雇止め

何度か反復更新している有期雇用契約を契約期間満了で終了すると、
その雇止めは、「解雇権の濫用」とされ、無効となる場合がありますので、注意しましょう。


(1)雇止めとは


契約期間に定めをおいた場合、それは契約期間の存続期間ですから、期間が満了すれば契約期間は終了するのが原則で、終了させるための合理的な理由は不要なはずです。


ところが、有期雇用契約について、期間満了で更新しないとした場合(これを雇止めと言います)、次のような事情がある場合は、雇用関係の終了が認められないことがあります。すなわち、
雇止めが解雇権の濫用とみなされることがあるのです。

1.有期雇用契約が反復更新されてきたことにより、会社が雇止めをすることが、解雇と社会通念上同一視できる場合

2.労働者が、その有期契約が更新されるものと期待することについて、合理的な理由が認められる場合


(2)どのような場合に「更新期待権」が発生するのか。


契約関係の実態をみますと相当程度の反復更新がなされている例が多いです。有期雇用契約を毎回更新していても、更新の手続きが形式的に行われている場合は「更新期待権」は発生します。


業務内容が臨時的なものでなく、恒常的なものであること、雇用継続を期待させる使用者の言動が認められるもの、また、同様の地位にある労働者の更新状況がこれまで雇止めの例がほとんどないものが上げられます。


(3)会社側のトラブル回避策


@労働契約書や雇入通知書を締結する。労働契約書等には。「更新の有無」及び「更新の判断の基準」を明記する。

A厳格な更新手続をとる。

B期間満了前に実質的に更新の有無を検討し、面談をして本人の意思を確認する。

C正社員と区別された、募集、採用手続、教育研修、担当業務、就業規則その他処遇、異なる労働時間を定める。

D採用時に雇用継続の期待を持たせるような言動を控える。

E有期雇用契約(雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をするようにする。



(4)雇止めに関する最近の判例


共同通信によると、大手産業機械メーカーによるパート女性従業員二人の解雇の有効性が争われた訴訟で、福岡地裁小倉支部は5月11日、対象者を選ぶ基準に合理性がなかったとして、解雇は違法で無効との判決を言い渡した。


裁判所は、慰謝料50万円と解雇以降、月額約10万円の賃金を2人に支払うよう会社側に命じました。


判決では受注減少による人員削減の必要性は認めたものの、2人の解雇で抑制される経費はわずかと指摘し、上司が単独で短期間にまとめた報告で2人が解雇対象に選ばれ、評価基準が、ほかの従業員とは異なるなど恣意(しい)的な面があったとしました。


原告2人は工場で部品取り付け作業をしていましたが、3カ月ごとのパート契約を1人は約17年もう1人は約14年にわたり更新したため、期間の定めのない労働者とみなされました。


(5)有期雇用契約の中途解約(解雇)


契約社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト、嘱託等の非正規雇用で働く社員と使用者は、通常、有期雇用契約(期間の定めのある契約)を締結します。


有期雇用契約は契約期間の終了まで、使用者及び労働者を拘束しますので、原則として、中途で解約(解雇)は出来ません。


・やむを得ない事由がある場合のみ中途解約(解雇)が出来ますが、少なくとも30日前の解雇予告又は解雇予告手当の支払が必要です。


・さらに、やむを得ない事由で解雇する場合であっても、使用者側の事由によっては、民法628条により、損害賠償として、残存契約期間の賃金相当額の支払わなければならない場合もあります。


・労働者側も「やむを得ない事由」がない限り、中途解約(退職)することは出来ません。退職により、使用者側に損害が発生した場合は、その損害を賠償する責任があります。このやむを得ない事由とは、次のような場合をさします。

・会社が採用時に提示した労働条件と実情が異なっていたとき
・労働者本人のケガや病気、家族の看病などで働けなくなったとき


【参考・民法628条】

(やむを得ない事由による雇用の解除)
第628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。



【参考・労働契約法第17条】


第17条 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がないときは、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することが出来ない。

2.使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。



(6)雇止めに関するハローワークに見方


短期の有期雇用契約を繰り返し、トータルでその期間が3年を超えると「期間の定めのない契約」とみなされます。従って、3年を超えて雇止めを行うと解雇と見做されますので、ご注意下さい。


(7)雇止めの法定化

従来雇止めに関しては、判例で判断されてきましたが、労働契約法が平成24年8月10日に改正され、次のように法律の条文で明文化されました。内容に関しては、従来の判例と同じ立場に立つものです。


(有期労働契約の更新等)

第19条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

1  当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

2  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。


すなわち、次の事由に該当する雇止めが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき、その雇止めは無効となります。

 (1)有期契約が反復更新されてきたことにより、会社が雇止めをすることが、解雇と社会通念上同視できる場合

 (2)労働者が、その有期契約が更新されるものと期待することについて、合理的な理由が認められる場合


(8)有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換


有期の労働契約期間が、反復更新により通算5年を超える場合、労働者の申し込みにより、無期の労働契約に自動的に転換されます。

無期への転換は、本人の申し込み時点で、会社は承諾したものとみなされます。

通算期間には「クーリング期間」が定められています。2つの有期労働契約の間に「6ヵ月以上」の空白期間がある場合、その空白期間より前の有期労働契約は通算されません。

通算5年のカウントは、施行日(平成25年4月1日)以後に開始される有期労働契約が対象となります。

転換を希望する労働者は、通算期間が5年となる有期労働契約の、初日から満了日までの間に申し込みをする必要があります。

上記の申し込みをしなかった場合でも、有期労働契約が5年を超えて、さらに更新される場合には、更新された労働契約の都度、労働者に申し込みをする権利が発生します。

無期労働契約への転換は、「期間の定め」のみを変更するものであり、賃金等、他の労働条件を変更する義務までは生じません。


労働契約法の条文は次の通りです。


(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)

第18条  同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

2  当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。


【参考】有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示357号)


(契約締結時の明示事項等)

第1条

 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を係る更新の有無を明示しなければならない。

2 前項の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。

3 使用者は、有期労働契約の締結後に前2項に規定する事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。

  1. 本条により明示しないければならないこととされる「更新の有無」及び「判断の基準」の内容は、有期労働契約を締結する労働者が、契約期間満了後の自らの雇用継続の可能性について一定程度予見することが可能となるものであることを要するものであること。
     たとえば、「更新の有無」については、
    等を明示することが考えられるものであること。
     また、「判断の基準」については、
    等を明示することが考えられるものであること。
  2. なお、これらの事項については、トラブルを未然に防止する観点から、使用者から労働者に対して書面を交付することにより明示されることが望ましいものであること。
  3. 本条第3項については、使用者が労働契約締結時に行った「更新の有無」及び「判断の基準」に係る意思表示の内容を変更する場合に、当該労働契約を締結した労働者に対して、速やかにその変更した意思表示の内容を明示しなければならないものであること。


(雇止めの予告)

第2条

 使用者は、有期労働契約(雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者又は
有期労働契約を3回以上更新した者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条第2項において同じ。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

  1. 本条の対象となる有期労働契約は、 であること。
  2. なお、30日未満の契約期間の労働契約の更新を繰り返して1年を超えた場合の雇止めに関しては、30日前までにその予告をするのが不可能な場合であっても、本条の趣旨に照らし、使用者は、できる限り速やかにその予告をしなければならないものであること。


(雇止めの理由の明示)

第3条

 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。

2 有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。


(契約期間についての配慮)

第4条

 使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。


その他の留意事項


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