爆撃開始世界に暮らす > ニューヨークTOP > 攻撃開始
アメリカによるタリバンへの爆撃開始はニューヨーク時間で10月7日のお昼ころでした。それからしばらくしてブッシュ大統領のメッセージがメディアに流されました。ちょうどその時、妻と私は、長男を連れて近くのスーパーマーケットで買い物をしていました。いつもとは違い、館内にテレビ放送の音声が流されており、聞き耳を立ててみると、それは攻撃の開始を伝えるブッシュ大統領の声でした。ところが買い物に来ているお客さんも、店員さんも、喜びも悲しみも、何も反応を示しません。誰もが何事もないかのように買い物を続け、レジを打っています。それまでとまったく何も変わったことがないのです。スーパーから出て家へ帰る道すがらも、何も誰も変わった様子はありません。私はブッシュ大統領の言葉を聞き間違えたのかと思ってしまったくらいでした。 家に着き、早速インターネットを見てみました。マスメディアのホームページには、どこにもアメリカとイギリスが攻撃を開始したことが書かれていました。テレビをつけてみると、詳細な報道がなされていました。しかし、アナウンサーの表情はむしろ沈痛で、過去にアメリカが攻撃を行った時のような「やったぞ!」という雰囲気はほとんどありません。コメントをするアメリカ政府の要人の表情もむしろ沈みがちであり、テレビのコメンテーターの中には、今後への不安を口にする人もいました。あとから考えれば、街中の人たちもきっと不安を感じていて、それゆえに平静を保つために何事もないかのように振舞っていたのでは、と思い当たりました。 この日にエミー賞の授賞式が予定されていたのですが、中止になりました。主催者はテレビのインタビューを受けて「今日は祝う日ではない」と答えていました。 お互いにお互いを不安に陥れる、という引き金を最初にひいたのが誰なのか、いろいろな主張はありますが、私にはもうわかりません。多分どちらかが引き金をひいた、といった単純な問題ではなく、社会の多くの問題が複雑に入り混じってこうした現象を生み出してしまったのでしょう。 人類がこの世に広がって以来、ずっと憎しみと戦いは続いてきたのでしょう。ニューヨークの街の人たちも、テレビのアナウンサーも、アフガニスタンやパキスタンで反米を叫ぶ人たちも、多分すべての人が不安で、どこかが間違っていることに薄々気づいているのではないでしょうか。そして誰もが気がついていないのは、自分が間違っていることなのではないでしょうか。人類がこの憎しみと不安の淵から抜け出すためには、世界中で同時多発的な、大きなパラダイム・シフトが必要なのではないでしょうか。誰が引き金をひいたかを問題にするのではなく、私たちすべてがどう変わるかが問われているのではないでしょうか。そして多分、先進国に住む私たちの責任がより大きいような気がしています。 |