整理解雇
整理解雇とは、会社経営上の理由により人員削減が必要な場合に行われる解雇をいいます。
整理解雇をするためには、原則として、「整理解雇の4要件」を満たすことが必要です。
整理解雇の4要件
整理解雇は、原則として下記の4要件を満たすことが必要です。
@企業が客観的に高度の経営危機にあり、解雇による人員削減が必要やむを得ないこと。(人員削減の必要性)
A解雇を回避するために具体的な措置を講ずる努力が十分になされたこと。(解雇回避努力)
B解雇の基準及びその適用(被解雇者の選定)が合理的であること。(人選の合理性)
C人員整理の必要性と内容について労働者に対し誠実に説明を行い、かつ十分に協議して納得を得るよう努力を尽くしたこと。(労働者に対する説明協議)
※現在、上記整理解雇の4要件を4要素と見る見解も有力になってきています。
(1)人員削減の必要性
(人員削減の必要性と整理解雇)
「極度の経営不振に陥り企業倒壊の寸前まで追い込まれたため、企業再建の方策として人員整理を含む新たな経営方針を樹立し(中略)、組合と協議を重ねたのであるが(中略)、かかる事情の下において(中略)、人員の整理を実施したからとて(中略)、所論の違法もない。」(S29.1.21最高裁「池貝鉄工事件」)
(2)解雇回避努力
(解雇回避努力)
「企業に人員整理の必要が高度に存するにも拘わらず、整理解雇という手段に訴えることを極力制約しようとする論理は、解雇に先立ち、出向・配置転換・任意退職の募集・一時帰休その他解雇回避のための努力を最大限に要求し、この点に不徹底がある以上解雇を許さないとするものである。」(S54.7.31岡山地裁「住友重機玉島製作所事件)
(3)人選の合理性
(定年まじかの高齢者を対象とする人選)
「『昭和63年12月31日までに満53歳以上に達する者』を解雇の対象とすることの合理性については、高齢者は若年者に比べて再就職が困難である等の事情はあるものの、被告における定年は55歳であって、勤務を続けるとしても最大限約2年であるうえ、退職金の支給や福利厚生関係その他の点で前期認定のとおりの配慮が払われていることなどを考慮すると、右解雇基準は、恣意の入らない客観的基準として、合理性を有するものというべきである。」(H4.11.25福岡地裁「三井石炭鉱業事件」
(遅刻・早退・欠勤の総合計時間を基準とした人選)
「遅刻、早退、欠勤の総合計時間の多寡を整理解雇の人選基準とすることは、整理解雇における人選基準として想定し得る基準の中でも相当程度客観的かつ合理的な部類に属するものであるということが出来ることにも鑑みれば、本件人選基準は合理性を有する。」(H12.1.12東京地裁「明治書院事件」)
(人事考課をもとにした人選→合理的でないと判断)
「使用者たる者は人員整理の必要がある場合であってもその対象者の選定に当たっては主観的恣意的な選定に陥らない様、客観的合理的な選定をなすべき信義則上の義務があることは前記のとおりであるところ、会社が本件被解雇者として申請人らを選定したことは客観性、合理性を欠くといわざるをえないことは前段認定のとおりであり、そのことは反面からいえば右の人選に主観的恣意的評価の混在を推測させるものといわざるをえないから結局本件解雇は申請人らのその余の主張(不当労働行為、差別扱等)について判断するまでもなく解雇権の濫用をして無効」(S51.5.26大阪地裁「平野金属事件」)
(4)労働者に対する説明協議
(労使間での協議と整理解雇)
「被告は、分会に対し、人員削減対策の必要性、実施時期、方法等を提示可能な資料を示して説明し、第2次希望退職募集以後、今後4名の人員削減対策を実施したいとして整理解雇の可能性とその規模に触れて説明したことが認められるが、整理解雇の具体的な実施につき明確な意思表示を避けたまま4名の整理解雇に踏み切ったもので、希望退職募集後の整理解雇の有無・時期・方法、さらに受注台数の減少に伴う整理解雇の必要性につき分会の納得を得るため誠意をもって協議を尽くしたとまでは認めがたい。」(H10.6.2高松地裁「高松重機事件」)
(5)整理解雇の4要件を緩和した最近の判例
(解雇回避努力を欠く整理解雇の有効性)
「解雇回避努力を尽くしていなかったとしても、そのことから直ちに本件解雇が権利の濫用として無効であるということは出来ない。」(H11.11.29東京地裁「角川文化振興財団事件」)
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