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虚刀流
剣士でありながら武器を一切使わないことを旨とする異端の流派。
その刀を相手の一部と見なし、攻撃することを基本とする。
刀を持たないことによって両手の自由度が上がること以上に、
足技が豊富になるというメリットを持つ。
跳んだり跳ねたりという様は剣士というより忍者のそれであり、
忍者の動きを流派に取り込んだとも考えられている。
虚刀流の開祖である鑢一根は、
長くて重いという日本刀の長所でもあり短所でもある点を逆手に取り、
長くもなく重くもない、ゆえに斬りやすい刀こそ最強であるという結論に至る。
その結果、彼は剣を捨て、以来10年間に渡って山にこもり、
己自身を日本刀のように鍛え上げた末に、虚刀流という無刀の流派を編み出した。
なお、実際には、鑢一根には刀剣を扱う才能がまったくなかったがゆえに
必要にかられて剣を捨てたのだという挿話も残されており、
「刀剣を扱えない」「武装すると弱くなる」という奇妙な特性は、
その後の鑢一族にも代々受け継がれている。
虚刀流は、その立ち上げより血によって受け継がれてきた秘伝の流派である。
いっさいが闇に包まれた流派であり、その技術がわずかに日の目を見たのは、
戦国の乱世における初代当主・鑢一根と、
先の大乱を鎮めた六代目当主・鑢六枝の時だけと言われる。
どうしてもそれを知りたくば虚刀流に弟子入りするか、虚刀流と敵対するかしかないが、
前者は不可能ごとに近く、後者はすなわち死を意味する。
一説によれば、虚刀流は四季崎記紀が遺した最後の刀、虚刀『鑢』そのものであり、
虚刀流の成り立ちに四季崎記紀が関与しているとされる。
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虚刀流の構え
- 一の構え 『鈴蘭』 (すずらん)
足を大きく開いて腰を深く落とす、敵に対して壁を作るような構え。
左足は前に出して爪先を正面に向け、右足は後ろに引いて爪先は右に開き、
右手を上に左手を下に、それぞれ平手で構える。
- 二の構え 『水仙』 (すいせん)
身体を開いた『鈴蘭』とは対照的な半身の構え。
前後の同じ高さに配された両手は、平手ではなく貫手で構える。
- 三の構え 『躑躅』 (つつじ)
奥義『百花繚乱』につなげる構え。詳細不明。
- 四の構え 『朝顔』 (あさがお)
虚刀流の中で唯一こぶしを握る構え。
両足を横に向け腰を落とし、身体をちぢこめるようにした状態を保つ。
- 五の構え 『夜顔』 (よるがお)
両足を肩幅の広さで左右に揃え、両手はゆるい平手の形で、
肘を折りたたむようにして胸の前に構える。
雪上のような慣れない足場にも対応できる。
- 六の構え 『鬼灯』 (ほおずき)
首を固めた頭部の左右に手刀を配置し、
両肘を対称的にそれぞれ前に突き出しつつ、両脚は爪先立ちにした、
非常に自由度の高い構え。
前後の自由移動に対応した七の構え『杜若』とは対照的に、
左右の自由移動に対応した構え。
- 七の構え 『杜若』 (かきつばた)
足を平行に前後へと配置し、膝を落として腰を曲げ、
上半身を軽く前傾させる動の構えから駆け出す。
静止状態の零歩目から一歩目に至る後ろ足の踏み切りと、
一歩目から二歩目に至る前足の踏み切りの間において
移動速度を一気に減速させることで相手を見誤らせる、
緩急をつけた変幻自在の足運び。
居合い抜き対策として有効で、相手の剣が速ければ速いほど成功率が跳ね上がる。
ただし前後の動きには強いが、左右の動きには対応していないという弱点を持つ。
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虚刀流の奥義
- 一の奥義 『鏡花水月』 (きょうかすいげつ)
一の構え『鈴蘭』から掌底を繰り出す、虚刀流最速の技。
下半身は根が生えたがごとくがっちりと構え、その無動を反動に、
引きちぎれんばかりの腰の捻りで破壊力を生み出す。
- 二の奥義 『花鳥風月』 (かちょうふうげつ)
二の構え『水仙』から繰り出す奥義。詳細不明。
- 三の奥義 『百花繚乱』 (ひゃっかりょうらん)
三の構え『躑躅』から繰り出す奥義。詳細不明。
- 四の奥義 『柳緑花紅』 (りゅうりょくかこう)
四の構え『朝顔』から放たれる、打撃透徹の奥義。
その一撃の前ではどのような防御も意味をなさず、外側はそのままに
内側のみを破壊する技(理論上は地球の裏側にいる人間にさえ攻撃を加えることが可能)。
虚刀流における鎧通し。
