俊樹の部屋(?)

俊樹の部屋(第23回)


(99.12.29アップデイト)

1996年5月30日、歴史は始まりました。ついに布川俊樹のホームページがスタートしたのです。このページを立ち上げた4、5月はギターを弾くよりとにかくこのホームページ製作に追われる日々、日夜Macに向かっておりました。この「俊樹の部屋」は毎回僕がたわいもないことをエッセイ的に書き連ねたり、「徹子の部屋」みたいにゲストを呼んで対談をする、みたいなコーナーであります。

さて、まさに1900年代も終わらんとしております。その1900年代最後の「俊樹の部屋」に2000年以降のジャズシーンを創り出さんと目論む素晴らしいお方をご招待いたしました。インディーズのレコード会社しおさいZIZOレーベルを主宰する若きドン、石原忍氏であります(まだ20代ですぞ)。彼を迎えて現在の音楽状況などを語ってみたいと思います。かなり話はマジにそして長くなっておりますので、前編後編にまた分けてお送りいたしましょう。1000年代から2000年代への「俊樹の部屋」です。果たしてジャズの未来は如何に?

布川:
こんにちは、今日は「俊樹の部屋」へようこそおいで頂きました。
石原:
いえいえ、ここに出られるとは僕も一人前のJAZZ業界人ですねえ。張りきって来ました。
布川:
それも「ミレニアム俊樹の部屋」ですからね。でも今回の人選はぴったりだと思ってますよ。ところで石原さんは伊豆で開業歯科医さんなんですよね。それがまたどうして?
石原:
レーベルと歯科医とどちらが本職かは気持ちとしてははっきりしてないです。収入面や実際にたずさわっている時間を考えると明らかに僕は歯科医のはずなのですが、自分の中のプライオリティは逆かもしれない。今の自分の中では両方に対して部外者的な視点を持てるメリットを活かしていければと考えてます。もちろん無責任と言う意味ではなくてどうしたら歯科医として、またはレーベルオーナーとしての存在感を示し、それらを事業として軌道に乗せられるかは意外にどっぷりと業界につかりすぎない場所から見えてくると感じています。
布川:
そうですね。いまはどんなやり方もありですからね。
石原:
「レーベルを作って音楽を発信する手段を持ちたい」とは大学2年の頃から考えてました。理由はどうだったかな?大抵後から理由づけするのって嘘が多いんですけど(笑)。僕自身ずっとピアノ習ったり、ロックバンド組んで演奏したりと実際に音楽に接する機会がかなり昔からありました。演奏だけでなく聴くのもすごく好きで、なんか「音楽にはいつも助けられてきたな。」的な(笑)思いもありつつ、そこには当然好みと言うものが出てくるわけです。そこで批評とかするだけでなく、自分の好きな音楽はこんなもので好きなアーティストはこういった人達なんだと一番ごまかしなくストレートに表現する手段としてレーベルを持って音楽制作をしてみようと思い立ちました。まあ、その後はずっと思ってるだけ、言ってるだけの時間が続きました(笑)。なにせどうしたらレーベルなんて作れるのかまったくわかりませんでしたから。
布川:
僕も最初は言ってるだけだと思ってました(笑)。
石原:
ただ、今になって考えるとその間にJAZZという音楽に惹かれたという現実的には大きなポイントがあったわけです。きっかけはウエス・モンゴメリーの”ハーフノート〜”というアルバム。買った時はぜんぜんよさが分からずに1年ほど寝かしてあったのがある日ふとかけてみたら得も知れぬ感動に襲われました。その後はSJとJazz Lifeを教科書に(笑:だってそれしか見当たらなかった)有名と思われるミュージシャンを聴きあさり、日々ライブハウスをうろつき・・・そんな感じ。そうした中その前からギターをはじめ、ランディー・ローズやマイケル・シェンカー等をコピーし、ライブ活動も行なっていた僕は「Jazzでも習って友達に差をつけよう・笑」ともくろんだわけです。そこで布川師匠!の登場です。
布川:
おー、ばらしてしまうんですね(笑)。
石原:
VALISの「アリズ・ダンス」を愛聴盤としていた僕はJazz演奏の道標として演奏はもちろん素晴らしく、しかも性格もおだやかであろうと予想できた布川師匠を選んだのです。しかし実はこの弟子入りの時レーベル立ち上げの人脈作りも行なう下心を持っていました。実際布川さんには今回の「DuoRama」のプロデューサーでもある岩永氏を紹介していただきレーベル立ち上げにあたり大きな1歩を踏み出す事となります。その後レーベルを立ち上げるノウハウが必要最小限ですが得られた時点で「何をするにも先立つ金がいる」ということで資金作りをかねて故郷である伊豆に戻って歯科医として開業となります。これが98年の4月です。そして99年1月にshiosaiが設立されました。
布川:
やっぱ伊豆の海のイメージですかねえ。それとも三島由紀夫かな‥。ところでZIZOレーベルっていうのも面白いネーミングですよね。
石原:
会社名(shiosai)もそうですがなにか日本語で様々なイマジネーションを含む、そういった名称にしたかったのです。
布川:
そういった方が逆に海外とかにも発信しやすいと思うしいいと思いますよ。

