高齢者の賃金設計

高齢者の賃金設計とは、在職老齢年金、高年齢雇用継続給付
を活用し、給与の月額は引き下げても本人の手取額はそれほど
下げずに会社負担額は大幅に減少させることが出来る手法です。


(1)高齢者の賃金設計とは


高齢者の賃金設計とは、在職老齢年金高年齢雇用継続給付を活用し、給与の月額は引き下げても本人の手取額はそれほど下げずに会社負担額は大幅に減少させることが出来る手法です。


平成25年4月以降より、男性の特別支給の老齢厚生年金が61歳〜64歳(生年月日により異なります)以降からしか支給されない世代ご登場します。つまり、60歳の定年退職で退職すると年金が支給されない世代が出てきます。


そこで、政府は、平成25年4月以降は
希望すれば,原則として、全員が65歳まで継続雇用されるように、「高年齢者雇用安定法」を一部改正しました。


こうした動きに対応し、平成25年4月以降の高齢者の賃金決定をどうするか検討する企業が増加しています。



(2)60歳代前半(60歳以上65歳未満)の高齢者の最適賃金設計


【事例】

昭和29年1月28日生まれ、59歳時月給40万円、通勤交通費2万円、賞与6月80万円、12月80万円の従業員の60歳時の賃金を23.7万円、通勤交通費2万円、61歳以降の特別支給の老齢厚生年金報酬比例部分月額10万円と想定とすると、次のようになります。(住民税、所得税は概算、社会保険料、所得税、住民税は平成20年8月現在の法令を前提、単位は円、以下の事例も同じです)

59歳になる年 62歳になる年 差額
給与 4,800,000 2,844,000 1,956,000
通勤交通費 240,000 240,000 0
賞与 1,600,000 0 1,600,000
小計 6,640,000 3,084,000 3,556,000
在職老齢年金 0 720,000 720,000
高年齢雇用継続給付 0 454,885 454,885
年金併給調整額 0 ▲187,200 187,200
総受取り合計 6,640,000 4,071,685 2,568,315
所得税 200,800 31,700 169,100
住民税 309700 77,100 232,600
社会保険料 836,460 415,937 420,523
手取額合計 5,293,039 3,546,948 1,746,091
会社負担分 7,526,260 3,523,067 4,003,193


上記設計事例では、月給を40万円から23.7万円(40.75%の減少)に引き下げることで、会社負担額を4,003,193円(53,19%)引下げることが出来、従業員の手取額は1,746,091円(32.99%)下げるに留めることが出来ます。


上記事例は、59歳時の年収による60歳時の住民税の影響を避けるため、59歳になる年と62歳になる年で比較しています。



※社会保険の同日得喪


定年制の有無に係らず、高齢者が退職し、翌日より再雇用されますと、退職した翌日に社会保険(厚生年金保険、健康保険)の資格喪失と資格取得を同時に行うことが出来ます。これを社会保険の同日得喪の特例と呼んでいます。通常は、標準報酬月額が2等級以上低下(上昇)して、3ヵ月後に社会保険料が変更(これを随時改定と呼んでいます)されますが、同日得喪の特例により、退職月の翌月より、標準報酬月額が変更され、それに伴い社会保険料を変更することが可能となります。(平成22年9月1日以降実施、平成22年6月10日保発第0610第2号)


「再雇用」の場合は、一旦退職するので同日得喪の特例が使えますが、「勤務延長」の場合は、一旦退職しないので、同日得喪の特例が使えません。従って、以下の「高齢者の最適賃金設計」においては、再雇用を前提に同日得喪したものとして話を進めます。


※60歳以降の賃金設計を行う場合、所得税、住民税、社会保険料等の控除額を出来るだけ正確に計算し、正味手取額で比較することが大切です


(3)高齢者(60歳以上65歳未満)の場合、月給32万円と月給27万円とでは、どちらが手取額は多いでしょう?


【事例】

昭和29年1月28日生まれの男性。59歳時の給与50万円、通勤交通費1.5万円、賞与(6月100万円、12月100万円)、61歳以降の特別支給の老齢厚生年金報酬比例部分月額12万円と想定します。この男性の60歳時以降の月給を27万円、通勤交通費1.5万円、合計28.5万円、賞与0円とした場合と、月給32万円、通勤交通費1.5万円、合計33.5万円、賞与0円とした場合、どちらが手取額が多いでしょう。


常識的に考えると、月給32万円の場合の方が多いと考えるでしょう。


ところが、下記の通り正確に計算すると、月給27万円の方が多いのです。


すなわち、多くの企業では会社負担を多くしているにも係らず、本人の手取額は減少しているのです。


会社経営を考えるとこれは大きな無駄ではないでしょうか?



