ボランティアよりプロ

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 今回の事件で世界貿易センタービルが崩れ去った後、全米から救援の手が差し伸べられましたが、ボランティアたちも各地から集まりました。彼らは現場の瓦礫を取り除く作業などを手伝うつもりでやってきた人たちです。一時その数は7000人を超え、中には遠方の州から飛行機が飛ばなくなってしまっていたために、陸路で3日がかりで来た、という人もいました。現場付近では、民間団体の手によってボランティア登録センターもできたようです。多くの皆さんも神戸の大震災のことを思い出されるのではないかと思いますが、私もボランティアたちに仕事が割り振られるものとばかり思っていました。

 ところが、救出活動にあたるニューヨーク市当局は、ボランティアの人たちが作業に参加することを断り、7000人に対して解散するように求めました。そして「ボランティアの意思があるならば、街の清掃などのお手伝いをお願いしたい」と発表しました。埋もれている人たちを救出するつもりで来ていたボランティアの人たちの多くは、当然のことながら不服で、メディアの取材に対しても、市のボランティアの扱いに対して批判を述べていました。

 市当局の言い分はこうです。今回の事件の処理を行う人員には、積み重なった鉄骨をはじめとする建築構造物を切断するなどの、専門的な知識と経験が必要とされている。そのために市は既に建設会社と契約して、専門職のチームを派遣してもらっている。また事件の場所は周辺のビルの残骸がいつ崩れるかもわからない危険な場所であり、統一された行動が要求される。寄せ集めのボランティアでは人員の管理に支障をきたす恐れがある。したがって、気持ちは非常にありがたいが、現場には近づかないでいただきたい。

 非常にもっともな意見です。そして今回の事件はテロという犯罪行為であり、膨大な瓦礫の中から犯罪の証拠や犯人につながる物証を拾い出す、という作業も同時に行われています。そのような中に不特定の7000人を入れるわけにはやはり行かないでしょう。

 また現場で作業を行う人たちの慰労のために訪れたスポーツチームの選手なども、立ち入らないように求められたそうです。この件に関する市のコメントは、現場を訪れられると警備や交通整理に人手を割かなくてはならなくなる。それでは救出作業に支障をきたす。スポーツチームなどは、現場ではなく、被害者の家族がいるケアセンターを訪問して欲しい。気持ちだけで行動を起こす前に、ボランティア行為も常に情報を確認してから、ということなのでしょう。