
官馬山
(guan ma shan=推定300m)
(2003年11月29日=晴)
▽ガイド 瓦房店市の北端にある手軽なハイキングコース。温泉郷・龍門温泉との組み合わせは最高だ。
▽交通 大連ーハルピン鉄道の許家屯駅の西側に位置する。
▽ルート 草地の山なので、踏み跡をたどって行けば簡単に頂上へ着くことができる。
■山あいに延びる鉄道と町並み一望
まるでゲームみたいな山登りをした。登る山は現地に行ってから決めよう、という"成り行き山行"である。
山仲間の岡田稔さんが11月29、30日に企画した瓦房店市許家屯鎮にある龍門温泉への「温泉&登山ツアー」(詳しくはこちら)。一行は運転手の陳尚郁さんを含めて10人。このうち、大連山の会の岡田さんと、三上吉彦さん、海事大留学生の福田知美さん、コンピューター会社勤務の古川信幸さん、英語教師のクリスチィーヌさん(マレーシア)とミッシェルさん(カナダ)、そして私の7人が山登りに参加した。
宿泊旅館の大和館から小型バスに乗り、「あの山はちょっと低いかな」「往復2時間ぐらいで登れそうな山を」などなど、車の中から山の品定め。これまで数多くの山に登って来たが、こんな自由気ままな山行は初めてである。
「あの山がよさそうですね」と、リーダーの三上さんが選んだのは、大連―ハルピン鉄道「許家屯」駅西側に位置する山だ。高くもなく、低くもない。展望もよさそうで、もしかすると山頂から渤海が見えるかもしれない。それに登りやすそうに見える。
車を降り、川を渡る。川幅は30−40メートルあるが、流れは細くて浅く、飛び石が敷かれている。ちょっと流れが淀んだところは凍り付いている。もう少し冷え込みが厳しくなれば、全面凍結するのだろう。川の流れが凍る寒さ。想像するだけで身震いしてしまう。
登り始めたのは午後1時半。緩やかで登りやすいのだが、イバラが群生していて、注意していてもズボンやコートを引っ掛けてしまう。厚めの手袋をしていても、トゲが突き刺さって痛い。
「あっ、あれは何だ」と声を上げたのは福田さんだった。動物が跳ねて通り過ぎたというのだ。「バンビのようでした」。しかし、クリスチィーヌは「ウサギのようだった」という。一瞬の印象は人によってかなり違うものだ。
山腹では牛がのんびり草を食んでいる。風もなく、気持ちの良い登りが続く。約1時間後の2時半、山頂に到着した。推定標高は約300メートル。期待した渤海は見えなかったが、幾重にも続く山並、山あいに点在する村、そして平たん部を縫うように延びる鉄道−−素晴らしい展望が広がる。
登ったからには、この山が何と言う山なのか知りたくなって来た。中国の人は山にあまり関心がないのか、名無しの山が結構ある。「この山も無名山(中国語発音で、ムーミンシャン)でしょうけどね」と、ダメもとを覚悟して、下の道路で待ってくれている陳さんに携帯電話で、地元の人に聞いてもらうことにした。
記念写真を撮って、ひと休みしてから下山。西の空に傾きかけた太陽が山肌に陰影を作り始めてきた。このコントラストが美しい。3時半、下の道路まで降りてきて陳さんと合流した。「猪瀬さん、どうせ大した山でないと思っていましたが、これが有名な山だそうですよ」と陳さん。私たちが登ったのは、官馬山と呼ばれ、古くから官馬を放牧していた山だった。比較的なだらかで牧草が豊富なのだろう。牛が草を食んでいたのも、そんな理由からなのかも知れない。三上さんの選択はズバリ的中していた。
山登りというより、ハイキングに近いお手軽山行だったが、また、この辺の山に登ってみたい、と思わせる魅力がある。そして、安全そうな山ならば、こんな楽しみ方もいいものだと思う。
写真は上から
川を渡って西側の官馬山へ
草地の気持ちいい登りが続く。でもイバラには注意を
眼下には山あいに続く鉄路がよく見える
頂上で記念撮影