身体を不自然なほどに捻った状態で固定するという技の流れ上、
虚刀流の奥義の中で唯一「溜め」が必要となる。
- 五の奥義 『飛花落葉』 (ひからくよう)
五の構え『夜顔』から放たれる、両手での張り手。
左右の肩に同時に張り手を打ち込むことにより、その打撃力を全身の表面に
伝達させ伝導させる。
内側を破壊せずに外側のみを破壊する装甲破壊の技であり、
四の奥義『柳緑花紅』の裏返し技。虚刀流における鞘打ち。
加減次第では、相手を殺さず、意図的に戦闘不能の状態に陥れることができる。
虚刀流の7つの奥義の中で、唯一の「足止め」という要素を含んだ奥義。
- 六の奥義 『錦上添花』 (きんじょうてんか)
六の構え『鬼灯』から繰り出す奥義。詳細不明。
- 七の奥義 『落花狼藉』 (らっかろうぜき)
足を斧刀に見立て、全体重を乗せ加速させた前方三回転かかと落とし。
足場がある場所では威力が3割増となる。
- 最終奥義 『七花八裂』 (しちかはちれつ)
虚刀流の7つの奥義である『鏡花水月』『花鳥風月』『百花繚乱』『柳緑花紅』
『飛花落葉』『錦上添花』『落花狼藉』を全部同時に相手の身体にたたき込む最終奥義。
その名は、一技一技が相手を一刀両断できる威力を持つ奥義を一気に7つ食らわせ、
一瞬で相手を八つ裂きになる様に由来している。奥義の順列組み合わせは5040通り。
ただし、四の奥義『柳緑花紅』を放つ際に生じる隙によって、
『七花八裂』の技全体の同時性がわずかに失われてしまうという弱点がある。
- 最終奥義その2 『七花八裂(改)』 (しちかはちれつ(かい))
虚刀流の7つの奥義を全部同時に相手の身体にたたき込む最終奥義、
『七花八裂』の改良版。弱点となっていた四の奥義『柳緑花紅』を最初に持ってくることで、
四の構え『朝顔』からしか打たざるを得なくなるという縛りを受けるのと引き替えに、
溜めによってできる隙を無効化。
さらにそこから『鏡花水月』→『飛花落葉』→『落花狼藉』→『百花繚乱』
→『錦上添花』→『花鳥風月』とつなげることで、
最も隙が少なく、かつ最も威力のある『七花八裂』を放つことが可能となる。
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四季崎記紀の変体刀
戦国時代の伝説的な刀鍛冶・四季崎記紀が作り上げ、
25ヶ国にばらまかれた1000本の刀。
「人が刀を使うのではない――刀が人を作るのだ」という思想を起源に
製作されていることから、その筋では「変体刀」と呼称されている。
そのうちの12本は他と能力も質も異にしており、
残りの988本はその12本を製作するための習作に過ぎなかったと考えられるほどの
完成度を誇ることから、特に「完成形変体刀」として別格に位置づけられている。
四季崎の刀の所有数がそのまま25ヶ国の優劣につながっていたとも言われ、
実際、四季崎の刀を持つ数の多い国ほど優勢に戦闘を進めたとされる。
その意味で、四季崎記紀は、剣士剣客が最も輝いた戦国時代を裏から彩り、
そして支配していた刀工であったと言っても過言ではない。
刀には、剣士を狂気に導く究極の「毒」が染みこんでおり、
人の攻撃性を大いに刺激するという極めて危険な特徴を持つ。
その刀を所有した者は「人を斬ってみたくなる」衝動にかられるという。
「現代」の人間にはどれも物理を超越した特性を有しているように見える変体刀だが、
それもそのはず、1000本の変体刀は、すべて、優秀な予知能力者であった四季崎記紀が、
未来から逆輸入した技術で製作されている。
その意味で、「未来」の人間からすれば、変体刀は、
物理学と心理学にのっとった、単なる日本刀に過ぎないとも言える。
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完成形変体刀
絶刀『鉋』、
斬刀『鈍』、
千刀『ツルギ』(*金編に「殺」)、
薄刀『針』、
賊刀『鎧』、
双刀『鎚』、
悪刀『鐚』、
微刀『釵』、
王刀『鋸』、
誠刀『銓』、
毒刀『鍍』、
炎刀『銃』の12本。
完成度の高さにおいて、他の変体刀とは別格で、
それ一本があれば国が一つ買えるという尋常でない価値を持つ代物。
一部の者は完成形変体刀に「共感覚めいたもの」を感じるようで、
生き別れた血族に会った時のような共鳴でもって、
それがそれとわかるという。
旧将軍がついに手に入れることのできなかった12本であり、
奇策士・とがめの進言によって、尾張幕府が新たに蒐集に乗り出す。
幕府の命を受けた真庭忍軍十二頭領の一人・真庭蝙蝠が美濃の涙磊落から絶刀『鉋』を、
