俊樹の部屋(?)

俊樹の部屋(第24回)


(00.1.6アップデイト)

1996年5月30日、歴史は始まりました。ついに布川俊樹のホームページがスタートしたのです。このページを立ち上げた4、5月はギターを弾くよりとにかくこのホームページ製作に追われる日々、日夜Macに向かっておりました。この「俊樹の部屋」は毎回僕がたわいもないことをエッセイ的に書き連ねたり、「徹子の部屋」みたいにゲストを呼んで対談をする、みたいなコーナーであります。

ついにやってまいりました2000年。今回の「俊樹の部屋」は前回に引き続いて新世紀へ向けてジャズシーンを創り出さんと目論む素晴らしいお方をご招待しております。インディーズのレコード会社しおさいZIZOレーベルを主宰する若きドン、石原忍氏であります。後編は彼の今後の展望などを中心に語って行きたいと思います(前編を読んでない方は第23回にジャンプ)。2000年代最初の「俊樹の部屋」です。

布川:
ところでいま話題になっているネット配信とかはどう思いますか?MP3による曲のバラ売りなんて発想もありますよね。カシオペアの向谷氏があのソフトバンクの孫氏と組んで何か会社を立ち上げたって話もありましたよね。
石原:
コンビニや各レコード店の端末でMDにおとせる、とかとにかく色々ありますよね。アルバム一枚とかはどうかと思いますがシングル曲を200〜300円でダウンロードしてみようとかそういった意味ではかなり魅力的ではないでしょうか?著作権、印税等の問題もクリアになってきていますので来年以降かなり広まるのではないかと思っています。NTTの回線料金改定や回線速度の改善がなされてくるとさらなる追い風になるでしょう。
布川:
僕はよくわからないんだけど、現在のMP3の音質ってどの位なんでしょうか。前エンジニアはMDくらいって言ってたけど‥。やっぱり「デュオラマ」くらいこだわったものだとそんな配信は僕はしたくないな。お金を取ってって意味だけど。
石原:
おせじにも良いとは言えませんよね。更なる高圧縮技術が開発中である話も最近よく耳にしますので音楽配信=MP3とはいかないのではないかと思っていますが。たとえばうちのレーベルで音楽配信するとすれば単にサービスとかライブ演奏音源を配信してバンドの音を気軽に知ってもらう、アルバム購入者に対する特典、ある曲の別バージョンや別テイクなど、パッケージングされた作品のプラスアルファ的なアプローチを考えています。そういった機能重視の技術が開発される一方でCD以上の高音質を目指す技術も(理屈ではアナログもそれに入るのでしょうけれど)来年以降一般化されていくでしょう。「デュオラマ」的な作品は明らかにそちら方面でのアプローチを試みるべきでしょうね。
布川:
2000年、そして21世紀に向けてのレーベルとしてやっていきたいこと、あるいは方向性ってのは何でしょう?目標とかあったらお聞かせください。
石原:
1.それぞれのアーティストの本質的な部分を表現できる「作られるべくして作られる作品」のリリース。(レーベルカラーの確立)

2.インディーシーンの横のつながりの強化。

3.効果的なマーケティング手法の模索。

大きく言えばこんな感じです。インディーズレーベル同士が話し合うような場所ってあまりないんですよね。その状況はお金もアイディアもあまりに分散した状況に見えます。様々な苦労に耐えてレーベルを運営してきたノウハウや考え方を少しは共有して 時には共同原盤で大きなプロジェクトやイベントを企画するなどしてみたらと考えています。これは先に述べた2000年2月初旬にオープンする「shiosai Jazz Web」のなかでインディーズ特集を通して行なっていきたいと考えています。あとはJazz作品をビデオクリップとしてケーブルテレビやCS放送に売りこむなどできるだけ外に向かったアプローチを試みて行きたいですね。

布川:
いやあ、さすがに整理されてる。楽しみだなあ。ところで石原さんって音楽の趣向も幅広いじゃないですか。99年の音楽で印象に残ったのは何ですか?ちなみに僕はスティングの「Brand New Day」がベスト。あとはマイク・スターンの「Play」とかスクエアプッシャーの新作「Selection Sixteen」がよかったな。まあ自分のは置いとくとして‥(笑)。あとジェフ・ベックの日本公演をWOWWOWでやってた映像。あれはもう2,3日ショックから立ち直れなかった。CDじゃわかんないよね。行ったライブではやっぱりジョンスコ。新たな方向が見えた。初来日のトライバルテックも印象的だった。ああいうマジなコンテンポラリー系バンドが生き残っているのが嬉しい。それから夏に「金字塔2」の執筆と録音があったんでよくウェスとジョアン・ジルベルトを聴いたんだけど、完全に再認識でしたよ。もう参りました。
石原:
1.DON BYRON 「ROMANCE WITH THE UNSEEN」
ビル・フリゼールとディジョネットのからみが最高です。

