「顧客第一主義」とは、「顧客のニーズを何よりも第一に考える。顧客の観点からプロセスを理解する。」と、説明されている。
GEエジソンのミッションや戦略のいたるところで、「顧客」とか「カスタマー」という表現が使われていた。日本的な感覚で言うと、「顧客」とか「カスタマー」という場合には、その企業の商品やサービスを購入してくれる人とか、サービスの対象者という意味で使われることが多く、一般的には「一般消費者、一般生活者」である。
特に生命保険会社においては、「顧客=生命保険の契約者や被保険者や保険金受取人、または契約者や被保険者や保険金受取人になりうる可能性を持っている人」という解釈が一般的である。しかし、エジソンの場合は大きくニュアンスが異なっていた。
第一に、いたるところで「顧客」と表現されている理由は、「エジソンは顧客を大切にしています」ということを、社内・社外を問わずアピールしたいという意図があるからだ。少し歪んだ見方であるが、社員全員が常に顧客のことを意識していれば、何も「顧客第一主義」という言葉をミッションとして表現する必要は無い。逆に言うと、ミッションとして表現しなければ忘れ去られてしまう危険性があること、対外的なイメージを強く意識して、あへて言葉として表現しているのである。
二つ目のニュアンスは、顧客、顧客と声を大にしながら、エジソンの経営陣やマネジャーが一般消費者や一般生活者に接する機会はほとんどないことであった。一歩引いて、一般消費者や一般生活者に日常接している営業社員や保険代理店の募集人を第二の顧客と捉えてみても、彼等が営業社員や募集人に直接接する機会は極めて少なかった。顧客第一主義と表現するならば、実際の顧客や顧客に日常的に接している人達が何を感じ、何を考えているかを理解しようと努力することが必要なのだ。それを行なわないのは、単なるアドバルーンに過ぎない。
三つ目のニュアンスの違いは、ミッションにも述べられているように、「顧客」をお客様、株主、社員というように分けていることである。その中で一番大切にされているのは株主である。株主といってもエジソンの株は公開されているわけではないので、株主=親会社ということになる。つまり、エジソンにとって一番大切な顧客は親会社なのである。実行される戦略や業務のほとんどは、親会社を意識しながら行なっているのだった。
GEバリューで掲げられている「顧客第一主義」とは、対外的なイメージアップのためであり、親会社を観て(見てではなく)仕事をするためなのである。

顧客第一主義を謳っているのは何故?