石門山
(shi men shan=約180m)
(2004年4月24日=晴れ)


     ▽ガイド 発着する旅客機も一望できる大パノラマ
     ▽交通  路線バス711路の「遼寧警察学校前」で下車
     ▽ルート 墓地園の舗装道から直接、山頂に登るルートも


■自然の息吹感じる縦走路

 大連のいいところは、居住地域と山塊が極めて近くにあり、
「あっ、山へ行こう。」と思えば、いとも簡単に山中に身を置くことができる点にある。先週の土曜日もそんな思いつき登山だった。
 朝起きてみると、とても天気がいい。朝7時半。顔を洗い、歯を磨いてから米を研ぎ、握り飯の準備にかかる。卵焼きも作って、すべて支度が整ったのは9時半。これでも十分過ぎるくらい、時間の余裕はある。
 午前10時に家を出て、近くのコンビニ(中国語では、その名も「便利店」〈bian li dian〉という)で缶ビール2本買い、路線バス711系統に乗る。終点近くの遼寧警察学校前で下車。目指すは大連国際空港の南側に、東西に延びる石門山(shi men shan)だ。
 午前10時半、警察学校前から西へ向かって歩き始める。アパート街「錦雲南園」(jin yun nan yuan)の裏手の舗装道を上ると、左手に踏み固められた登山道が延びていた。よく見ると、東西に3つの山系が並んでいて、ここはその真ん中にあたる。
 わずか30メートルほど登ったところで後ろを振り返ると、大連市内の中心部がよく見える。山頂では、もっと素晴らしい景色が楽しめるのでは、と期待が広がる。間もなく一組の親娘に出会い、山の名前を聞いたが「知らない」。続いてすれ違ったお年寄りにも聞いてみた。山の名前は知らないというが、地名なら知っていると教えてくれた。石街溝(shi jie gou)だという。
 この山系で最も高い頂上手前で中年夫婦に会い、再度、山の名前を聞いたが、やはり知らない、という。地図には「石門山遺跡」とあったので、「石門山ではありませんか」と質問すると、女性の方が、「名前は知らないけど、そういえば、この近くの山に日本の関東軍に関係した遺跡があった」と答えてくれた。この近くに住んでいて、よく登ってくるそうだが、山の名前にはまったく関心がなさそうだ。
 確かに、この360度の大展望を目にしていると、山の名前なんてどうでもいい、と思う。東に大連港、西に西山水庫、南に星海広場、北に大連国際空港が一望できる。これまで私が登った大頂山や台山、白雲山、尖山寺、烈士山も見渡せる。時計を見ると午前11時20分。家を出てから1時間20分しかたっていない。遠くは霞がかかってすっきり見えないが、それでもオツリがくるほどの大パノラマだ。
 ここから飛行場に近い北側の山系に移ることにした。下り坂を歩いていたところで、1人の女性が摘み草をしていた。タンポポのような草で、苦菜(ku cai)といい、味噌にからめて食べるのだという。
 山あいは墓地になっていて、その墓地の最上部の舗装道に出て来た。再び上り道となり、頂上にあるレーダー施設の手前の岩場で昼食にすることにした。目の前はきれいなアパートが並び、その向こうに飛行場が見える。離陸する旅客機が、高度を上げながら左へと旋回し、大連湾から降下してきた旅客機が滑走する。おにぎりのおかずは済んだ空気とこのダイナミックな景色。水代わりの缶ビールはさらにうまい!
 30分ほど休んで、西山水庫へと向かって出発。レーダー施設西側のピークに出て来た。どうもここがこの山系の最高峰らしい。勝手に「石門山」と決めつけた。この頂上からは、尾根に沿って登山道が続いている。尾根沿いの低木は白い花をつけている。名前はわからないが、群生して咲いている姿は華やかで、山歩きを楽しくさせてくれる。
 ピークを三つ、四つほど越えたところで、西山水庫のダムがすぐ左手に迫ってきたので、尾根から南の斜面を下ることにした。アザミに似た紫の花が美しい。木々の新緑も瑞々しく、生命感にあふれている。この季節の山歩きは心が弾む。
 斜面を下りてきたら、中日合資の製造会社の工場裏手に出て来た。午後1時30分。さらに15分ほど歩いたところで幹線道路の紅旗中路へ。運の良いことに、すぐ前は路線バス708系統のバス停だ。間もなく来たバスに乗り、自宅近くの遼寧師範大学前で下車し、帰宅したのは午後2時だった。
 わが家を中心にして、ぐるっとひと回りの“思いつき山行”。ドアツードア4時間で大連の街景色を思う存分に堪能した。都市と山が隣接した大連は、やはり住みやすく、自然環境にも恵まれた素晴らしいところだと思う。



写真は上から

 後方には高層ビルが建ち並ぶ大連の中心部が見える
 春の登山道は生命感があふれ、山歩きを楽しくさせてくれる
 アパート街の奥には大連国際空港。発着する旅客機が手に取るようだ
 下山地点で水をたたえる西山水庫