パート・アルバイト社会保険加入のメリット・デメリット

パート・アルバイトが社会保険に加入するメリット・デメリット及び
社会保険に加入しなくてもすむ働き方についてまとめています。


パート・アルバイトについては、下記の基準を満たす場合、法律上強制的に社会保険に加入する義務があります。では、社会保険に加入しなければならないとするならそのメリット・デメリットを考えてみましょう。デメリットが大きい場合、合法的に社会保険に加入しない方法も考えてみたいと思います。


1.パート・アルバイトが社会保険に加入するメリット


(1)老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金を受給できる。


老齢厚生年金を受給できるようになると加入期間、その間の報酬額にもよりますが、国民年金だけ加入していた時より、老後に多くの年金を受給出来ます。


・国民年金だけ加入していると障害基礎年金1級または2級しか受給出来ませんが、
障害厚生年金を受給できるようになると、1級の場合、障害基礎年金1級+障害厚生年金1級が、2級の場合、障害基礎年金2級+障害厚生年金2級が、3級の場合、障害厚生年金3級が、その他障害手当金が受給出来ます。


遺族厚生年金を受給できるようになれば、国民年金より受給要件が緩和されていますので、遺族の方が幅広く受給出来ます。


(2)傷病手当金・出産手当金を受給することが出来ます。



・私傷病で労務不能となった場合、月給の約67%が最大1年6か月間、傷病手当金として受給でき、病気の時も安心です。健康保険の被扶養者は傷病手当金を受給することが出来ませんので大きなメリットとなります。傷病手当金の詳しい内容はこちらを参照して下さい。


・出産のため労務に従事しなかった場合、産前(42日間)産後(56日間)合計98日間、月給の約67%を出産手当金として受給することが出来ます。健康保険の被扶養者は出産手当金を受給することが出来ませんので大きなメリットとなります。出産手当金の詳しい内容はこちらを参照して下さい。


(3)社会保険料の半額を会社が負担してくれるので、個人で全額負担していた場合に比べて負担額が軽くなる。


・社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料)は、法律で半額を会社負担、半額を被保険者負担とすることが定められています。


2.パート・アルバイトが社会保険に加入するデメリット


・夫や妻の配偶者(健康保険の被扶養者及び国民年金第3号被保険者)であった場合、新たに健康保険料、年金保険料を負担するため、給与の手取額が減ることとなる。


・家族の子(健康保険の被扶養者)であった場合、新たに健康保険料を負担するため、給与の手取額が減ることとなる。


・夫等の会社から家族手当が出ていた場合、家族手当が支給されなくなる可能性がある。


3.「103万円の壁」、「130万円の壁」


パート・アルバイトの収入が年額で103万円を超えると、所得税がかかってきますので、収入を103万円未満に抑えようとする働き方があります。これを「103万円の壁」と呼んでいます。また、妻がパート・アルバイトの場合、ご主人の所得税を計算する際に「配偶者控除」を使うことが出来ません(配偶者特別控除が使える場合があります)ので、ご主人の所得税も増加します。


また、パート・アルバイトの収入が年額で130万円を超えると健康保険の被扶養者からはずれるため、130万円未満に抑えようとする働き方があります。これを
「130万円の壁」と呼んでいます。つまり、年収が130万円を超えると、税金の負担が増加したり、健康保険料、年金保険料が発生するため、それを避けようとするのです。


4.メリット・デメリットを踏まえた上での結論


手取額は減ることになり、税金の負担が増加しますが、老後の年金が増えたり、傷病手当金等を受給できる可能性もあることや社会保険料の半額を会社が負担してくれることなどから、原則として、社会保険に加入する条件を満たしている場合は、社会保険に加入する方が良いと考えます。その場合も年収130万円を少し超える位ではデメリットの方が多くなるので、年収160万円以上は目指すようした方が良いと考えます。


但し、どうしても年収が150万円未満にしかならないようなら、130万円未満にしておいた方が賢明かも知れません。


以上は、夫又は家族が会社等に勤務しており、妻や子が健康保険の被扶養者となる場合の話しです。
夫や家族が自営業の場合、事情は異なります。この場合妻や子は、健康保険の被扶養者や国民年金の第3号被保険者になることは出来ず、国民健康保険や国民年金に加入しなければならず、保険料も全額個人負担となります。


従って、夫や家族が自営業の妻や子は、会社が保険料の半額を負担してくれることもあり、社会保険に加入する条件を満たしている場合は、社会保険に加入する方が有利であると考えます。


5.パート・アルバイトが社会保険に加入しなければならない基準(平成28年10月1日以降)



(1)パート・アルバイトが健康保険・厚生年金保険の被保険者となるか否かは、平成28年10月1日以降、就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間や所定労働日数に即して判断を行うこととなりました。


すなわち、1週の所定労働時間」及び「1か月の所定労働日数」同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」という)である者は、パート・アルバイトであっても健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。


(2)平成28年10月1日以降上記「4分の3基準」を満たさない場合であっても、以下の1から5までの5つの要件(以下「5要件」という)を全て満たす短時間労働者(パート・アルバイト)については、新たに健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。


1.1週の所定労働時間が20時間以上であること。

2.雇用期間が継続して1年以上見込まれること。

3.月額賃金が8.8万円以上であること。

4.学生でないこと。

5.常時500人を超える被保険者を使用する企業(特定事業所)に勤めていること。


5.パート・アルバイトが社会保険に加入しなくてもすむ働き方とは?


平成28年10月1日以降は、パート・アルバイトが夫や家族の健康保険の被扶養者でいる(自身が社会保険に加入しなくてもすむ)ためには、年収を130万円未満にする以外に、「4分の3基準」及び「5要件」のいずれにも該当しないことが必要となってきます。例えば、次のようなケースが考えられます。


(1)年収を105.6万円(月額8.8万円)未満とし、「4分の3基準」を満たさないないようにする。


(2)年収を130万円未満とし、1週の所定労働時間を19時間以下とする。


(3)年収を130万円未満とし、常時500人未満の被保険者を使用する企業に勤務し、「4分の3基準」を満たさないようにする。


「4分の3基準」を満たさないようにするとは、下記のいずれかを実行することです。


(1)1週の所定労働時間を通常の労働者の4分の3未満とする。


(2)1か月の所定労働日数を通常の労働者の4分の3未満とする。


(注)所定労働時間または所定労働日数が、就業規則、雇用契約書等で明示されているだけでなく、実態上も通常の労働者の4分の3未満であることが必要です。つまり、恒常的に所定労働時間や所定労働日数をオーバーすることが無いようにしておくことが重要です。


「5要件」を満たさないようにするとは、下記のいずれかを実行することです。


(1)1週の所定労働労働時間20時間未満とする。


例えば、雇用契約書上の1週の所定労働時間を18時間とするなどです。


(注)所定労働時間が、雇用契約書等で明示されているだけでなく、実態上も通常の1週の所定労働時間が20時間未満であることが必要です。つまり、恒常的(2か月以上)に1週の所定労働時間が20時間以上となることが無いようにしておくことが重要です。


(2)雇用期間が継続して1年以上見込まれないようにする。


例えば、雇用契約書で契約期間は1年として、更新しないことが明示されていることが必要です。


(3)月額賃金を8.8万円未満とする。

例えば、雇用契約書上の月額換算賃金を8.7万円以下とすることです。


(注)月額換算賃金が、雇用契約書等で明示されているだけでなく、実態上の平均月額賃金が8.8万円未満であることが必要です。つまり、恒常的に月額賃金が8.8万円を超えないようにしておくことが重要です。


(4)常時500人未満の被保険者を使用する企業に勤務する。





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