懲戒解雇
懲戒解雇とは、就業規則上の最も重い懲戒処分が科されて行われる解雇のことをいいます。
判例・通達等をみながら、懲戒解雇の有効・無効の判断の研究をしてみたいと思います。
(1)会社の名誉・信用の毀損
(会社の信用の毀損と解雇)
「会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上で行われたものであっても、これに対して会社の規制を及ぼしうることは当然認めなければならない。」(S49.3.15最高裁「日本鋼管事件」)
(2)勤怠不良
(労働者の責に帰すべき事由と解雇)
「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」
「出勤不良又は出欠常ならず、数回に亘って注意を受けても改めない場合」
(S23.11.11基発1637号、S31.3.1発111号)
(多数回に及ぶ遅刻と解雇)
「回数にして60回、累計時間にして6630分(110時間30分)に及ぶ遅刻」(S61.11.28東京高裁「日産自動車事件」)
(3)虚偽報告
(経歴詐称と解雇)
「経歴詐称の詐術を用いて雇入れられたこと自体を制裁の対象とするに妨げなきもの。」(S25.8.31東京地裁「大和毛織事件」)
(不信義性と解雇)
「資料の一つである前歴を秘匿してその価値判断を誤らしめたという不信義性が懲戒事由とされる。」(S。30.7.19東京地裁「東京出版販売事件」)
(学歴詐称と解雇)
「2回にわたり懲役刑を受けたことを及び雇入れられる際に学歴を偽ったことが被上告会社就業規則所定の懲戒解雇事由に該当する。」(H3.9.19最高裁「炭研精工事件})
(業務上の虚偽報告)
「警告を熟知していたにもかかわらず、あえてこれを無視し、前記不正打刻に及んだものであって、このような事実関係のもとにおいてはこの不正打刻がふとしたはずみの偶発的なものという認定は極めて合理性に乏しく、原告の懲戒解雇は有効である。」(S42.3.2最高裁「八戸鋼業事件」
(4)内部告発と機密漏洩
(内部告発・機密漏洩と解雇)
「内部の不正疑惑を解明する目的で行動していたもので、実際の疑惑解明につながったケースもあり、内部の不正を糾すという観点からはむしろ被控訴人の利益に合致するところもあったというべき(中略)、控訴人らの各行為に懲戒解雇に当たるほどの違法性があったとはにわかに解されない。」(H14.7.2福岡高裁「宮崎信用金庫事件」)
(5)二重就職の禁止義務違反
(二重就職禁止義務違反と解雇)
「無断で二重就職したことは、それ自体が企業秩序を阻害する行為であり、債務者に対する雇用契約上の信用関係を破壊する行為と評価されうる。」(S57.11.19東京地裁「小川建設事件」)
(二重就職禁止義務違反の例外と解雇)
「休職期間中近くの守田織物工場の主人の守田某に手伝いを頼まれた(中略)もので(中略)、企業秩序に影響せず、会社に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度のものは含まれないと解する(中略)、したがってこれを懲戒事由とすることが出来ない。」(S40.12.16浦和地裁「平仙レース事件」)
(6)刑事犯罪
(有罪判決を受けた者の懲戒処分と解雇)
「従業員の職場外でされた職務遂行に関係のない所為であっても、企業秩序に直接の関連を有するものもあり、それが規制の対象となりうる。」(S49.2.28最高裁「国鉄中国支社事件」)
(7)私生活上の非行
(酩酊による非行と解雇)
「右犯行は酔余に出たものであることが認められ、その処罰が小額の罰金刑に止まる点からみても、その罪質、情状において比較的軽微なものであった(中略)、社会的に報道されなかった事実は争いがなく(中略)、企業上問題となるような現実の損害を生じた事実については、疎明がない(従って、懲戒解雇は無効)(S41.2.10東京地裁「横浜ゴム平塚製作所事件」)
(8)政治活動・宗教活動
(職場における宗教活動と解雇)
「職場は業務遂行のための場であって政治活動その他従業員の私的活動のための場所でないから、従業員は職場内において当然には政治活動をする権利を有するというわけのものでない(中略)、企業秩序維持の見地から、就業規則により職場内における政治活動を禁止することは、合理的な定めとして許される。」(S52.12.13最高裁「目黒電報電話局事件」)
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