そろそろマジな話に行きましょうか。現在の日本のジャズ・シーンを見て、あるいは海外を含めてでもいいんですけど、どんな状況だと思いますか?僕は少なくとも日本に関しては相当冬の時代だと思いますけどね。

石原:
そうですね。先日流通大手の会社の方と話したのですが、市場のシェアはPOPS&ROCKが95%JAZZは3%CLASSIC1%とのこと。寒いわけです。。
布川:
だって日本は本当にいまジャズのCDって売れないでしょ。僕が大学時代とかって考えてみればすごかったよね。世の中で一番売れてるのが100万枚くらいなのに渡辺貞夫さんとか20万とか30万とか売ってたんでしょ。武道館で何日もやってたんだから。いまは一番売れてるのが800万でその100分の1売れてるCDなんてあるかな?ケニーGくらいでしょ。メセニー・グループなら行くか。
石原:
時代の波が違うところへ行ってしまっているのでしょうか?ただ、綾戸智絵さんなんかは合計で10数万行ってるって言いますからね。それに関わる誰もがそんな予想してないわけで、ヒョンな事から可能性は広がるのかも。だけどテレビって大きいでしょうね。綾戸さんもそうですが松居慶子さんなんかもNHKで紹介された当日から注文が殺到して一気に数万枚が売れたそうです。
布川:
そうかあ。小学生のとき仲良かった同級生がNHK行ったなあ、連絡してみようかな(笑)。僕の作品なんかだととにかく大体数千なんですよ。でも「ウルトラマンジャズ」と「金字塔」は万行ってるわけ。一番売れてるのは教則ビデオの第1巻で約2万。教則の売れ方考えるとこういうのを買う人ってギター弾く人なんだと思いますよ。あとは企画ジャズ。ウルトラはたぶん今年の何本かに入るヒットだと思うよ。それでウルトラの後に満を持してLA録音の「ディパーチャー」を出せば売れると思うでしょ?でもその半分行かない(嘆笑)。もうやんなっちゃうよ。それでスイングジャーナルの別冊のチャートみたら今年のコンテンポラリージャズチャート12位に入ってるの。まああれは10店舗くらいのチャートを概算したもので純粋な売り上げチャートじゃないけどね。とにかくこれ読んでる人でも教則関係だけ持ってる人がたぶん多いと思うんですよ。是非「ディパーチャー」と「デュオラマ」聴いてくださいってフォント大きくしちゃいますよ。メセニーやジョンスコなんかとは違う世界が聞けるんだけどなあ‥。
石原:
布川さんの教則買う人の多くが布川さんの音楽に興味を持って作品を買ってくれるといいのですけどね。もちろんそういう人が多いからこそ数千枚という実績を残せるのでしょう。今のJapanese Jazzで数千枚売るのはかなり大変な事です。 「ウルトラマンジャズ」、「TV Jazz」、「ルパン・・・」そういった企画物は今年確かによく目にしましたね。Jazzの底辺を広げる意味では企画物でもなんでも意義があると思うのですが、購買者はそうそう熱心にクレジットを見たり、その後その参加ミュージシャンの音楽に興味を持って追いかけてくれる感じはあまりないですよね。しかしアドリブ〜インタープレイなど僕らが求めるジャズの醍醐味よりもわかりやすいテーマ演奏、知っているメロディー、なつかしの〜、等のアプローチによってCDを手にとってもらえる可能性が広がることは頭のどこかにとどめておく必要がありますよね。
布川:
