俊樹の部屋(?)

俊樹の部屋(第12回)


(97.6.27アップデイト)

1996年5月30日、歴史は始まりました。ついに布川俊樹のホームページがスタートしたのです。このページを立ち上げた4、5月はギターを弾くよりとにかくこのホームページ製作に追われる日々、日夜Macに向かっておりました。この「俊樹の部屋」は毎回僕がたわいもないことをエッセイ的に書き連ねたり、「徹子の部屋」みたいにゲストを呼んで対談をする、みたいなコーナーであります。

さて今回も1周年記念2回連続特別企画、香取良彦氏、納浩一氏をゲストに迎えた三者対談をお送りいたします。このメンバーは知る人ぞ知る全国行脚水戸黄門トリオ、通称カトリオのメンバーでありますが、今回第二部は、7月21日にP-Vine recordより発売される納氏のアルバムについて語って行く予定です。題してのうじゃない!おさむだ!「三色の虹」を聴け!という企画であります。



布川:
次は納ちゃんのアルバムの話に移りましょう。これはまた多彩なアルバムだよね。やっぱりベーシストって色々な音楽をやることが多いからなのかな、見方とか広くなるんだろうね。それでいて何でもやりました的なスタジオ.ミュージシャンぽいようなアルバムではなくて、納サウンドとしての統一感、サウンド.コンセプトみたいなものがある。
納:
はあ。
香取:
三色の虹っていうより、16,856色の虹、ってかんじで(ホントに多彩なフォーマットで録音されている)、それでも全体として独特の音楽感で貫かれてるという……。
納:
はあ。僕としましては、コンセプトを作る段階から相当悩んだのは事実です。ベーシストとして、人のサイドでやることが多いので、いざ自分でアルバムを作るときには使ってみたいと思う人がまわりにごろごろいたわけですよ。そんななかで、自分の楽曲に一番適した人を決定するのが一番の苦労でした。
布川:
では軽く曲の解説でもしてもらおうか。1曲目が「Bebop」。いきなりSolid Brassと打ち込みを織りまぜたサウンド。かっこいいよね。
納:
ありがとうございます。実は僕は納浩一オーケストラっていうのをやってまして、これのコンセプトが基本的にはハーモニー楽器を入れないベースとホーンセクションだけのアンサンブルなんです。
香取:
そうすると空間がかなり自由な感じになるよね
納:
そう、ギターやピアノがいないときの方がベースはより自由になれるんです。それと、マーカス・ミラーじゃないけど打ち込みのリズムとタイトに演奏したいというのもずっとありまして……。ジャズやってるとその辺が結構ルーズになりがちですからね。しかもレコーディングでないとなかなか出来ないしね。
香取:
いや、本当にパキパキッと気持ちよくリズムがキマる上に、突然のタイム・モジュレーションがかっこいい!
納:
あれは、村田君のアイデアです。面白い話があって、僕が「Bebop」をソリッド・ブラスで録音しようと思って、村田君に電話したんですよ。そしたら、そのことをいう前に、彼が「納さんのオーケストラでやってる『Bebop』のリフを教えて」って言ったんですよ。なんとソリッド・ブラスでやるって言うんですよね。二人とも同じこと考えてたんですね。でも新しいソリッド・ブラスと僕のを聴いてもらえばわかるんですが、全然違ったもんになってます。いゃ、アレンジというのはオモロイもんです。
布川:
シンクロニシティってやつか……(一同笑)。ホントにこのアルバムは、ベースだけじゃなくて、アレンジと作曲の妙も聴き所だよね。
香取:
そりゃその通り。愛娘たちの「Bebop」の声も絶妙のアイデアだし、ベーシストでここまで作・編曲できる人っていたかな。
納:
僕としてはベーシストって言うよりも、作・編曲家という位置づけの方が自分にとっては重要なんです。
布川:
2曲目は「三色の虹」。何でもアフリカのある民族は虹が三色に見えるとか。
納:
そもそも、誰が虹は七色だって決めたんでしょうねぇ。同じ疑問は音楽にもありまして、何で1オクターブは十二音なの?もっと言えば1オクターブって一体何なの? そういった疑問は昔からあったんです。
