普通解雇

普通解雇とは、就業規則の普通解雇事由に相当する事実があって行われる解雇をいいます。
判例・通達等をみながら、普通解雇の有効・無効の判断の研究をしてみたいと思います。


(1)試用期間中の解雇


試用期間中の解雇)

「試用期間中は前期のようなこれを置く趣旨に鑑み、右適格性等の判定にあたって使用者に就業規則等に定められた解雇事由や解雇手続等に必ずしも拘束されない、いっそう広い裁量・判断権(かような広い裁量・判断権を含む解雇権)が留保されているものと解するのが相当」(S48.03.23東京高裁「静岡宇部コンクリート工業事件」)



(2)労働義務の不履行による解雇


(労働者の責に帰すべき事由と解雇)

「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」
「出勤不良又は出欠常ならず、数回に亘って注意を受けても改めない場合」
(S23.11.11基発1637号、S31.3.1発111号)


(多数回に及ぶ遅刻と解雇)

「回数にして60回、累計時間にして6630分(110時間30分)に及ぶ遅刻」(S61.11.28東京高裁「日産自動車事件」)


(3)労働能率の不良、能力不足による解雇


(勤務成績不良・能力不足と解雇)

「たびたび業務命令を無視し、業務処理能力に欠け、勤務態度が劣り、その反省心が全くなかったものというべき(中略)、よって本件解雇は有効」(H7.7.7東京地裁「メディア・テクニカル事件」)


(人事本部長としての能力不足による解雇)

「人事本部長という地位を特定した契約であって(中略)、人事本部長として不適格と判断した場合に、あらためて右規則10条に則り異なる職位・職種への適格性を判定し、当該部署への配置転換等を命ずべき義務を負うものではないと解するのが相当」(S59.3.30東京高裁「フォード自動車事件」)


(人事考課を根拠とする解雇)

「『労働能力が劣り、向上の見込がない』というのは、右のような相対評価を前提とするものと解するものは相当ではない。すでに述べたように、他の解雇事由との比較においても、右解雇事由は、極めて限定的に解さなければならないのであって、常に相対的に考課順位が低い者の解雇を許容するものと解することが出来ないからである。」(H11.10.15東京高裁「セガ・エンタープライゼズ事件」)



(4)労務提供不能による解雇


(心身の故障による解雇)

「症状固定の状態(治療を継続しても医療効果これ以上期待出来ない状態)になれば、再就職の困難さという点についてもそれ以上の改善の見込が失われるのであるから、症状固定時以降は、再就職可能性の回復を期待して解雇を一般的に禁止すべき理由はなくなる。」(H2.4.27名古屋地裁「名古屋埠頭事件」)


(休職後の解雇)

「直ちに従前業務に復帰出来ない場合でも、比較的短期間で復帰することが可能である場合には、休業又は休職に至る事情、使用者の規模、業種、労働者の配置等の実情から見て、短期間の復帰準備期間を提供したり、教育的措置をとるなどの信義則上求められる。」(H11.10.8大阪地裁「全日空空輸事件」)



(5)組織不適応・業務適正の欠如による解雇


(業務適正の欠如と解雇)

「職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合において(中略)、特定の業務について労務の提供が十全には出来ないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易度等に照らして、他の業務について労務の提供をすることが出来、かつ、その提供を申し出ているならば、(業務適正がないことを理由とする解雇は無効)」(H10.4.9最高裁「片山組事件」)



(6)業務命令違反による解雇


(業務上の指示命令違反による解雇)

「命令を無視し、違反行為を行おうとしたため、職場規律維持の上で支障が少ない業務へ転換したことは職場管理上やむを得ない措置ということが出来、これが殊更被上告人に対して不利益を課するという違法、不当な目的でされたものであるとは認められない。」(H5.6.11最高裁「国鉄鹿児島自動車営業所事件」)


(残業命令拒否による解雇)

「残業命令に従わなかった原告に対し被告会社のした懲戒解雇が権利の濫用に該当するということも出来ない。」(H3.11.18最高裁「日立製作所武蔵工場事件」)


(転勤命令拒否と解雇)

「転勤命令が他の不当な動機、目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令はは権利の濫用になるものではない。」(S617.14最高裁「東亜ペイント事件」)


(出向命令拒否と解雇)

「採用の際に会社の出向制度を理解し、将来における関連会社等への出向について予め包括的同意を被申請人会社に与えたもの(中略)、会社は申請人に関する将来の他の二社のうちのいずれかへの出向を命ずる権限を取得したもの。」(S55.3.26.名古屋地裁「興和事件」)

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