俊樹の部屋(?)

俊樹の部屋(第10回)


(97.3.23アップデイト)

1996年5月30日、歴史は始まりました。ついに布川俊樹のホームページがスタートしたのです。このページを立ち上げた4、5月はギターを弾くよりとにかくこのホームページ製作に追われる日々、日夜Macに向かっておりました。この「俊樹の部屋」は毎回僕がたわいもないことをエッセイ的に書き連ねたり、「徹子の部屋」みたいにゲストを呼んで対談をする、みたいなコーナーであります。

さて今回でこの「俊樹の部屋」も記念すべき第10回!100回目指してがんばりますぞ。今回もゲストに来ていただきました。僕の元一番弟子、現在はフラジャイルを率いて絶好調、矢堀孝一君です。実は彼の家に飲みに行ったときにその場で対談をして文面をつくったのですが、そのときの模様は矢堀君がいち早く彼のホームページにアップしてしまった。そこでまあ同じ内容というのも何なので(あれはかなり軽いと言うか酔っ払った内容になっている)、ちょっとこちらでは音楽談義でもしてみようかなと思ってます。矢堀君のホームページの出張版「俊樹の部屋」にも興味のある方はここから飛んでみてください。



布川:
いやー最近矢堀さん絶好調じゃないすか(矢堀氏のページと同じ書き出しだぞ)。
矢堀:
ごっつぁんです。…はぁ、はぁ、はぁ、…い、一生懸命、はぁ、はぁ、やるだけです。
布川:
フラジャイルも本当に人気のあるバンドになったよね。バンドとしての独自のサウンドが出てきた。まとまっていないまとまりって感じかな(笑)、とにかくいいバンドになったと思うよ。個々のメンバーそれぞれのポジションと言うかブレンドの感じもいい。僕もバンドをずっとやってるから勉強になりますよ。
矢堀:
ごっつぁんです。…はぁ、はぁ、小錦が、はぁ、はぁ、まえみつ、まえみつ、とったところで、はぁ、ちょっと体制が、はぁ、…もういいって。そそそ、そんな勉強だなんて。Valisはずっと前から僕の目標なんです。fragileはやはり孝三さんと水野さんの力が大きい。僕の音楽のことで言えば余分なものを彼らがそぎ落として赤裸々に見せてくれたんだと思います。みんな好き勝手にやるのがほんとに楽しい。
布川:
トリオって形態が身動きが軽くていいのかな。それでさあ、新しいアルバムを聴いたんだけど、矢堀のギターが前より何かはじけてる感じだよね。
矢堀:
前の時はソロをああしようとかこうしようとかそういうのがあったんですが、今回はもう何も考えてないっていうのがいかったかもしれないです。なんかこれ、僕がインタビューされている状況になってますがよいのだろうか。わけよわけよ。
布川:
まあいいんじゃない。まず1曲目の「Handle With Care」が気に入ったわけよ。テーマもかなり穿ってるし、いきなり思いきりギターが来てる!これって変拍子なわけだよね。
矢堀:
このですね、GT5のMシャルの音が直前になって気に入りまして、それで録ってみたのですよ。するとこのなんというか、ストラトっぽい実にいい音がするじゃあありませんか。「Handle…」は7拍子で、このベースパターンは半年以上前に浮かんでいて、なんとか曲にしたい、と。なかなか自然なんですよこれが。そういえばこの布川さんの教則ビデオの演奏、これアリアのストラト型でやってるんですね!すっげえいい音だ!なんでこんな音がでるんですか、このセッティングで。太さと繊細さが絶妙ですよ。
布川:
はぁ、はぁ、はぁ、…。上手とったところで、武蔵が、はぁ、はぁ、ぐっ。しかし3曲目の「Sarasvati」なんか聴くとほんとにテクニシャンって感じだな。矢堀って基本的にもの凄くテクニックあるじゃない。それがより磨きがかかってきたよね。矢堀のギターは僕よりキッズにも受けるよ(笑)。 
矢堀:
いや、安室奈美平ほどではないでしょう(笑)。でも考えてみたら「Sarasvati」みたいな曲をもっと書いててもいいはずなんだけど、逆に孝三さんが書いたことでやりやすかったかもしんない。なんかテクニック的な面というのは人の作で「うえええええ!」とかいいながらせっぱ詰まってるほうがいいんじゃないかと。
布川:
あと水野さんのオリジナル「Baba,Tell Me」が好きだなあ、ジェフ.ベックみたいな曲(笑)。これってジャイアント馬場のこと?
矢堀:
「ばば」はもちろん「うんこ」なわけですが、決してジャイアント馬場がうんこなのではありません。水野さんといえば布川さんバンド結成しましたね。これは見に行かせてもらいます。
布川:
そうそう、実は今度僕も久しぶりに水野さんとGENEっていうバンドやるんだよ。それでドラムは佐野康夫。あの強力なグルーヴの感じと水野さん独自の音楽性がミックスしたらどうなるか期待してるんだ。
矢堀:
佐野選手、最近髪の毛も伸びてなんかイギリス人みたいでかっこいいっすね。こないだドラムマガジンの「人と楽器」のコーナーに大きく出ていて、これがなんか「メタルワークスの職人の独り言」みたいで妙にはまっててよかった。
布川:
金髪似合ってるよね。でもまた話戻るけど正直言うとさあ、昔は矢堀がこんなにうまくなるとは思わなかったよ。矢堀って誰かのプレイの影響がもろに出ちゃうタイプだったじゃない。ジャズをやり始めた頃はマイク.スターン、それからパット.メセニーやスコット.ヘンダーソンとか。
矢堀:
いや、未だに意外とそのまんまだったりして。なんかね、自分には形態模写の才能があるのではないかと思ったりするのですよ。布川さんの声帯模写もかなりやりました。以前、お母さまが間違えておられました(笑)。昔からコピーしてそのまんま弾くというのが好きで、よくDeep PurpleのLive in Japanをレコードに合わせて弾くとかやってましたねえ。でもマイク・スターンのコピーを「止めること」にしたらそれから執着がなくなってきたんですよ。だからあれっきりその「コピーしてそのまんま弾く」っていうのはメセニーの仕事だけですね、近年では。布川さんも昔はウエスの「エアジン」をそのまま弾くのを何回もやったって言ってましたよね。 
布川:
はいはいはいはいはい。やりましたやりました。高校生のときだしアドリブなんてできないんだよ。ジョンスコの「ソフトリー…」も大学生の頃は毎日の日課だったな。でも矢堀のハマり方は俺の比じゃないんじゃないの。前に20歳過ぎて3つのことにハマったって言ってたじゃない。最初がマイク.スターン、その次がゴルフ(笑)、3番めがコンピューター(Mac)だって。それでさあ、俺が思うに矢堀の独自の世界っていうのがMacにハマってから出てきたって気がするんだよね。単に時期が偶然に一致してるだけかもしれないけど。音楽的にもフラジャイルってバンドが盛り上がって来たし、あと感心したのは君の文章の上達。
矢堀:
そうですねえ。コンピューターはホントになんというか自分の一部としてものすごいフィット感ですよ。何をやらせても面白い。でもきっとこれはマックだからよいのであって、dosではそういうことにならなかったでしょうね。とにかく絵とか写真を貼り込んで文章を回り込ませるとかそういうのがものすごく好きで、もうそれで喰って行きたいと何度も思ったほどです。そうこうして文章の仕事でしょ。あれは良かったですよ。レイアウトとか図版とかかなり自由があったし、身震いするくらい楽しかった。でも原稿の書き方とかは布川さんにからも多くを学びましたよ。「事実を書けばよい」とか「いたずらに遊ばない」とか。それと布川さんの文章自体もとても知的で面白い。熟語というものがそこにそうあるべき、という必然が確実になされていてとても美しい。
布川:
ごっつぁんです。当たり前だけど文章って深いよな。僕も色々原稿を書き出してから考えるようになったんだけどさ、句読点の位置でニュアンスは相当変わるからね。もともと小説読むのは好きだったけど、人の文体とかもかなり気にするようになったよ。いやー君の 「犬でも弾ける何とか」とかは本当に笑える。コピー譜とかの解説文もやたら面白い。
矢堀:
実の所はギター・コピー状態と一緒で、筒井康隆の記述法とか「猿でも描ける」の方法を取り入れています。こういうときにもワープロは難しい漢字をわりと変換してくれるのが嬉しい。忸怩とか。「犬でも」はホームページで続編をやろうと今考えています。
布川:
そりゃあいい。僕はいぬ年だからね(笑)。質問でも書くか(笑)。ところで やっぱり師弟だったけどさあ、俺とお前のギターは、フレーズとかはダブるけどテイストは相当違うよな。矢堀の場合はとにかくテクニックがきちんとしてるから、耐久力のある反復フレーズや何かを弾ききることができるじゃない。そういうのってメセニーとかマイク.スターンなんかと共通したテイストだよね。僕の場合は手動かないから(笑)もっとリズムのノリとか間とかそういうので行くタイプかな。やっぱりジョンスコ派か(笑)。あと矢堀はブルース色がないよね。あんまりクラプトンとかロベン.フォードとか好きじゃないでしょ。一方、僕にはメタルやプログレの感じはない。
矢堀:
そうですね。それは習いに行ったときから感じていました。布川さんの師匠として素晴らしいところはそういう個々のものを認めた上でレッスンするところではないかと思いました。これは今の僕にとってもとても為になってます。最初に「俺はジョンスコが好きだからお前マイクスターンやれ」と言ってくれたでしょう。あれがすべてかもしんないですね。でも、俺も正直いってこういう風にギタラーとして布川さんと対談したりできるとはあのときは思ってませんでした。でも、今の奏法を確立していくためには4ビートだろう、という読みは当たっていたようでよかった。で、やはり布川さんは本物のインプロバイザーですよね。もうほんとにハービーとかと戦える。
布川:
げっ、それはいくら何でもよいしょし過ぎだよ(笑)。将棋なら戦えるかもしれない(笑)。ジョンスコだってハービーの前だと普通の人に思えるもん。話を戻すとさあ、作曲とかに関しても、口はばったいけど昔はVALISの影響がだいぶ曲に出てたと思うのね。いまは完全にバンドの色が変わったよね。だから僕も聴き手として楽しめるよ。
矢堀:
あはは。いやー、ほんとにお世話になってます。Valisの音楽には。やっぱりあの当時はほんとにValisしかなくて、あれがやりたかったわけですよ。ほんとに衝撃的な音楽だったから。知的でビートがあって歌もある、という。
布川:
いやあ、よいしょ大会になってきちゃったなあ。でも本当にそれぞれの道を歩んでいるってことでいま共演するといいんじゃないかと思うよ。やっぱり気心も知れてるし楽しいしね。是非香津美さんとの大江戸勉強トリオは実現させたいなあ。
矢堀:
そうです!これは現在香津美さんのスケジュール待ちですが、是非とも!ピットインでも「やれ」と言ってます!