日本最強の剣士・錆白兵が越後の傷木浅慮から薄刀『針』を、
それぞれ奪い取ることに成功するも、前者は金のため、
後者は名誉のために、幕府を裏切ってそのまま行方をくらませてしまう。
もはや失敗の許されないとがめは、金でも名誉でも動かない、
そして何より刀を必要としない虚刀流を頼るべく、不承島へと渡る。
- 絶刀 『鉋』 (ゼットウ・カンナ)
「頑丈さ」に主眼を置いて作られた、
この世で最も硬い刀。
絶対に折れないし、曲がることすらない。
【現所有者】 (涙磊落→)真庭蝙蝠
- 斬刀 『鈍』 (ザントウ・ナマクラ)
「鋭さ」に主眼を置いて作られた、
この世で最も斬れる刀。
どんなものでも抵抗なく一刀両断にすることができるほどの鋭い切れ味を持つ。
【現所有者】 宇練銀閣
- 千刀 『ツルギ』 (セントウ・ツルギ)
「多さ(数量)」に主眼を置いて作られた、
この世で最も多い刀。
材質から重量から切れ味から何からまったく同じ1000本が量産されている。
【現所有者】 敦賀迷彩
- 薄刀 『針』 (ハクトウ・ハリ)
「脆弱さ」に主眼を置いて作られた、
この世で最も脆い刀。
向こう側が透けて見えるほどに、目を凝らさなければ見えないほどに薄く、脆く、そしてそれゆえに美しい。
【現所有者】 (傷木浅慮→)錆白兵
- 賊刀 『鎧』 (ゾクトウ・ヨロイ)
「防御力」に主眼を置いて作られた、
この世で最も難い刀(鎧)。西洋甲冑を模した防御主体の日本刀。
【現所有者】 校倉必
- 双刀 『鎚』 (ソウトウ・カナヅチ)
「重量」に主眼を置いて作られた、
この世で最も重い刀。
身の高さから落としただけで地面に深く食い込むほどの重量を誇る。
【現所有者】 凍空こなゆき
- 悪刀 『鐚』 (アクトウ・ビタ)
「活性力」に主眼を置いて作られた、
この世で最も悪い刀(くない)。
生命を強制的に活性化させるという特性を持つ。
四季崎記紀の変体刀の中で最も凶悪な一振りとされる。
【現所有者】 鑢七実
- 微刀 『釵』 (ビトウ・カンザシ)
「人間らしさ」に主眼を置いて作られた、
この世で最も人らしい刀(人形)。
四季崎記紀が生前に最も愛した女性を模して製作されたからくり人形。
【現所有者】 日和号
- 王刀 『鋸』 (オウトウ・ノコギリ)
「毒気のなさ」に主眼を置いて作られた、
この世で最も無毒な刀(木刀)。
所有者から毒気を抜くという解毒効果(「王刀楽土」)を持つ。
【現所有者】 汽口斬愧
- 誠刀 『銓』 (セイトウ・ハカリ)
「誠実さ」に主眼を置いて作られた、
この世で最も誠実な刀(刃なし)。
己を測る天秤となると同時に、攻撃を放棄して防御に徹する
専守防衛の効果(「誠刀防衛」)を持つ。
【現所有者】 彼我木輪廻
- 毒刀 『鍍』 (ドクトウ・メッキ)
「毒気の強さ」に主眼を置いて作られた、
この世で最も有毒な刀。
所有者を猛毒で支配する浸食効果(「猛毒刀与」)を持つ。
【現所有者】 真庭鳳凰
- 炎刀 『銃』 (エントウ・ジュウ)
回転式連発拳銃と自動式連発拳銃からなる一対の「刀」。
この時代に、この場所にあるハズのない、本来あってはならないハズの兵器。
【現所有者】 左右田右衛門左衛門
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完了形変体刀
四季崎記紀が作り上げた1000本の刀。
その中でも特に完成度の高い12本を「完成形変体刀」と
呼ぶが、さらにその12本という"習作"を経て、
最後の最後に作られた刀――「完了形変体刀」こそが、
虚刀『鑢』であり、
すなわち虚刀流そのものであるとされる。
虚刀流が「四季崎記紀の遺品」であり「記紀の血統(血刀)」であると言われる所以は
このあたりにあると考えられる。
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旧将軍
250年におよぶ戦国時代に終止符を打った大名。
土佐の雑兵出身。阿波・讃岐・伊予の3国と同盟を結び、
全国を四国から支配しようと試み、天下統一を成し遂げる。
その時点で旧将軍が所有していた四季崎記紀の変体刀の数は
実に507本にものぼり、自身、四季崎の刀によって天下を取ることができた
と信じてやまなかった。この思想が、悪法と呼ばれる「刀狩令」の発令へとつながる。
天下布武を成し遂げた際にはすでに高齢で、後継者がいなかったため、
旧将軍の天下は一代限りで終焉を迎えることとなる。
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刀狩令
