命のおもみ

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 今回のテロ事件の犯人たちはすべて男性でした。事件に関連して各国で逮捕されたのも男性、関与が疑われている組織の人たちも男性、匿っているとされているタリバンも男性、パレスチナで歓喜をあげていたシーンに映っていたのもほとんどが男性、そしてアメリカで報復攻撃を決めているのもほとんどが男性です。宇宙人がこのシーンの報道を見たら、地球には男しかいないのか、と思ってしまうかもしれません。もっとも宇宙人に男女の区別があるかどうかはわかりませんが。

 テロ事件のあとで私の妻が言った言葉が「子どもの誕生に立ち会っていたら、こんなに簡単に人が殺せるはずがない」でした。すでに書いたように、妻は事件の少し前に初めての子どもを産んでいます。私はまさに同じことを、なかなか産道から出てこない子どもを待ちながら、妻の手を握って励ましながら考えていました。お産は大変なものです。力んで見る見る膨れ上がる妻の顔。朦朧としてくる意識。子どもの脈拍も激しくなったと思うと、ぐっと低下してしまいます。それは神々しい風景で、私は「どうして世界ではこんなに苦労して生まれてくる子どもや、その子どもが育ったおとなの命がこれほどまでに粗末にされているのだろう」と考えていました。

 それから一ヶ月ちょっとたったとき、ハイジャック犯たちは、乗客や世界貿易センタービルにいた人たち、救助に駆けつけた人たちのみならず、自らの命までを粗末にしてしまいました。私には命の価値がわかっていない、としか言いようがありません。そしてまたアメリカ政府も同様のようです。アメリカ議会で唯一報復攻撃に異を唱えた議員のバーバラ・リーさんは女性でしたが、果たしてこれは偶然でしょうか?

 「子どもを産むのは女の役目」「外の仕事は男の役目」という固定観念は、先進諸国では次第に薄れてきつつあるものの、まだまだ根強く、イスラム諸国圏を含む発展途上国ではまだまだ常識とされている、と言ってよいでしょう。もちろん女性であってもすべての人が苦労して子を産むわけでもありませんし、世の中の男がすべて出産に立ち会えば暴力がなくなる、とも思いません。しかしもし男たちが命がどうこの世に出てくるのか、その尊さを学ぶ機会を持てたらどうでしょうか?世界は少しはましにならないでしょうか?無論現在のイスラム諸国では男がお産に立ち会う、などということはとても考えられないことかもしれません。しかし、やはりどこかで命の重さを学ぶ機会を持ち、少なくとも男の子たちに憎悪や武器の使用を教えたりしなくても良い社会を早急に作る必要があるのではないでしょうか。