ダーティペア雑論

 

タイトル表記

「ダーティペア」という表記だが、あちこちで「ダーティーペア」という間違った表記が見られる。
カラオケの曲リスト、CD・ビデオ・DVDなどの店頭でのタイトル分類ではかなり多く見うけられる。 Web上でも数多くこの表記があるため、Web検索には両方を用いると、漏れがなくなる。
これに関する公式なコメントは、少なくとも私は見た覚えがない。恐らく、特に気にしていないと言うことなのだろう。
「dirty」をカタカナ表記でかく場合には、「ダーティー」であるし、「ダーティー・ハリー」では長音を入れるため、 気を付けないと、「ダーティーペア」と書いてしまうのだろう。
原作小説の時点でも「ダーティペア」だし、やはりファンとしてはきちんとした表記であってほしいものである。
科学技術の分野では、無駄な長音を省き、原音に近づけるというのが一般的で、「コンピュータ」「ドライバ」「ファジィ」 などがある。 恐らく、SFだから、このような表記法に従ったのだろう。
ちなみに、たまに「クラッシャージョー」という表記を見かけるが、「あしたのジョー」と混同しているのだろうか。 こちらは、「ダーティーペア」よりも、間違って欲しくないと思うのだが。


スター・トレックとダーティペア

アメリカで、NBC系列のオリジナルTVシリーズとして始まった「スター・トレック」(以下スタトレ)とダーティペアには、 数多くの、密接とも言える関係がある。
スタトレのオリジナルシリーズ(以下TOS/The Original Series)は、1966年放映開始で、この時点では高千穂遙も15歳で、 クラッシャージョウの原案もできる前だろう。したがって、ダーティペアから与えた影響はもちろんない。 放映当初のスタトレは、視聴率不振にあえぐほどで、3シーズン79話で終わってしまう。しかし、全米各地の地方局での 再放送によって、ファン数が増加し、ファンからのホワイトハウスへの投書によって、スペースシャトル実験機に、 「エンタープライズ」の名前が付くまでとなる。さらに、スターウォーズによるSFブームが起こり、日本でもSFに対する 関心が急激に高まってきた。そんな頃に、日本人作家初のスペースオペラとして、クラッシャージョウが生まれた。 高千穂遙によるスタトレに関する記述を見たことがないので、確信は持てないが、クラッシャージョウの原案および 執筆には影響を与えたと思われる。
スタトレの劇場作品一作目「スター・トレック 劇場版」は、1979年に公開されており、この年の2月号のSFマガジンに掲載 されたのが、ダーティペア第一作「ダーティペアの大冒険」である。
高千穂遙や安彦良和が、スタトレにどれだけの関心を持っていたかは不明だが、土器手司はそうではない。 アニメージュ1986年1月号のビデオラボでは、スタトレのビデオやLDを所有していることが紹介されているし、同じく アニメージュの土器手司倶楽部には、エンタープライズ号の絵がたびたび出ている。
TV版ダーティペアでは、早速、1話の冒頭シーンで、ディスプレイ上に表示される文字が、TOSのキャストである。 Kirk-W.SHATNER カーク-ウィリアム・シャトナー、その下は役名が見えないが、スポック-レナード・ニモイ、以下 全部TOSのメインキャストである。
TV版3話に出てくるこの左側の男の服は、劇場版TOSの制服に似ている。襟には階級章と思われるもの までついている。なんとなく、カークに似ていなくもない。
TV版21話では、遠近表現のためぼやけているが、アーサーの部屋にあるこの模型は、明らかにエンタープライズ号である。
TV版26話(ラブリーエンジェルより愛をこめて)では、エアカーでWWWA内に突入するシーンで、逃げる男の手から飛ぶ紙に、エンタープライズ号の絵が描かれている。この画像の解像度ではわからないが、ENTERPRISEという文字も書き込まれている。なお、このシーンは、DVD版では修正が入り、無地の紙となっているので、LDかビデオ、またはLD-BOX版でしか見ることができない。この直後には、ガンダムのセイラや、うる星やつらのラム、あたるが描きこまれており、これもDVD版では削除という修正が入っている。
そもそも、TV版のラブリーエンゼル号は、エンタープライズ号のデザインを元にしたものと思われる。円盤部と、 それを支える部分、下部の砲状部分という構造が似ている。エンタープライズの下部はデフレクター板で、 ラブリーエンゼル号は主砲と、役割は違うが。
1980年代、スタトレの劇場版が作られていくが、TVシリーズとしての復活もファンの望みであった。1987年に始まった 「新スター・トレック」(以下TNG/The Next Generation)は、TOSから約1世紀後の24世紀を舞台にした、新しいクルー によるTVシリーズである。TNGの作品中には、数多くの日本のアニメから取り上げられた、いわゆる"お遊び"があるが、 ダーティペアに関するものは、非常に多い。