旧将軍が制定した法律の一つ。表向きは大仏建立のための材料として、
全国の民に刀剣を差し出すよう強要するものであったが、
裏の理由は、剣士の存在を恐れた旧将軍による剣客狩りであったとされている。
しかし、その法の真の目的は、伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が
打った1000本の変体刀を蒐集することにあった。
すなわち刀狩令は、己の天下をより盤石なものとするために、
自らの持つ507本以外の、残りの493本の刀を手に入れようという、
旧将軍の道楽を超えた狂気から施行された法律以外の何物でもなく、
日本の歴史上、最も愚かな悪法の一つと評され、
また、旧将軍の天下が一代で終わった理由の一つとも言われている。
結果として、発令から執行停止までの3年間で、10万本を超える刀が旧将軍の
下に集まり、四季崎の刀のうち481本、元々の所有数と合わせて
総計988本の蒐集を達成するも、残りの12本については
一度として奪取に成功することはなかった。
所有者を突き止めても所在を突き止めても、自身の抱える屈強な軍隊が、
たった1本の刀の前にことごとく敗れ去るという
驚愕の事実を目の当たりにした旧将軍は、
志半ばにして刀狩を打ち切るという、苦渋の決断を余儀なくされるのだった。
旧将軍が幾度となく奪取に失敗し、ついにその姿を拝むことのできなかった
この12本こそが四季崎記紀の真の傑作であり、
尾張幕府や真庭忍軍が蒐集せんとする「完成形変体刀」である。
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海賊取締令
旧将軍が制定した法律の一つ。表向きは、瀬戸内海を荒らす鎧海賊団を取り締まる
ことによる治安維持が目的だが、海賊の頭目が所有していた完成形変体刀の一つ・賊刀『鎧』を
求めて海賊退治に乗り出したというのが真実である。
ただし、実際に鎧海賊団の海上での略奪および虐殺行為には目に余るものがあり、
その意味では海賊取締令は悪法とは必ずしも言えない。
旧将軍の抱える屈強な軍隊は、たった1本の刀の前にことごとく敗れ去ることとなり、
3年間のうちに12回連続で奪取に失敗している。
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清涼院護剣寺
土佐の鞘走山に居を構える寺。「大仏建立」という名目上の理由に基づき、
刀狩令によって蒐集された総計10万本の刀剣によって建てられた御仏
(通称「刀大仏」)が祀られている。大仏の建立以後、
鞘走山清涼院護剣寺は図らずも剣士にとっての聖地のような場所として観光名所の一つとなり、
全国から毎年数千人という規模の剣士がこの寺を参拝するため、
「清涼院参り」としてはるばる四国まで足を運ぶ。
護剣寺では約200名の僧侶が修行を積んでおり、
そのすべてが剣を武器に使う僧兵として聖地を守っている。
僧侶たちの用いる護剣寺流剣法は他に並び立つ流派なき無敵の流派として知られ、
清涼院参りをする剣士の何割かは出家しての弟子入りを希望するが、
選ばれし者しか教えを受けることのできない護剣寺流剣法の門は狭く、
道場破りのつもりでやってきた若武者が、足腰立たない状態で
返り討ちにされるという光景もしばしば目にされている。
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尾張幕府
旧将軍の功績を引き継ぐ形で、家鳴家が天下統一を成し遂げ、
将軍となり、尾張に構えた新幕府。
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尾張城
家鳴将軍家のお膝元、尾張の中心にそびえる城。
20年前の「先の大乱」以後、
守りを強化し、複雑怪奇な構造をした要塞と化する。
その門構えは巨大にして重厚で、軍隊でも突破は至難の業
城内は警備兵を含めた約1200人の戦闘要員が守りを固め、
さらに「家鳴将軍家御側人十一人衆」と呼ばれる
腹心中の腹心たちが将軍の側近として仕えている。
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先の大乱
現在より20年前に、奥州の顔役・飛騨鷹比等によって引き起こされた空前絶後の反乱。
家鳴将軍家が国家全土を治める尾張時代が始まってから100年以上が経ち、
平和が続いていた中で、幕府からの信頼も厚かった飛騨鷹比等が突然反旗を翻し、