まあ、でもあの手の企画のアイディアは相当出し尽くされた巻感もあるよね。とか言っておいて何かやったりして‥(笑)。とにかく、いまこういうインディーズの活動って何かゲリラ的で面白いと思いますよ。だってもうメジャーレコード会社はジャズやらないじゃない?
石原:
本当はメジャーが半年でもJazzに力を入れてバンバンCM流して、歌番組やニュース番組に出演させ、スターを育てていくアプローチをすればかなりブレイクする可能性のあるアーティストもいると思うのですが、結局うん100万枚いく可能性は低いわけで・・・要するにインディーがなんとかそれなりの結果を示さないとメジャーは腰が重いわけです。HIP HOPもテクノもインディーシーンがひっぱっているわけですし。
布川:
そうなるとあとはディストリビュートの問題ですね‥。何かアイディアありますか。
石原:
あまりにも既成のシステムが閉塞しきった状況であるため現状打破はかなりしんどい!「Jazzの作品」と口にしただけで大手のディストリビューターは電話きりますから。おまけに「そんなことやってんの?」と侮辱されたりする始末。(怒!!) ただ、小さな規模ではありますがそれなりのバックボーンをもったディストリビューターがかなり整ったシステムでインディーシーンを活性化させるアプローチを始めたりしています。販売数の低下はインディーシーンだけでなくメージャーでも同様です。宇多田、ラルク、GLAY・・・ミリオンセラーアーティスト以外はほとんどヒットがない状況ですからインディーシーンに対しての期待も大きいのでしょう。ここ2〜3年のメロコア、スカコアなどはその良い結果です。そういった同じ方向性を持った人達と組んでよりよい結果を目指せればと思っています。
布川:
しおさいの場合は送料無し、つまり通販でも同じ値段だっていうのはもっとアナウンスしたいよね。。
石原:
そういった個々の情報を提供するにはインターネット(WEB)が有効でしょう。問題はHPを多くの人に見てもらうための手段です。今shiosaiではすべてのJazzファンをターゲットにした総合Jazzサイトを構築しています。来年2月初旬にOPENです。情報提供、データベース、音源配信、CD販売、それらを有名評論家の方々の監修のもとに行なっていきます。もちろんうちのCDだけを売るのではありませんがそういったJAZZファンが多く集まる場所をもつ事からなにか積極的な発言が伝わりやすい状況につながってくれればと期待しています。送料無料は今だけでなくZIZOの商品に関してはずっとサービスしていくつもり(宣言してしまった!)なので上記の場所やDM等でアナウンスして行きます。その他布川さんや納氏、矢掘氏、水野氏、それぞれにHPを持ちかなりのHIT数もあると聞いていますので積極的にアナウンスしてもらいます。
布川:
そうか、矢堀もそう言えば次のアルバムはshiosaiから出すんだねえ(矢堀、水野、山木というトリオらしい)。前のP-Vineみたいにみんな集まって来ちゃうかもよ(笑)。


さて石原、布川、対談前編いかがだったでしょうか。次回は2000年正月の予定。未来への音楽の展望を語って行きたいと思います。よいお年を!

ちなみに「俊樹の部屋」のバックナンバーを用意しています。見てない方はチェックしてね。








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