台 山
(tai shan=約150m)
(2003年6月24日=晴れ)


     ▽ガイド 星海広場の北側に連なる3つのピーク
     ▽交通  バス23、28、711、801路、路面電車202路の「会展中心」で下車
     ▽ルート 中山路の西側に続く星雲街から入山


■近所のお年寄りの散歩コースだった!

 昨夜は11時に眠ってしまったので、今朝は5時に目が覚めた。寝ぼけ眼でベッドから手を伸ばしてカーテンを少しあけてみると、前のアパートが朝日に照らされている。起き上がって空を見上げる。「うわーっ、久々の青空だ!」。寝ぼけ眼がいっぺんに覚めた。
 このところ、日本の梅雨を思わせるぐずついた天候続きで、山に登っても霧で見通しが悪かった。それだけに、すっきりと晴れ上がった今日の天気は絶好の“登山日和”だ。居ても立っても居られない。顔を洗い、歯を磨いたあと、デイパックに荷物をまとめて5時20分に出発した。
 普通ならばバスを利用するのだが、早朝なのでまだバスは走っていない。家の前でタクシーを拾い、台山の登山口となる会展中心西側の星雲街へ向かう。途中、運転手が勘違いして行き過ぎてしまったが、それでも起きてから30分後の5時30分には登山口に到着した。タクシー料金は13元。
 すでに太陽はだいぶ上がっている。登山口となるアパート街の裏手から、コンクリートの坂道を登る。こんなに早い時間なのに、山頂方面から降りてきた人たちとすれ違う。犬の散歩や体操をしている人もいる。みんな中高年。軽装で手ぶらだ。デイパックを背負い、カメラをぶら下げ、ビブラムソールのトレッキングシューズ履いている私は浮き上がっている。「いったい何をしにきたのか」「どこの国の人間だろうか」。どうやら興味の的になってしまったようだ。
 5時50分に第二展望台に到着。すでに20人ほどの人がいる。柔軟体操したり、友達と話したり、眼下の展望を眺めている人もいる。高層ビルが建ち並ぶ東側の中心街は、朝日の逆光で霞んでいるが、西側の鉄道学院方面は日差しに照らされて素晴らしい展望だ。星海広場もやや逆光気味だがよく見える。大頂山の山系もくっきりと浮かび上がっている。
 ここからコンクリートの登山道が細い地道に変わる。両側の眼下に広がる風景を見下ろしながら高度をかせぎ、第一峰に到着したのは6時。ここにも30人ほどの人がいて、大きな声で歌っている人もいる=写真上=。南側には星海広場と客船「オリアナ」号、黄海に浮かぶ島々が広がる。しかし、南側山腹の東西に建っている高圧鉄塔が邪魔だ。これがなければ最高の展望なのに残念。
 第二峰に着いたのは6時17分だった。第一峰に比べると人が極端に少ない。頂上にいたのは3人だけだった。さらに第三峰へと向かい、頂上手前の岩に朱色のペンキで「法輪大法 好」「大法好」と書かれていた。
 6時30分、第三峰に。こんなに早い時間なのに、街から工事の音が聞こえて来る。犬の鳴き声も、車の騒音、列車の警笛も聞こえて来る。街は動き始めている。ここまで来ると、前回は霧がかかって見えなかった星海公園やソフトウエアパーク、西尖山も見渡せる。さらに10分後、鉄塔の下に入った。鉄塔と高圧線の邪魔がないだけに、すっきりした展望が楽しめる。今度はここから夕日を見たいと思う。
 7時、711路のバス停「連山街」に出てきた。7時20分、帰宅。山行というより、ドアツードアわずか2時間の手軽な朝の散歩だった。



台 山 (2003年7月5日=晴れ)