全国規模の戦乱を巻き起こした。
出雲の守護者たる護神三連隊が3隊とも打ち破られ、
敦賀迷彩が天涯孤独の身になったのもこの時とされる。
あと一歩で幕府転覆というところにまで被害の規模が達していたものの、
幕府の猛烈な反撃に遭い、反乱は失敗に終わる。
この時、「大乱の首謀者」飛騨鷹比等の首を取ったのが、
のちに「大乱の英雄」として広く知られることになる、
七花の父・鑢六枝である。
飛騨一族は、幕府に対する大逆の罪で、戦火の中でとがめを除いて皆殺しにされる。
とがめは命こそ助かりはしたものの、目の前で父親を殺される体験を経て、
総白髪となる。それが現在の彼女を形成した原初体験となっている。
とがめは一族の仇討ちという野心と復讐心を内に秘め、
幕府内部でのし上がり、将軍に近づこうと目論んでいる。
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真庭忍軍
暗殺専門の忍者集団。愛称は「まにわに」。
袖のないしのび装束と、その上に巻きつけられた太い鎖がトレードマーク。
その特徴的な鎖は、いわゆる鎖かたびらの変種であり、防御具として装着している。
以前は、尾張幕府が直属の隠密たちよりも信頼を置くほどに、
幕府とは友好的な関係が築かれていたが、とがめの命を受けて絶刀『鉋』の蒐集に成功した真庭蝙蝠が
そのまま刀を持ち逃げしたことを契機として、里ごとまとめて抜け忍となり、
以後、敵対関係となる。
裏切りの理由はひとえに「金のため」であり、
暗殺のみを専門に請け負う真庭忍軍にとって、
戦のない泰平の世で生きていくことは難しく、事実、
忍法の伝承すら危ぶまれるほどに里全体が困窮していた。
そんな彼らにとって、1本売れば国が一つ手に入ると言われる四季崎記紀の完成形変体刀は
値千金の金山の巨大鉱床に等しく、刀集めが真庭忍軍の急務となっている。
里にいる47名(百幾十名?)のしのびは、鳥組・獣組・魚組・虫組の4つの派閥に
分かれて所属しており、十二頭領と呼ばれる12人の実力者たち――
鳥組は真庭鳳凰・真庭白鷺・真庭鴛鴦、
獣組は真庭川獺・真庭蝙蝠・真庭狂犬、
魚組は真庭海亀・真庭喰鮫・真庭人鳥、
虫組は真庭蟷螂・真庭蝶々・真庭蜜蜂――が、
それぞれの組を取りまとめている。
なお、「真庭魚組とか言って、海亀(ウミガメ)も人鳥(ペンギン)も魚じゃないんじゃ……?
(ていうか人鳥に至っては真庭鳥組に入っているべきだろう……)」なんて
空気を読まない突っ込みを入れる者は真庭忍軍には存在しない。
四季崎記紀の完成形変体刀がちょうど12本ということもあり、
刀集めは、自然と、十二頭領間での競争という形をとることになる。
- 真庭鳥組
- 真庭鳳凰
「神の鳳凰」。鳥組の指揮官。
真庭忍軍の実質的な統率者。
相手の身体の一部を切り取り自らに接続することによって、
その者の能力を自分の物とすることができる「忍法命結び」の使い手。
- 真庭白鷺
「逆さ喋りの白鷺」。常に言葉を逆から喋るという奇妙な話し方をする。
- 真庭鴛鴦
「巻戻しの鴛鴦」。
20本の鞭を自在に操る「忍法永劫鞭」の使い手。虫組の真庭蝶々の婚約者。
- 真庭獣組
- 真庭川獺
「読み調べの川獺」。獣組の指揮官。
物体に触れることで、それの持つ記録(物の来歴)を読み取ることができる「忍法記録辿り」の使い手。
- 真庭蝙蝠
「冥土の蝙蝠」。十二頭領の中でも群を抜いて優秀なしのびと言われる実力者。
身体を骨肉から変成させて、どんな人間にも化ける「忍法骨肉細工」の使い手。
真庭忍軍が里ごと抜け忍となるきっかけを作った男。
- 真庭狂犬
「伝染の狂犬」。
触れた相手の身体と記憶を乗っ取ることができる「忍法狂犬発動」の使い手。
- 真庭魚組
- 真庭海亀
「長寿の海亀」。
魚組の指揮官。刺突剣を用いた剣術に絶対の自信を持つ。
虚刀流を知る数少ない一人。
- 真庭喰鮫
「鎖縛の喰鮫」。
鎖と刀を組み合わせて鎖鎌のように扱う「忍法渦刀」の使い手。
- 真庭人鳥
「増殖の人鳥」。
受け身技である「忍法運命崩し」と逃避技である「忍法柔球術」という
連携忍術の使い手。情報蒐集力に定評がある。
- 真庭虫組
- 真庭蟷螂
「首狩りの蟷螂」。虫組の指揮官。
指の爪を自由自在に伸縮させる「忍法爪合わせ」の使い手。
- 真庭蝶々
「無重の蝶々」。重力を無効化できる「忍法足軽」の使い手。
鳥組の真庭鴛鴦の婚約者。
- 真庭蜜蜂
「棘々の蜜蜂」。百発百中の精度を誇る遠距離攻撃「忍法撒菱指弾」の使い手。
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相生忍軍