2.Jacky Terrasson 「what it is」
ミノ・シネルがプロデュース。ブレッカーやリチャード・ボナ等が参加してそれぞれに斬新で過激で美しいインタープレイ。

3.CAETANO VELOSO 「FEDERICO E GIULIETTA」
この人は何をやっても好きです。キップ・ハンラハンやカエターノがなにかこうJazzと直結した新たな可能性を持っているような、そんな気がしています。(アート・リンゼイつながり?笑)  

4.RANDY NEWMAN 「BAD LOVE」
ミッチェル・フルーム&チャド・ブレイクの名コンビがプロデュース。日本でも例えばオノ・セイゲンさんとかがエンジニアリングまでを含めたトータルなサウンドを作品として打ち出そうとしていますが、DJなど音楽家ではなかったはずの人達が立派にミュージシャンとして認められてきている今ではそういった音へのこだわりはこれからは当然となっていくのでしょうか?前は「ドラムのスネア聴いただけで〜」というとドラマーの手柄だったものがこれなんか 聴いてるとやっぱりチャド・ブレイクの音だ!とか思ってしまいます。

5. KATERINE 「L'HOMME A 3 MAINS」
ゴダールの映像の影響も見せつつテクノロジーをうまく使いこなしています。keyの人が素晴らしいなと思っていたらフランスでは有名なJazzプレイヤーだそうで。

6.IGGY POP 「AVENUE 8」
あのパンクのイギーです。今回は淡々とじっとりと歌い上げています。メデスキー・マーティン・ウッドも参加しています。

7.ライヒ・リミックス
メセニーも共演していたスティーブ・ライヒのリミックス。

8.クラムボン
ピアノトリオでポップスを歌う。日本のポップスもいいとこ多いです。

9.大貫妙子 「アトラクシオン」
KATERINE同様フランス的な感性を持ちつつテクノロジーをもうまく使いつつ、かつアコースティックな曲もまったく違和感なく一枚のアルバムで調和してしまう。素晴らしい個性だとあらためて思いました。

10.チボ・マット 「ステレオタイプA」
デイブ・ダグラス(tp)も参加してます。

布川:
さすが、量聴いてるなあ‥。ちゃんとベスト10になってる(笑)。僕もライヒのリミックスはよかったな。それぐらいしか石原さんのあげたの聴いてないや。そう言えばキース.ジャレットの「The Melody At Night, With You」。この間打ち合わせのときに薦められたじゃない。あれも素晴らしくよかったです。ところで全然話が変わるんだけど、宇多田ヒカルってどうです(笑)?僕はこのページの読者には意外かもしれないけど、相当よいなって思ってるんですよ。またああいうのが大ヒットしたのも日本の音楽状況にとってよかったなって。別に聴こうとは思ってなかったんだけど、どこかの喫茶店で新しいシングルがかかってて、最初は気が付かなくて「こりゃーかっこいいな」って思って聞いてたんですよ。それでサビになって「ああ宇多田ヒカルか」って‥。ああいうやっぱり本格的な人が売れるのはよいですよ。あれを買う人の100分の1の人はジャズを好きになる可能性があるかもしれないような音楽だしね(笑)。それで「やっぱすげえんだな」と思ってたところに、この間文芸春秋でダニエル・キイスと彼女が対談してたのを読んだ。もうとても17歳とは思えない自分を捉えるクールさがある感じなの。例えばスティングみたいにさ‥。滅茶苦茶頭いいし‥。もう彼女は絶対紅白とか出ちゃいけないね。全然グルーヴしない大御所芸能派みたいのが名前で幅きかす世界じゃない?演歌ならまだいいけどさ‥。
石原:
宇多田ヒカル、大好きですよ。何曲かアレンジなんか最高にかっこいいと思いバンド・スコアまで買ってしまった。詩にしても曲にしても本当に良いものは結構売れてる。そんな感じもしています。ああいう普通の女の子っぽい人が頭1つ抜けたクールさや情熱を持って発信する言葉や音楽は幅広い層に深く浸透しやすいのでしょうね。言葉と文化の壁を日常的に乗り越えて既存の価値観に媚びない姿には僕も感動しました(TLCやモニカと共演した記者会見等)。
布川:
でも「ウタダジャズ」はやめようね。


さて石原、布川、対談後編いかがだったでしょうか。今年はがんばりますぞ。今年はVALISもやりますが、取りあえず次の布川のshiosaiでのプロジェクトはまだ秘密!

ちなみに「俊樹の部屋」のバックナンバーを用意しています。見てない方はチェックしてね。








皆さん、このページに関するご感想を是非、下記 E-mail アドレスまでお送りください。それからQ&Aのページへの質問が相変わらず少ない。このままだとページ閉店売りつくしセール(ずっとやってたりして)をやらねばなりません。是非送ってちょ。



n-valis@da2.so-net.ne.jp




ホームページに戻る



リンクへ行く