■登山テーマは「下山後のおいしいビール」

 「山登りなんてもう懲り懲り」と言っていた鉄道学院留学生の竹本節子さんや小池栄子さんらに、「散歩道の延長みたいな山だから」と言ってムリヤリ引っ張り出しての山行となった。
 同行は2人のほか、留学生の坂入充さん、中国人家庭教師の査栄輝さん、そして海事大留学生の織田正さんの計6人。午前9時に鉄道学院の西門で待ち合わせして、711路のバスに乗る。9時25分、登山口に近いバス停「会展中心」で下車し、織田さんと合流。ここから路面電車の線路を渡って星雲街へと入る。
 100メートルほど歩いたところで右に折れ、アパート街の緩やかな坂道を登る。9時30分に登山口に到着。コンクリート舗道をゆっくりと登るが、日差しが強く、早くも汗が吹き出て来た。
 9時37分に第一展望台に着いて、ここでひと休み。やや霧がかかって遠くの風景は霞んでいるが、星海公園、黄海が目の前に広がる。素晴らしい展望を見ながら、小池さんがおいしそうにプカーッと一服。
 竹本さんや小池さんは、1か月ほど前に大学西側の大頂山を目指しながらも、手前のピークで引き返してきたという。疲れ果てて、「山登りなんて」となっただけに、今回の山行は満足してもらわなければならない。それだけにゆっくりと歩く。でも、みんなの足取りは確かで、バス停から歩き始めて35分ほどで第2展望台に着くことができた。
 大連市中心部や鉄道学院、星海広場、黄海が一望できる。先日、織田さんと2人で縦走した蓮花山ー迎客山ー晩霞山の山並も南北に延びて、存在感がある。ここは夜景がよさそうなので、坂入さんに「今度、夜に来ましょうよ」と提案したら、「いいですね」。しかし、女性たちは「ウーン」と言葉はなく、この案はあえなくも却下となった。
 味気ないコンクリート舗道はここで終わり。頂上へと続く道は山道になっていて、靴底に伝わって来る感触がどことなく柔らかくて気分がいい。鉄道学院方面の風景を右手に見ながら進み、10時20分に第1峰の頂上にたどりついた。全員とも元気そうだが、私と同じ思いだったのか、織田さんが気遣って、「木陰で休みましょう」。桑の実を見つけたが、食べごろの実は全て取られていた。
 元気を出して出発。小さなアップダウンを繰り返しながら、10時38分に第2峰に到着した。大パノラマを楽しみながら、さらに第3峰へと向かう。途中で竹本さんが地図を広げてこの山の位置を確認。海側には、星海公園や、軍施設近くに建っている幽霊ビルも見える。崩壊の危険があるため使用禁止となったビルだ。「ええっ、あのビルが使われていないの。なんてもったいないこと」。
 後ろを振り返れば、いま歩いて来た第1峰と第2峰を結ぶ岩場交じりの尾根が荒々しい姿を見せている。この山容だけを見ると、険しい山を縦走しているような雰囲気がある。11時10分、第3峰の山頂に。ここからは西側のソフトウェアパーク、理工大、海事大方面の展望が広がっている。再び地図で位置を確認。山頂から下界を俯瞰しながらの作業は、山登りの楽しさのひとつでもある。
 第3峰からは下りとなり、11時25分に高圧鉄塔下、11時40分に林道へと合流。さらに15分ほど歩いて連山街に出て、集合時間から3時間の山行は無事に終了した。
 軽い疲労感もあって、手ごろな行程だったが、若い査さんには物足りなかったのかもしれない。足取りが軽そうでケロッとした表情をしている。
 さぁ、ここからが「下山後においしいビールを飲む」という第2のテーマだ。医科大の火葬場の横を通って店探し。結局は中山路を渡って海洋世界の手前にある海鮮食堂に入った。行き当たりばったりの“賭け”だったが、結果的には大当たり。料理はおいしかったし、ビールもたっぷり飲んで値段も安かった。6人で締めて96元。頂上の展望に匹敵するほどの感動ものだ。
 「山登りなんて……」。そんな声は上がらなかった。さぁ、次は海岸部からせり上がっている西尖山へ!

写真は上から

尾根から見える第1ピーク。その向こうには市街地が広がる
朝の頂上付近。中高齢者がたくさんいたのには驚き!
第2ピークで記念撮影
第3ピークからは理工大学方面の展望がひらける