170年前に真庭忍軍に滅ぼされたしのびの里。
戦国時代以前に真庭忍軍と同時期に創世され、
以降数百年にわたり、互いに技・忍術を磨きながら強烈な敵対関係を続けるも、
旧将軍時代の末期に、
歴代最強と呼ばれる当時の真庭忍軍十二頭領との壮絶な戦いの末に壊滅へと追い込まれる。
生き残りのしのびも年々減っていき、
現在では左右田右衛門左衛門が
相生忍軍の最後の末裔となっている。
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因幡砂漠
因幡の国に位置する、尾張時代の日本における唯一の砂漠地帯。
元々は海岸の一部を占めるだけだったハズが、5年ほど前から拡大の一途をたどり、
ついには因幡の町はおろか鳥取藩全土を呑み込むまでに「成長」を遂げてしまう。
超速の自然災害は1年前に収まりも見せたものの、
長年因幡砂漠を管理監督していた鳥取藩も、
絶対絶大な権威を誇る家鳴幕府さえもどうすることもできず、
人の住めぬ荒野となる様を見守るしかなかった。
宇練銀閣の住まう下酷城のみがその中央に悠然とそびえ立っている。
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下酷城
因幡砂漠の中央にそびえ立つ巨大な平城。
城壁も門も堀も曲輪もない、天守閣のみが残された自然要塞で、
その地特有の蜃気楼によって、目の前まで近寄らなければ視認することができない。
城内の一室には斬刀『鈍』の所有者・宇練銀閣が静かに住んでいるが、
管理をいっさいしていないため、現在では廃墟のような荒廃ぶりを見せている。
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三途神社
神々の集う地・出雲の出雲大山に建立されている由緒正しき神社。
出雲でも桁違いに大規模な神社として知られており、
入り口の鳥居から本殿に至るまでに、1000段にもおよぶ急勾配の階段が存在する。
社は手入れの行き届いた見事な権現造(本殿と拝殿を石の間でつないだ建築様式。別名八棟造)で、
1000段の階段やその先の巨大鳥居にも恥じない立派な様を呈している。
神社内では、黒装束に身を包み、大きな白い札で顔を隠した奇妙な格好の「黒巫女」と呼ばれる女性1000人が、
それぞれ1000本の刀(千刀『ツルギ』)を帯刀している。
いわゆる「武装神社」と化しているが、
出雲という土地柄と神社という性質から、幕府でも容易に手出しできるものではなく、
現在では事実上の「自治区」となっている。
三途神社が千刀『ツルギ』を預かり武装化し始めたのは、
7年前の変革による。当時、山賊衆の頭目であった一人の女が、
神社の長を務めていた「敦賀迷彩」を含むすべての神官を殺害。
その後、千刀を引っさげて三途神社の新たな長に成り代わり、
神社を管理監督するようになる。これが現在の「敦賀迷彩」である。
同時に、敦賀迷彩は、黒巫女たち全員に千刀『ツルギ』の帯刀を命じる。
黒巫女は、いずれも男性によって虐げられ、
精神が崩壊してしまった被害者で、捨てられたのちに三途神社に
駆け込む形で生き長らえた女性ばかりとなっている。
自衛のためだけでなく、
四季崎記紀の変体刀の持つ「毒」の特性を、
壊れた心を修復する「薬」として作用させることで、
彼女たちは生き長らえているのである。
また、男たちの元から逃げたというだけで罪人として手配されている者も
少なくなく、顔を隠すための覆面として顔に札を貼っている。
そういう意味で、三途神社はいわば女性のための「駆け込み寺」「縁切り寺」
である同時に「療養所」であり、
千刀『ツルギ』は彼女たちが自我を保つための心の拠り所と言える。
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千刀流
無刀取りの一種である奪刀術にのみ特化した剣法。
帯刀しないという点で虚刀流に近しいところがあるが、
相手の刀を奪ってその刀でもって相手を倒す点で大きく異なる。
「自らは武装しない絶対の護身術(護神術)」が謳い文句。
相手が武装していれば武装しているほど、
そして相手が多ければ多いほど力を発揮するもので、
「戦場にあるすべての刀を自分の刀とする」ことがその名の由来と考えられる。
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巌流島
周防の国の南に浮かぶ小島。
100年以上前に、長刀と二刀の決戦が行われたことで有名。
