社会保険料の節約
社会保険料節約方法を詳細にご紹介します。
(1)社会保険料節約の背景
高齢化による医療・年金財政の逼迫により社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)の財政基盤は大きく悪化しています。毎年9月には厚生年金保険料が引上げられ、事業主の負担が益々増えるばかりです。
また、年金事務所や会計検査院の事業所調査でも、パートタイマー・高年齢雇用者等に対する社会保険加入指導も行なわれ、加入義務者に対しては遡及加入の勧告が出されています。パート・高年齢雇用者を使用することにより、社会保険料の節約を図る場合は、労働日数、労働時間に十分注意することが必要です。
また、従来、社会保険の強制適用事業所でありながら未加入の事業所に対しては、社会保険事務所の調査はほとんど入ることがなったのですが、平成18年の4月以降、本格的に加入促進を図り、それでも未加入の事業所に関しては、職権で社会保険に加入させるようになりました。
現在、正社員を一人雇用するとその人の直接人件費の約15%の社会保険料の企業負担分が発生します。すなわち、正社員一人を雇用するとその人に支払う給料・賞与以外に15%もの経費がかかってくるということです。
厚生年金保険料率は、毎年引き上げられ、2017年度には18.3%(労使折半)になることが決まっています。仮に他の社会保険料率が引上げられなくても事業主負担分は、約15.4%となります。今後高齢者が増加し、医療費・介護費が増加することは十分予想されます。一方高齢者を支える現役世代の数は少子化のため減少するので、健康保険料・介護保険料の値上げが予想出来ます。実際、全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率も2010年4月から全国平均で9.34%(労使折半)と大幅に引き上げられました。
将来、事業主負担額は人件費の約18%になると言われています。これは、年収500万円の従業員を20人雇っていれば(直接人件費総額1億円)、事業主負担額が約1800万円にもなるということです。何も対策を講じなければ、現在より約500万円も事業主負担分が増加します。すなわち、利益が約500万円も減少します。これに耐えることの出来る企業はどれほどあるでしょうか?
この将来の社会保険料の負担の重さを考えると、これからの企業の雇用形態は、基幹部門・戦略部門は正社員で固め、定型業務等はパートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託等にまかせるか、業務委託、請負契約を締結し、処理する方向に進むものと推察されます。
社会保険料は、従来、年金事務所等から徴収されるままになっていた企業がほとんどですが、これからは企業側で社会保険料を意図的にコントロールすることが必要になってきます。
社会保険料を合法的に削減する方法を下記(4)に列挙しました。下記(2)の留意事項を踏まえ、活用して頂ければ幸いです。
(2)社会保険料の節約上の留意事項
@税金との違い
税金は、国家が一方的に国民に負担を課すものですが、社会保険料は給付と負担との関係にあり、負担を一方的に節約しても給付が低下するリスクを考えておく必要があります。
例えば、厚生年金保険料の削減を図ると将来受取る老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金の給付額(年金額)が減少します。
A従業員のモチベーションの維持
社会保険料の節約を図るうえで、従業員のモチベーションの維持に配慮することが必要です。節約優先の考えではなく、経営全体を考え、そのうえで社会保険料の節約を考える必要があります。従業員のモチベーションを下げてしまい売上が減少するようでは、社会保険料の節約は出来ても利益が減少してしまいます。このような節約策は失敗と考えます。
B法改正
このサイトの社会保険料節約の計算は平成22年4月現在の法令・通達に基づいて計算しています。法改正等により、今後変更になる可能性がありますのでご留意下さい。
Cメリット・デメリットの検討
各対策には、従業員・役員にとってメリット・デメリットが発生する場合があります。対策を導入するには、事前に慎重な検討が必要です。社会保険料の節約を優先するあまり、従業員のモチベーションを下げないようにご留意下さい。そのためには、従業員・役員の意見を聞くことが必要な場合もあります。
(3)社会保険料の計算方法
社会保険料の料率は、それぞれ該当する法律等で定めれています。毎年のように、改正されていますので、注意が必要です。
最新の社会保険料の計算方法はこちらをご覧下さい。
(4)社会保険料を合法的に節約する方法
1.社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)を節約する方法
@2ヶ月以内の有期雇用契約を締結する
A常勤役員を非常勤役員にする。
B退職日は月末の前日にする。
C休職期間を短くする。
D4月〜6月支給の残業代を減らす。
E高齢役員の報酬月額を減額する。
F定期昇給の時期を4月から7月に変更する。
G個人事業を活用する。
※賞与の社会保険料節約はこちらをご覧下さい。
2.労働保険料(労災保険料・雇用保険料)を節約する方法
@メリット制を活用する。(労災保険料)
A本社を工場から移転し、個別に加入する。(労災保険料)
B被保険者となれない人を活用する。(雇用保険料)
C64歳以上の高齢者を雇用する。(雇用保険料)
3.社会保険料・労働保険料を節約する方法
@パートタイマーの戦力化を図る。
A高齢社員の戦力化を図る。
B雇用契約から請負契約に変更する。
C雇用契約から業務委託契約(委任契約)に変更する。
(5)雇用形態と社会保険料
正社員、パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託等の社会保険の適用と社会保険料の負担は労働時間数、労働日数等により異なってきますので、注意が必要です。
@正社員と社会保険料
正社員と社会保険料の詳細はこちらをご覧下さい。
Aパートタイマー・アルバイトと社会保険料
パートタイマー・アルバイトと社会保険料の詳細はこちらをご覧下さい。
B契約社員・嘱託と社会保険料
契約社員・嘱託と社会保険料の詳細はこちらをご覧下さい。
(6)社会保険料の控除
社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)の従業員負担分は、月給及び賞与より控除され、事業主負担分と合わせて納付されます。
@給与からの社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)の控除
給与からの社会保険料の控除はこちらをご覧下さい。
A賞与からの社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)の控除
賞与からの社会保険料の控除はこちらをご覧下さい。
(7)法定福利費と社会保険料
法定福利費とは、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料、児童手当拠出金のうち企業負担分を言います。これに対し、法定外福利費には、医療保健に関する費用、食事に関する費用、文化・体育・娯楽に関する費用・私的保険制度への拠出金、労災付加給付の費用、慶弔見舞金の費用等があります。
法定福利費と法定外福利費を合わせて福利厚生費と呼びます。法定福利費は、現在直接人件費の約15%ですが、一人当たりの法定外福利費は企業規模による格差が大きく、従業員5000人以上の企業で27,800円に対し、従業員30人以上100人未満の企業でで6,900円です(1998年調査)。
また、法定外福利費は年々減少していますが、法定福利費は社会保険料の引き上げの影響で毎年増加しています。福利厚生費を抑えるには、法定福利費の伸びを抑えることが経営の課題となっています。注意したいのは、法定福利費を抑えるため、従業員にしわ寄せが行かない方法を選択すべきです。従業員のやる気を削ぐ方法では、企業業績の伸びは期待出来ません。
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