布川:
まさに、納ちゃんらしい問題意識だよね。バッタの見てる世界と犬の見てる世界では違うし。だから価値の押しつけは出来ないわけだよねぇ。前読んだ本でもインドなんかでは2オクターブで解決するスケールとかあるらしいし。香取さん、一発ぶってよ。
香取:
そおっすねえ。1オクターブってのは弦の振動で言えば半分の長さの振動だから、そこには必然性がある、そして、12音って言うのは、2+3+7っていう、黄金分割にも通じる数列に由来するわけで……。
納:
そう香取さん、香取さんが美しいとおっしゃるハーモニーが僕と布川さんにはちっとも美しく聴こえないときがよくあるからねぇ。ね、布川さん。
布川:
やっぱり香取さんの見てる世界が違うんだろうねぇ。cジャム・ブルースの一件もあるし。
香取:
あー、それを言わないで、、、話が脱線してるから戻しましょう。あの曲はベース・メロディからスタートする美しさとラテン・タッチが軽快だと思うな。
布川:
アルバムで一番爽やかだよね。
納:
最初はベースのメロディの部分のアイデアしかなかったんですけど、最終的に出来上がってみたら、結構大曲になっちゃって。まあ、おっしゃるとおり爽やかだし、それなりにいろんな展開があってタイトル曲にはもってこいじゃないかと思っています。
布川:
4曲目は僕等でやってる「Little Boy」。これは難曲でしたね、香取さん。
香取:
うひゃひゃひゃ。
布川:
なんでも、香取さんはこの曲のソロでゲイリー・バートンを超えたそうじゃないですか。
納:
いや、ソロ入れは大変でしたね。お互いに。
香取:
私は自分のアルバムの1万倍練習してゲイリーを越えたわけです。「ばっ、ばかなことを言わないで下さい布川さん、勝手に私の発言を書かないように!」(----キーボードの取り合いになり、会場は混乱に陥る)
納:
僕はベース・ソロでジャコを超えました。「ぬ、布川さん、勝手なことを書かないで!」
香取:
ともかく、この曲は難曲なだけに、全員気合いが入りましたね。
布川:
ところで納君って前から自分の音楽には何かメッセージを持たせたいみたいなことを言ってたじゃない。それはこういうタイトルにも表れてるんだろうね。
納:
そうですね、どの曲もタイトルには思い入れがありまして、その辺のことはジャケットの中で自分で説明してます。「Little Boy」に関して言うなら、個人的には反核みたいなのがありまして、そのくせ安保に対して的確な姿勢が示せない自分がいまして……、そういう葛藤のイメージなんです。ちなみに、「Little Boy」っていうのは、広島に落ちた最初の原爆です。
香取:
深い。納氏の曲には「テルアビブ」にも「南京への道」にも政治的背景があるもんね。でもタイトルの深刻さとは裏腹に、いい意味でジャズにはこだわっていないポップな要素も多分にあるんじゃない?
納:
そう言っていただけると嬉しいです。
布川:
全くその通りだよ。とにかく2人の音楽を聴いて思うのはさぁ、いわゆるジャズの文脈だけではない2人ならではの香取じるし、納じるしのサウンドがアルバムを通じて流れてるってことだよ。これってやっぱり大切だよな。こういうサウンドを聴きたければこのアルバムを聴かなければならない。だから売れるか売れないは別にして、あんまり別にはしたくないか(笑)、好きな人はすごく好きになってくれる可能性のあるサウンドだと思うのよ。


さて2回連続対談企画、いかがでしたか。納君のアルバムのより詳しい情報は彼のホームページにアップされてるかもしれません。ちなみにこの御老公一行、じゃなかった、カトリオは6月28日(土)から7月2日(水)まで九州世直しの旅に出かけます。今回は越後のちりめん問屋ではなく、富山の薬売り的CD手売りの旅となるでしょう。僕だけが新譜がないぞ(グスン、グスン)。





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