鑢七花と錆白兵の「日本最強」の座を賭けた戦いが行われることになる。
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鎧海賊団
薩摩の港町を仕切る海賊団。
地域活性化のため、陸では賭博を主催し民衆の支持を得ている一方で、
海上では非道な略奪・虐殺を繰り返している。
旧将軍時代は瀬戸内海を拠点としていたが、現在は薩摩に場所を移し、
濁音港を拠点としている。団員数は二十数名で、
それを船長の校倉必が取りまとめている。
その名は、団の所有する賊刀『鎧』に由来しているが、
七尺を超える大鎧を着こなせる人間は、現在の船長である校倉必以外誰一人おらず、
鎧海賊団の旗印は、ただの象徴的な装飾品として、
長く船に乗せられているだけだった。
25年前、琉球国の巨大漁船を襲った際に生き残った一人の少年「かなら」を
雑用係として採用し、やがて賊刀の手入れをも任せるようになる。
かならの身長は、鎧の形に合わせるがごとく、その後3年間で青竹のごとく伸びていく。
かならの雑用係も5年を超えた頃、当時の船長が酒の席でかならに賊刀を着せようとしたことで、
鎧海賊団の命運が大きく変わる。彼らが自分の家族を殺した憎き仇敵であることを
忘れていなかったかならは、賊刀を着たまま体当たりを繰り返し、
鎧海賊団を殲滅させる。帰る場所をなくしていたかならは、
「校倉必」と名乗り、鎧海賊団の名はそのままに、
自らを頭目に据えた海賊を組織することを決意する。
そうしてできた新生・海賊団こそが現在の鎧海賊団であり、
この時の青年・かならこそが、現在船長を務める校倉必である。
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大盆
薩摩の港町にある円形闘技場の名称であり、
そこで行われる決闘そのものを指す。
2人の戦士が中央で戦う様を、柵の外から群衆が観戦する。
いくら壊れてもすぐに修繕がきくようにという配慮から、
広場に柵を立てただけのような簡素なつくりになっている。
決闘は賭博の対象となっており、鎧海賊団が地域貢献の一環で
2週間に一度のペースで開催されている。
賭博は本来違法行為であるが、町の民衆からの支持も厚いことから、
現在では幕府も黙認の状態となっている。
参加選手には順位付けがなされ、それが賭けの倍率にも関与する。
花形となる頂点にいるのが、鎧海賊団の船長でもある校倉必である。
流れ者の参加も可能だが、大盆の王者に挑むためには、
校倉必の手下を相手に五人抜きをして挑戦権を得る必要がある。
なお、八百長防止のために、大盆で戦う戦士が得られるものは、
原則として勝利の栄光のみとなっている。
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踊山
蝦夷地にある山で、陸奥の死霊山、江戸の不要湖と並ぶ、幕府認定の「壱級災害指定地域」の一つ。
6月においてさえ平均気温が氷点下22℃という絶対凍土の蝦夷地にそびえるその山は、
標高こそ出雲大山の半分にも及ばないが、極寒の豪雪地帯で、
春夏秋冬関係なく、一年を通して決して雪が降り止むことはない。
山頂の村には何百年も前から凍空一族という民族が暮らしており、
完成形変体刀の一つ・双刀『鎚』を代々所有している。
四季崎記紀が完成させたその時から、刀はその山にあるという。
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凍空一族
踊山の山頂の村に古来より「生息する」一族。
度重なる勧告を無視し、尾張幕府の出した「壱級災害指定地域」に住み続けている。
その特徴は、寒さに対する耐性よりもその驚異的なまでの怪力で、
一族は皆、無双としか言いようのない怪力の持ち主。
双刀『鎚』を使いこなせるであろう唯一の民族であり、
鞘なき刀の鞘となる一族。一族以外の人間を「地表人」と呼び区別している。
幕府によって踊山が災害指定されたのは日本最大の豪雪地帯であるというその土地柄ゆえと
思われがちだが、実際はその山に住まう凍空一族に対して発せられたものである。
元々の出身地は神の国・出雲で、その先祖はだいだら法師であるとさえ言い伝えられている。
凍空一族は雪崩で全滅したとされていたが、実際の真相は、
双刀『鎚』を求めてやってきた鑢七実によって一人残らず殺害されたことによる。
散歩に出ていて難を逃れた凍空こなゆきを残して、
凍空一族は一瞬にして全滅へと追い込まれてしまうのだった。
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死霊山