(ここで話題をガラッと変える)


布川:
そう言えば矢堀のページで我々が同棲してたって書いたじゃない。それで質問が来たんだよ。どういう事情なのかって(笑)。大きなお世話なんだけどさ、まずホモではない。
矢堀:
うわあ。来ましたか(笑)。実は布川さんが「アニキ」で…(笑)。
布川:
家賃は1/3もらってたけど、まあ住み込みの弟子だよな。何でそうなったかと言うともう10年も前の話だから言っちゃうけど、俺が結婚するつもりでマンション借りたんだよな。それで借りてから破談になった。俺もあの頃はたいして金もないし、1人で2DKもいらないってことで同居を持ちかけた。
矢堀:
そうだったですね。なんかね、とにかく駒込の駅前で学校がやたらと近かった というのがメリットでした(笑)。冬でも寒くないというのもよかったです。いやいや、ほんとありがたかったですよ。今でも時々駒込銀座の「万富」のシューマイが食いたくなります。
布川:
霜降銀座ってのもあったぞ。ほんとにあの頃は面白かったな。しょっちゅうマージャンやったりしこたま飲んだり。女子大生ともマージャンできたしな。1回ひどかったのはさ、俺が帰って来たら矢堀が大学の新歓コンパの流れでサークルの後輩を10人ぐらい連れてきてた(パンケーキのスティールパン奏者の原田君とかもいた。彼は矢堀の後輩だ)。それでひっくり返ってた1年生の女の子いたでしょ。いきなり帰ってきたら部屋のはじっこに女の子がつぶれてるんだもん、びっくりするよな。壁に向かって寝てるから顔はわからない。次の日の朝もまだ死んでて結局顔は見なかった(笑)。
矢堀:
わっはっは。すげえ状況でしたね。布川さん、真っ昼間に俺が帰ってきたらチェーン・キーかけてなにやらしていたこともありましたね(笑)。「ちょっと2時間くらいどっか喫茶店にでも行っててくれ」とか(笑)。
布川:
2時間てのがいいな(笑)。矢堀も「今夜はやぼ用(矢堀の用という意味ではない)で部屋使いたいから布川さん帰らないでください」とかさあ(笑)。
矢堀:
うえええ。
布川:
そろそろまとめようか。いまミュージシャンとしては何か目標とかある?
矢堀:
目標、といえばやはり布川さんです。うーん現実的なこととなるとこう、目標ってのも難しいなあ。そうですね、メロディアスな II-Vが弾けるようになるっつうことかな(笑)。Cherokeeを170で弾くとか(笑)。
布川:
おまえなー、あんまりよいしょすると信用されなくなるぞ。俺も早く次のCD出さないとなあ。弟子には負けられん(笑)。
矢堀:
早く聴きたいです。私も今年中にもう一枚行きたいので頑張ります。ぼちぼち作曲に入らんといかんです。ではまずカレーでも作ってみることにします。布川さんのカレーもものすごく旨いんですよ。今度食べに行くというのも私の中では計画されていますので。あ、カレーといえば、ボンベイ、あそこ、5時で営業が終わるということになってしまって大変に行きづらい状態になってしまって残念ですが、マスター鈴木忠夫氏の体調が一日も早く回復することを祈ってやみません。



今回の対談はなかなか充実しました。おたがい今後の健闘を祈りましょう。それからカレーもいいですが、矢堀君またワイン飲もうな!







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