解雇権濫用法理

解雇権濫用法理とは、使用者の解雇権の行使は、
客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認する
ことが出来ない場合には、解雇権の濫用として無効になることです。



(1)解雇権濫用法理とは


解雇権濫用法理とは、使用者の解雇権の行使は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することが出来ない場合には、解雇権の濫用として無効になることです。

重要なのは、「客観的に合理的な理由」がない限り、使用者の解雇権行使は、解雇権濫用で無効としている点です。(日本食塩製造事件最高裁昭和50年4月25日判決)


(2)立証責任は誰か


解雇自由が原則で、例外として、権利濫用となる場合には解雇が無効とされるのですから、解雇の無効を主張する労働者の側で、例外に該当すること、つまり権利濫用となるような事情のあることを主張立証すべきことになります。

しかし、裁判実務では逆に会社側に立証責任を負わせています。会社が「客観的合理的な理由と社会通念上相当性」のあることを立証出来ないと、解雇は無効とされます。



(3)社会通念上解雇が相当であることが必要


午前6時からの10分間のニュース担当の宿直のアナウンサーが2週間に2回寝過ごして番組に穴を空けたケースですが、判決では、就業規則の普通解雇事由に該当することを認めた上で、悪意・故意の不存在、ともに宿直をして先に起きてアナウンサーを起こすべき記者も寝過ごしたこと、本人の無事故暦等から解雇権の濫用を認め、解雇は無効とされました。(高知放送事件最高裁昭和52年1月31日判決)

「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇し得るものでなく、当該具体的な事情の下において、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるというべきである」として、
解雇事由があるだけではただちに解雇有効とは言えないという判断をしました。


(4)成績不良を理由とする解雇


正規従業員を勤務成績・勤務態度の不良を理由として解雇する場合は、@それが単なる成績不良ではなく、企業経営や企業運営に現に支障・損害を生じ、または重大な損害を生ずる恐れがあり、企業から排除しなければならない程度に至っていることを要すること。A是正のため注意し反省を促したにもかかわらず改善されないなど、今後の改善の見込みもないことさらに配転や降格なども考慮して、解雇権の濫用の有無を判断すべきとしています。(エース損害保険事件東京地裁平成13年8月10日決定)

このように裁判所は、整理解雇でなくても出来るだけ、解雇回避の努力を会社に求めているのが現状です。



(5)会社の対抗策


以上の判例を踏まえて会社側の対抗策としては、不正行為を理由とする懲戒解雇は別として、普通解雇においては、就業規則上の解雇事由があるだけではただちに解雇有効とはならないこと、解雇回避努力も必要なこと、整理解雇においても原則として整理解雇の4要件を満たす必要があること、さらに、解雇が有効であることを会社側が立証しなければならないことなどハードルが高い点を踏まえておくべきです。


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