陸奥にある山で、蝦夷の踊山、江戸の不要湖と並ぶ、幕府認定の「壱級災害指定地域」の一つ。
木1本生えぬ過酷な環境で、その名の通り、幽霊が集う死にかけの山として知られる。
悪刀『鐚』を祀ることによって山自体を活性化し、かろうじて命脈が保たれている。
山頂では、「死霊山神衛隊」と呼ばれる100名を超える白装束の集団が
ひっそりと暮らしている。彼らは出雲の護神三連隊とも並び称される伝統ある独立軍団で、
死霊(幽霊・霊魂・人魂)と交信する「交霊術」を得意とする。
周辺の大名はおろか幕府とも完全に関係を断ち切りながらも、
かたくなに山と悪刀『鐚』の守護を続ける。
延命治療のような形で生命が保たれていた死霊山だが、
悪刀『鐚』を求めてやってきた鑢七実によって死霊山神衛隊が壊滅状態に追い込まれた上、
延命装置たる悪刀が失われてしまったことで、
今や、死者が集まる死の山自体が滅びの道を辿ろうとしている。
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不要湖
江戸にある湖で、陸奥の死霊山、蝦夷の踊山と並ぶ、幕府認定の「壱級災害指定地域」の一つ。
不要ながらくたで埋め立てられた湖。
不要湖がその名の通り湖だったのは1000年も前の話であり、
以降は、文字通り不要になったあれこれを処分するごみ捨て場として使用される。
放り込まれたがらくたが湖の底に沈殿し、堆積し、長い時間をかけて
木屑と鉄屑で構成された無機質な平原が完成した。
ありとあらゆる生命活動が停止している魔界のようなこの地において、
唯一存在し、活動を続けているのが、四季崎記紀が製作したからくり人形「日和号」である。
不要湖には四季崎記紀の工房が存在しており、1000本の変体刀のほとんどは
ココで作られたと推測されているが、
日和号は、その誕生以降、数百年にわたり、
四季崎記紀の工房に近づく人間を無差別に自動的に斬殺するという
あるじの命令を忠実に守り続けている。
なお、不要湖は、その不毛な土地柄ゆえではなく、
日和号という危険分子の存在によって災害指定されたというのが実際のところらしい。
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将棋村
出羽の天童にある村。その名の通り、将棋にゆかりのある村で、
すべての棋士にとっての聖地とも呼ぶ場所となっている。
村民のほとんどが将棋を嗜み、揉め事は全部将棋の勝負で解決するという、
村独特の掟が存在する。
かつては剣術の盛んな土地柄であったが、時代の変遷とともに
剣士の活躍の場が激減するにしたがって剣術は廃れていき、
その代わりというように、古くから栄えていた将棋が
村の象徴となった。
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心王一鞘流
将棋村に道場を構える剣術流派の一派。
無用な争いを好まず、ただ剣のみを追求するという「活人剣」をモットーとする。
尾張幕府内でも名の知れた歴史ある流派だが、
剣術の衰退とともに門下生の数も減少の一途を辿り、
いまやその流派を受け継ぐ者は現当主・汽口慚愧ただ一人となっている。
「汽口慚愧」は代々心王一鞘流の当主に受け継がれる名前であり、
現当主である十二代目汽口慚愧と先代の十一代目当主こそ孫と祖父の関係であるが、
心王一鞘流は基本的に血統によって受け継がれる流派ではない。
八代目当主が王刀『鋸』を持ち込んで以降、
歴代の心王一鞘流当主が「汽口慚愧」の名と王刀を受け継いでいる。
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百刑場
奥州の顔役・飛騨鷹比等が大名として治めていた領地であり、
また、のちに大逆の罪人となった彼が起こした反乱にかかわった者どもが
死刑に処された地。かつては京の都や尾張にも匹敵するほどに栄えていたが、
「先の大乱」で飛騨城が炎上して跡形もなく消え去り、
さらにの公開処刑ののち、数年間は処刑場としてのみ機能していたが、
以降はまったく使用されなくなる。
戦国時代に彼我木輪廻が誠刀『銓』を埋めた土地でもあり、
その上に飛騨城が建設されることとなる。
飛騨城に住んでいた飛騨鷹比等が歴史の歪みに気づき、
のちに反乱を起こすことになったのも、
すべては誠刀『銓』の持つ特性によるものとも言える。
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