@月給27万円の場合の60歳〜64歳までの本人手取額と会社負担額の推移

60歳になる年 61歳になる年 62歳になる年 63歳になる年 64歳になる年 合計
本人手取金額 3,076,041 3,573,442 3,751,095 3,751,548 3,746,501 17,898,627
会社負担額 4,146,235 3,888,228 3,894,175, 3,900,122 3,906,069 19,734,829



A月給32万円の場合の60歳〜64歳までの本人手取額と会社負担額の推移

60歳になる年 61歳になる年 62歳になる年 63歳になる年 64歳になる年 合計
本人手取金額 3,149,676 3,488,681 3,637,059 3,635,937 3,629,916 17,541,269
会社負担額 4,785,423 4,586,769 4,593,990 4,601,212 4,608,433 23,175,827



月給27万円と月給32万円との5年間合計の差額

本人の手取額 17,541,269円ー17,898,627円=△357,358円

会社負担額  23,175,827円ー19,734,829円=3,440,998円



この様に、月給を増やしているにも係らず、本人の手取額は5年間合計で、357,358円減少し、会社負担額は3,440,998円も増加しています。


原因は、月給を引上げることで、在職老齢年金と高年齢雇用継続基本給付金が減少することと、控除される所得税、住民税、社会保険料が増加するためです。


5年間で、344万円も多く支給しているにも係らず、本人の手取額は逆に357,358円も減少するのです。


この様に、59歳時の年収が高い方には、従来の月給の約4割を減少させれば、本人の手取額が最大となり、会社負担額を大幅に減少させることが出来るという「高齢者賃金設計」の考え方が通用しません。


社長様、このまま、月給32万円の支給を続け従業員本人の手取額を減少させますか、それとも「新しい高齢者賃金設計」で会社負担額は月給32万円の場合と同じで、従業員本人の手取額を約272万円増加させる方法を選択されますか?


新しい高齢者賃金設計」の詳細に興味のある方は、下記をご覧下さい。
↓       ↓       ↓
高齢者の場合月給32万円の人より月給27万円の人の方が手取額は多いことをご存じですか?『最強高齢者の賃金決定マニュアルV3.0』
(平成25年4月以降シュミレーション版)


(4)平成25年4月以降の高齢者(60歳以上65歳未満)の給与設計

昭和28年4月2日以降生まれの男性が60歳を迎える平成25年4月以降は、在職老齢年金が支給されません。退職すれば、61歳まで無年金となります。


私のシュミレーションでは、60歳と61歳の手取額を比較すると、約40万円〜70万円60歳の方が手取額が低くなります。会社が給与等を引き上げてくれないとこの間の従業員の生活は、かなり厳しいものとなります。


ところで、高齢者の場合、上記で説明したように公的給付を最大限活用した「最適賃金」を超える給与を会社が支給しても従業員の手取額は増加しないことに注意すべきです。


従って、会社は個人毎に公的給付を活用した「最適賃金」はいくらか計算し、それを超える部分を会社が支給する場合は、月給や賞与を引き上げるのではなく、別の方法で支給べきです。


詳しくは、下記の情報を参照してください。
    ↓   ↓   ↓
『最強高齢者の賃金決定マニュアルV3.0』


(5)60歳代後半(65歳以上)の高齢者の最適賃金設計


65歳以上の高齢者の場合、高年齢雇用継続給付金は支給されませんが、老齢基礎年金は全額支給されます


60歳代前半(60歳以上65歳未満)の高齢者の場合、給与・賞与・年金額の合計金額と一定の金額(28万円)とを比較し、年金の支給停止額額が決定されますが、60歳代後半(65歳以上)の高齢者の場合、給与・賞与・老齢厚生年金の合計額と一定の金額(46万円)とを比較し、老齢厚生年金の支給停止額が決定されます。


65歳以上の高齢者の最適賃金を求めるには、以上の事情を加味して算出する必要があり、60歳代前半(60歳以上65歳未満)の方の最適賃金の算出方法とは、異なる方法で算出する必要があります。



詳しくは、下記の情報を参照してください。
    ↓   ↓   ↓
『最強高齢者の賃金決定マニュアルV3.0』



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