俊樹の部屋(?)

俊樹の部屋(第27回)


(00.11.10アップデイト)

1996年5月30日、歴史は始まりました。ついに布川俊樹のホームページがスタートしたのです。このページを立ち上げた4、5月はギターを弾くよりとにかくこのホームページ製作に追われる日々、日夜Macに向かっておりました。この「俊樹の部屋」は毎回僕がたわいもないことをエッセイ的に書き連ねたり、「徹子の部屋」みたいにゲストを呼んで対談をする、みたいなコーナーであります。

さて、マレーシアKL(クアラルンプール)漫遊記第3回をお送りしましょう。今回はグルメ紀行ではなく、コンサート・レポートですぞ(笑)。


9月9日(土)の続き

いよいよ今日はKL2日めのコンサートだ。昨日はお客さんの入りももう1つだったが演奏は初日にしては大変うまく行ったと思う。初めての場所、初めてのメンツは独特の緊張感があってよい。昨日の時点で早くもバンドのコミュニケーションはばっちり(?)になっているので、今日はリハなし。サックスのグレッグが6時くらいにホテルに迎えに来てくれる。メンツと演奏曲目は前回お伝えしたように

布川俊樹(g)、納浩一(b)、グレッグ・ライオンズ(sax)、マイケル・ヴェラパン(key)、ルイス・パルガサム(ds)、スティーヴ・ソーントン(perc)という布陣。

1st Set
(1)三色の虹 (2)クプクプ (3)トリオでスタンダード(何やったか忘れた) (4)フラグメント

2nd Set
(1)暑い夏の冷たい涙 (2)星砂 (3)全員でスタンダード(これも忘れた) (4)ペキンダックブルース (5)Nox

アンコール
ドクターヴィレッジ

の予定だ。スタンダード曲は毎日の気分で決めている。実は3日めはグレッグは参加しないので(シンガポールで仕事があるらしい)、サックス入りは今日が最後である。いよいよコンサートの開始だ。今日はほとんど満員。お客さんは白人が最も多い感じ。あとはインド人っぽい感じの人やマレーシア人という感じの人達が主だ。日本人は予想したほどいない(何でも3日めに在住邦人の予約が多いらしい)。1曲めは納ちゃんのリーダー・アルバムのタイトル曲。テーマの後、グレッグのゴリゴリのソロから複雑な決めのパートを過ぎてスティーブのコンガ・ソロ。これが凄まじい。音の通り方もさることながら、世界トップクラスのグルーヴとはこれか、と思わざるを得ない。佐々木投手が大リーグに行って投げてるのってこんな感じなんだろうなあ‥。「ディパーチャー」録音時以来のグルーヴ・ショックだ(あ、そうだ、山木秀夫さんは大リーグ的凄さだ)。もうそのサウンドに聴き惚れちゃっているうちに拙者のソロがまわってくる。そういう凄まじいサウンドの後では身も引き締まる思いだ(笑)。アリア布川モデルでちょっとロックぽいソロで行ってみた。お客さんは相当楽しんでいる様子でやりやすい。聴いて乗っている感じが伝わってくる。さて、曲を終え拍手喝采の中、今回のコンサートで最も緊張する英語のMCである(笑)。まあ一通りご挨拶とKLのミュージシャンの素晴らしさなどを語りつつメンバー紹介。一応、大体曲のタイトルの説明なんかをしたりする。これが結構受けた。受けると調子に乗る生来の性格なのでへたくそな英語で色々しゃべくってしまった。2曲めは「デュオラマ」から僕のオリジナルの「クプクプ」。これは、以前バリ島に旅行して泊まったウブドのクプクプバロンというホテルがあまりに素晴らしかったのでそこから取ったものだが、インドネシアの言葉で蝶の意味。軽快な曲なのでいいネーミングでしょ(でもこちらへ来て飲み会のときに実は「クプクプ」は蝶というより蛾だと現地の人に言われてしまった。蝶は「ラマラマ」だって。次は「ラマラマ」を作るよなどと約束させられてしまった。ちなみにありがとうは「サマサマ」だったかな)。ピアノのマイケルのソロはちょっとキースとか好きそうな感じで面白いアウトな感じを持っている。3曲めはギター・トリオでスタンダード、ドラムのルイスはものすごく音楽の流れを的確に聴き取る人で本当にうまく流れを作り出す(僕が打ち上げのときに intuitive と彼のプレイを評したらとても喜んでいた)。グルーヴの感じはいままでに聴いたことのないタイプ。何かうまく言えないけどアメリカ的でない感じなんだな。彼がインド系でその伝統音楽的なものにも精通していることと関係があるかもしれない。そして1st Setの最後はいつもソロで盛り上がる曲、「フラグメント」。何かこのKLの地でこういう自分の曲をやれるのも嬉しいものである。ちょっといつもよりはゆっくりめのテンポで落ち着いたグルーヴで演奏した。そして、ていくあしょーとぶれいく、あいるびーらいっばっくして2nd Set。「デュオラマ」から珠玉のバラード群である(自分で言うか)。納ちゃんは、ウッドベースが借り物でコンディションがきついにもかかわらず、それを感じさせない素晴らしい演奏。僕はヘリテージのセミアコでプレイ。そして全員参加のスタンダードは誰しも知っている簡単な曲で自由に盛り上がる(こういうのができるのがジャズマンの強みでしょう。世界のどこでもたぶんジャズ知ってる人ならできる曲があるのは嬉しいことだ)。そして僕のオリジナル「ペキン・ダック・ブルース」。日本でもこの曲の名前の由来はよくMCするのだが、「日本の横浜にも中華街があってそこに行くたびにショーケースにペキンダックがぶら下がってる。それを見ると僕はいつもブルースを感じる。そんな気持ちを込めて作った曲です」とか言ったら結構爆笑になった。英語のMCで笑いを取ったぞ!当然プレイはペキンダックの悲哀を切々と表現した素晴らしいソロになったのであった。さて、最後は今回まさかほんとにやるとは思わなかった難曲、納ちゃんの「Nox」である。これもやたら不気味な曲だけど受けたんだなあ(笑)。そしてアンコール。今度は納ちゃんがしゃべって主宰者の西野さんやスタッフ、現地のミュージシャン、そしてお客さんに感謝の言葉を述べた。まさにコンサート大成功であった!我々は楽屋で乾杯などをしつつ、再び夜の街へ繰り出すのであった。


