
西山
(xi shan=約280m)
(2005年6月4日=晴れ)
▽ガイド 西山ダム南の保水性豊かな山塊
▽交通 路線バス708、532路の「西山水庫」で下車
▽ルート 堰堤下から南の森、さらにダム沿いへ。周回コースもある
■大都会に息づく自然
爽やかな初夏の日差しが降り注いだせいかもしれません。6月4日に行われた「大連山の会」の月例ハイキングは、大連という街の素晴らしさを改めて感じさせてくれたのです。大都会でありながら、街と人と自然がバランスよく重なり合っていると。
今回のテーマはアカシアの花を楽しみながらのハイキング。目的地は大連駅から旅順方面へバスで45分ほどの西山ダムとその南側丘陵です。集合はバス708路の停留所「西山水庫」に午前10時。この時間に集まっても山歩きが楽しめるほど、大連は自然が身近にあるということなのです。
■アカシアの森から南稜へ
朝から青空が広がる好天に恵まれたためか、参加者はこれまでで最も多い25人。日本、中国、英国人の多国籍グループで、デイパックを背負った一団はよく目立ちます。好奇の視線があちらこちらから向けられてきました。
停留所から道路を渡ってダムえん堤下の草原へ。セリ摘みに来た4月末と比べると、草は伸びて周囲の森も緑が濃くなっています。わずか1か月しか経っていないのに、装いは春から夏へと大きく変わっていました。
草原を抜けてえん堤の南側へ。ここは大小のアカシアが群生する“アカシアの森”。ややピークを過ぎたものの、白い房状の花が初夏の日差しを受けて輝いています。えん堤の南側から、東へと延びる尾根伝いの道を登ると、右手下にダム湖が広がってきました。
大連は恒常的な水不足で、ふだんはダム湖の貯水量もわずか。しかし、今年の春は雨がたくさん降ったため、いつになく豊富な水をたたえています。バックウォーターはかなり遠くへ後退しています。「今年は1996年以来の多雨らしいですよ」とSさん。後方には、中心部の高層ビル群が霞んでいます。
稜線沿いの低木が白い花をつけていました。群生しているところもあってとても鮮やかです。「どうもコデマリっぽいなぁ」とメンバーのひとり。そういえば、小さな花がいくつもかたまっている姿はコデマリを思わせます。
■植物同定楽しみながら
展望のよい第1ピークに着いたのは午前11時10分。肝心の山の名前は地図に載っていません。そこでMさんが「西山ダムですから、ここは西山でしょう」と“命名”。標高は推定280メートル。この大雑把なところが、中国の山登りの面白さでもあるのです。
ここで4人が来た道を戻り、21人で前を目指します。アップダウンが続き、草いきれと強い日差しを受けて汗が浮かんできます。「これじゃぁ、ハイキングじゃないよ、山登りだよ」。中国人のCさんが巧みな日本語でぼやいています。そんな声を聞き流しながら尾根道を進み、コースはダム湖沿いから左手へ大きく曲がり、山塊へと入って行きます。足下にはハハコグサに似た可愛らしい花が咲いています。「エーデルワイスのようですね」。花の同定も山歩きの楽しみです。
午前11時50分、下りの岩場に到着。今回のコースで最大の難所です。高低差30メートルほどですが、垂直に近いところもあり、慎重に足を運びます。「怖いよーッ!」。Cさんは悲鳴を上げています。
この難所をクリアし、その下のやや開けたところで昼食。おかずや果物が回ってきます。それぞれの作ったお弁当、持って来たデザートを交換しながら食べるのがこの会の昼食スタイル。Oさん、Mさんは相変わらず調理上手で、おにぎりや卵焼き、漬け物が好評です。
楽しい昼食時間が終わって午後1時に出発。ここから円を描くように“アカシアの森”へと向かいます。途中で見晴らしの良い場所に出てきました。見えるのはお墓のようです。「墓見岩」と独断で命名。気持ちの良い森のトレッキングコースが続きます。
■保水性豊かな山塊
感動的だったのが、谷沿いに水が流れ、せせらぎが聞こえたことでした。大連の山には数多く登ってきましたが、谷に水か流れているのを見たのは初めてです。これまでに雨がたくさん降ったことと、この森は保水性に優れているのかも知れません。まるで日本の山を歩いているようです。
自然石を組んで造った直径5メートルほどの水場があったことも驚きでした。この山塊は水が豊富なのでしょう。深さは約1メートルで、透き通っているし、水面にはアカシアの花びらが浮かんでいます。通り抜ける風が爽やかです。
ここから薮こぎで斜面を登り、えん堤真上の来た道へ合流。草原へと戻って来たのは午後2時過ぎでした。汗をかいてのどはカラカラ。バス停を通り過ぎてラーメン屋に直行です。参加者のほとんどがそのまま店内へ。お目当ては冷えた生ビール。その美味しさは格別でした。
中ジョッキ3杯の生ビールは、少しの疲労感と繊細な自然を発見した喜びとともに、体の隅々までしみわたるようでした。今度は紅葉の秋に歩いてみることにしましょう。(了)
写真は上から
西山ダム湖を右手に第一ピークで記念写真
気持ちのよい木漏れ日トレッキングが続く
森の中の水場。水面にはアカシアの花びらが浮かぶ