年金記録改ざん問題





10月3日の厚生労働省の発表で年金記録(標準報酬月額)の改ざんについて発表がありました。


その発表によりますと昭和61年以降標準報酬月額が改ざんされたと見られる数は次の通りです。


(1)標準報酬月額を一気に5等級以上引き下げた数→75万件

(2)過去6ヶ月以上遡り標準報酬月額を引き下げた数→53万3000件

(3)標準報酬月額の引下げ処理と同日もしくは翌日に厚生年金から脱退手続きをとった数→15万6000件


上記(1)、(2)、(3)の全てに該当する数→6万9000件


上記の数のうち、全てが年金記録の改ざんとはいえませんが、これらの数字から判断して年金記録の改ざんが行われたのは100万件超という報道もあります。


社会保険庁は年金記録改ざんの疑いが最も濃い上記(1)、(2)、(3)の全てに該当する6万9千件に該当する受給者・被保険者の家庭を訪問し、実態を調査するとしています。


そもそも標準報酬月額とは何のことでしょう。


社会保険(厚生年金保険、健康保険、介護保険)では、月給の代わりに標準報酬月額という概念を用い、保険料の決定と保険給付(年金給付)を行っています。


例えば、月給が29万円以上31万円未満の範囲内の人の標準報酬月額は30万円と決定されます。


標準報酬月額は、最低98,000円から最高62万円の30等級に分かれます。


30等級の内訳は、厚生年金保険料額表をご覧下さい


保険料は、毎月この標準報酬月額に所定の料率をかけて計算し、納付する必要があります。


社会保険料の計算方法、納付に関しましては、こちらをご覧下さい。


こうして計算された保険料のうち半分は被保険者の負担ということで給料から天引きされます。


被保険者負担分、会社負担分の保険料合計額の納付義務は、会社にあります。


月給30万円(18等級)の人の厚生年金保険料は、46,050円納付義務がありますが、これを5等級引下げ標準報酬月額20万円(13等級)とすると厚生年金保険料は30,700円納付すれば済みます。


月額15,350円のコストダウンになります。従業員が10人いれば月額約15万円、年間では約180万円のコストダウンに繋がります。


また、標準報酬月額30万円に応じた保険料を従業員から天引きしながら、標準報酬月額は20万円として届出ると、標準報酬月額30万円に応じた従業員の保険料負担は23,025円となり、一方、会社の納付義務額は30,700円なので、会社の負担額は7,675円で済みます。


会社としては、毎月23,025円(30,700円−7,675円)のコストダウンとなり、従業員が10人いれば月額約23万円、年間では約276万円のコストダウンを実現することが出来ます。


社会保険料の重い負担に悩む会社経営者と社会保険料の納付率を上げたい社会保険事務所の利害が一致し、こうした標準報酬月額の改ざんが横行していたのです。


一方、従業員の方は、標準報酬月額が引き下げられたため、受給する年金額がその分減少してしまいます。


老齢厚生年金の受給額の計算方法はこちらをご覧下さい。


こうした犯罪行為が横行していたことは、消えた年金問題ではなく、消された年金記録問題として糾弾すべき行為です。


関係した会社の経営者及び担当者、社会保険事務所の管理者及び担当者の処分は当然として、こうして消された年金記録に基づき既に年金を受給している人の救済を急ぐべきです。


標準報酬月額が正しいかどうかは、給与明細書と照合する必要があります。しかしながら、過去の給与明細書を保管している人はほとんどいないでしょう。


そして証拠書類がなくても被害を受けた従業員は救済されるべきですし、このような不正から自分の身を守るためにも今後は給与明細書は全て保管することが必要だと思います。


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