9月10日(日)

もう胃が滅茶苦茶な状態になってしまった。昨晩は2日連続同じ店で広東料理。紹興酒とかとにかく飲みまくりである。確かこの日にホテルが変わった。コンコードホテル。ようやくきれいなホテルらしいホテルになったぞ。眺望は目の前があの世界一タワー。昼は飲茶、もうだんだん腹に入らなくなってきた(笑)。それでも構わずビールは飲む。もう儀式だな(笑)。西野さん、そしてスリランカから西尾さん、石井さん(前回お名前を失念した方です。数日前、お手紙と写真を頂きました。ここにお礼とお詫びを申し上げます)に我々2人組である。そこでしこたま西野、西尾の建設コンビに世界各地の話を伺った(エジプトの食い物の話とか‥。彼らはほんとに色々な土地のものを食いまくっている。もう最高に面白い話だった)。さてメシが終わったら今度はマッサージに西野さんが連れていってくれた。僕はあまり肩が凝らないので、そんなにマッサージとかやったことがないがやはり気持ちいい。大の男4人並んで若い女子に踏み付けにされてるのもさぞかし壮観であろう(わけがない‥笑)。とにかく今回のツアー何たる歓待!もう終わったらほとんどヘロヘロ状態である。そしてライブ最終日を迎えるのであった。ちなみにマッサージ後のライブというのも結構きつい(笑)。

ぎゃぎゃーんと演奏を白熱のうちに終了したのでありました。

今日は日本人の方も多く、色々と楽屋で演奏後にお話、現地の新聞社「南国新聞」の女性の方2人も見えていて(ちなみにこの新聞に我々の写真が載っていたが、何とパスポート写真だった。これでは犯罪者の国際指名手配みたいではないか‥笑。写真送れって言ってくれたら送ったのに‥)、「ジャズは初めてなんだけど震えるほど感動した」というありがたいお言葉を頂戴する。このようなことがあるから演奏稼業はやめられない(笑)。いやいや、でも初めての男が僕らみたいに上品な人でよかったですねえ(アホ!)。

そしてぎゃぎゃぎゃぎゃーんと打ち上げに。今度は前日とは違うまた中華です。外で食べました。もうあんまり何食ったか覚えてない。久しぶりに差し入れスコッチのガブ飲み。


9月11日(月)

仕事を終了しての滞在は格別のものがある、と言いたいところだが体に鉛でも入ってる感じのけだるさだ。揉み返しも来ている。僕の肝臓はまたしても相当の負担を強いられているに違いない。10年前はこんなことなかったのになあ‥‥(嘆)。さぞかしまずいフォアグラだろう。今日の昼食はさすがにヘビーなものは避けようということで西野さんの経営するラーメン屋さんで軽く。午後はバーベキューという話もあったが、西野さん以下全員死んでいるので、キャンセルしてだらだらとぶらぶらすることになった。露店が並ぶところを西野、西尾、納、布川のカルテットで徘徊。演奏とは打って変わった気合いのなさである。いんちき商品(100円くらいのぐっちとかそんなやつ)に笑って気を抜いているとすぐ「せっくす」などと声をかけられる。中国街を行くとハローロックカフェ(笑)というのを発見して記念写真。そこらじゅうで北京ダックがぶら下がっているがブルースというよりファニーだ。何かわけのわかんない肉の薫製の甘いものを買って食べる。西野さんと西尾さんはとにかくよく食う。さすが、世界を股にかけるパワーはすげえなあ。そしてKL最後の晩餐は今回のコンサートのスポンサーKLのTOTOの社長、さん(お世話になりました)にご馳走して頂く。根性でタイ料理だあ(僕のリクエスト)!タイすきであります。それで赤ワイン。ワインは西野さんは相当ソムリエ入っていて色々教えて頂いた。食ったーーーーーーーーーーーーーーあ!!

その後はミュージシャンには珍しくいわゆる女性のいるらぶです。若者の行くくらぶではない。などと話のネタも尽きてきたのでそろそろ今回の旅行記もお開きとすることにしよう。そこで色々とありーの、次の日は朝早いので、火照る、否ホテルの部屋で楽しいことなどは断じてなかったことだけは書いておく。


9月12日(火)

我々は使命を果たし無事KL脱出に成功したのであった。西野さん、西尾さん、石井さん、関さん、ミュージシャンの方々、スタッフの方々に感謝します。西野さんは来年の夏にまた今度は東南アジア縦断ツアーをやろうとおっしゃってくださった。あの方の愛とパワーがあれば実現するかも‥。今度はリゾートにも行きたい!いまから楽しみだ。

ところで‥‥、結局、納ちゃんのベースは傷モノになってしまったのだった。合掌。ちなみにこちらが写真集です。







ちなみに「俊樹の部屋」のバックナンバーを用意しています。見てない方はチェックしてね。





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