなかった道筋を探求したからこそ、誰かのアイデアを取り入れ、独自のひねりを加えたからこそ、それは生まれたのだ。創造性はカオスの中から生まれる。コントロールの欠如に対して心を開いてはじめて、あなたの最高の創造性が発揮されるのだ。

推薦する本を何冊か。

最近読んだ最も素晴らしい本のうちの二冊は、不確実性を受け入れるということをテーマにしている。そしてそれはたまたま私の親友のうちの二人の書いたものだ。二人とも、ネット上でほとんど偶然に出会った人々だ。友人Jonathan Fieldsの書いた 「Uncertainty」 は、ここに示した考え方を探求した素晴らしい本だ。もう一人の友人Mary Jakschは、先日 「Bring Me the Rhinoceros」 という本を送ってくれた。そこでは同じような考え方を探求するために、禅の公案を見事に活用している。両方ともぜひ一読をすすめたい。

他の誰かが私たちを喜ばせてくれるという期待を捨てれば、人間関係をもっと楽しむことができる。

他人が望むように振る舞わないとき、私たちは怒りや不満を感じる。私たちは、他人が自分たちを喜ばせてくれることを、そして自分が欲しいものを与えるために行動することを期待しているのだ。しかし他人はそのような目的で存在しているのではない。この種の期待を捨てれば、あるがままに人々を受け入れ、その存在に感謝できるようになる。

物ごとが計画通りに進むことを期待しないということは、無計画を受け入れるということだ。

予期しない何かが起こるかもしれない。その何かに従うなら、それまでの計画を捨てなければならない。そこには素晴らしい可能性がある。多くの人(かつての私も含め)は、計画にない出来事が起こったり、物事が計画通り進まないと失望する。しかしそんな必要はない。計画は変更されるものだと思っておこう。あるいはそもそも計画すること自体を止めてしまおう。計画にない出来事は当然起こるものだと考えよう。そしてもしそうなったら、にっこり微笑もう。

何が起こるかわからないという事実を受け入れる。

これは究極の自由だ。今日何をするかわからない。何が起こるかもわからない。何にも束縛されていない。どんなことをしても、どんな創造的行為を追求しても、思いつくまま新しいことにトライしても、初対面の人々と自由に会ってもいい。最初は怖いかもしれないが、未知を笑って受け入れられるようになれば、そこに喜びが満ちていることがすぐにわかるはずだ。

ひとつの結果にこだわらなければ、他の様々な可能性への扉を開くことになる。

ほとんどの人は特定の目標(結果)しか目に入らず、その結果をいつまでも追求する。そして他の可能性を邪魔なものとして排除してしまう。しかし、もしあらかじめ決められた結果が存在しなかったらどうだろう。どこに行き着いてもかまわないと決めたらどうなるだろう。今やあなたは測り知れない大きな可能性に扉を開いたことになる。そして、事前に予定した結果につながることだけを実行し、学ぼうとするよりも、実際に何かを学ぶ可能性はずっと高い。

「この世界は不完全だ。だから美しい。」
(荒川弘)

この記事は、Leo Babauta(レオ・バボータ) さんがUncopyrighted(コピーライトなし)として公開されている記事の日本語訳です。原文同様、この日本語訳もUncopyrighted(コピーライトなし)とします。当サイトの翻訳文書に関するその他の注意事項については、翻訳文書についてをごらんください。