TNG25話「恐るべき陰謀」に出てくる、惑星表面の地形図は、ケイとユリの落書きで描かれている。ユリが右側で、 ケイは逆さまになっている。
TNG31話「無言の調停者」の、舞台の星に似せたテーブルに、ケイ・ユリの文字の模様がある。
TNG35話「人間の条件」で、ライカー副長が、アンドロイドであるデータ少佐の構造をリストアップしたパッドには、 「トトロインタフェース」「ノーシカン(ナウシカ)値」という表記があり、さらにデータ少佐の部品の材料として、 ユリウムという物質が使われていることになっている。
TNG37話「埋もれた文明」において、アイコニアのゲートウェイの枠には、日本のアニメのタイトルやキャラクター名が 数多く書かれているが、その中に、"ダーティペア" "ケイ" "ユリ"とある。
TNG40話「イカルス伝説」に出てくる暗棒術の試合は、それ自体が日本の武術をかなり間違った偏見で参考にしたもので、 壁に「うるさいやつら」と書いてあったり、始める時の挨拶が「ヨロシク、オーネガチョマス」ということが有名だが、 その試合を行う台の側面には、「水」という字とともに、「ユリ」という字が書いてある。「ケイ」という字も どこかに書かれているらしい。
TNG47話「限りなき戦い」の舞台ブラスロタ星系の3つの惑星の正式名称は「ケイ」「ユリ」「トトロ」で、 ディスプレイパネルには作戦図のタイトルとして「ラブリー・エンジェル作戦」や、ユリ・ケイの表記が頻繁に 現れている。
TNG72話「愛なき関係」では、フェレンギ人トグの暗号コードが、"Kei E Yuri"で始まり、アクセスコードが、 "Kei Yuri Dirty Pair"である。
TNG135話「機械じかけの小さな生命」の話の中心である、小型の作業用ロボット、エクソコムは、ナンモがモデルである。 自意識を持ち始めたエクソコムを生命体と見なせるかどうかというストーリーだが、1体のエクソコムが犠牲になって 2体のエクソコムを助けるというラストは、TV版5話のラストに似てはいないだろうか。
スーパーバイザー、テクニカル・コンサルタントなどいくつもの仕事を兼任するマイケル・オクダが日本のアニメの 大ファンであり、美術デザイナーのリック・スタンバーグがダーティペアとうる星やつらの大ファンだという事が その原因である。ここまでやっておいて、高千穂遙、サンライズへの通知や確認はあったのだろうか?
スタトレは、その後「ディープ・スペース・ナイン」(以下DS9)、「ボイジャー」(以下VOY)、「エンタープライズ」と シリーズを作ってきた。それらの中に、TNGのような明らかなネタは見うけられない。数多くのドラマの中で だんだんと注目を浴びてきた最初の頃のTNGと違って、これらのシリーズでは既に、アメリカを代表する作品と なってしまっており、注目度が非常に高いために下手なことができなくなってしまったのだろう。
DS9の登場人物のうち、副司令官のキラ・ネリスと、科学士官のジャッジア・ダックスは、ダーティペアの 二人がモチーフではないかと考えられるが、どうだろうか。キラは、ショートカットで、男勝りで、戦闘が得意、 かつ制服などの色は赤が基本になっている。ダックスは、ロングヘアで、知的で、科学士官ということもあるが、 青が基本になっている。この二人で話が進むことは少ないが、二人でシャトルに乗った場面では、まるで ダーティペアの二人を見ているようだった。もっとも、ダーティペアコンセプトは、原作小説の段階で、各方面に 影響を与えたので、直接的な影響とは言えないかもしれないが。
TOSがダーティペアに影響を与え、ダーティペアがTNGに影響を与えたというのは、実に面白い関係である。
TOSとTNGの関係というのは、TOSという一つの作品世界を共通のものとして、未来へ時間をずらして、新たな作品TNGを 作ったということである。ダーティペアは、クラッシャージョウの世界を共通のものとして、過去へ時間をずらして 新たな作品として作られた。そして、クロスオーバーである「ドルロイの嵐」「ダーティペアの大乱戦」も作られた。 スタトレでも、TOSとTNGのクロスオーバーとして、カーク船長とピカード艦長の出会う劇場版7作目 「ジェネレーションズ」、転送機の転送バッファにいた機関主任スコッティが登場するTNG130話、スタトレ30周年 記念作品で、TOS44話「新種クアドトリティケール」とのクロスオーバーDS9 104話「伝説の時空へ」、これまた スタトレ30周年記念作品の、TOSのキャラクターとのクロスオーバーVOY44話「伝説のミスター・カトー」など、 挙げていったらきりがない。
スタトレの魅力の一つに、このクロスオーバーがある。本来独立しているはずの、話題やキャラクターなどを クロスオーバーさせることで、共通であるという世界観、繋がりを感じることでの現実感がある。ダーティペアの 魅力の一つも、この共通であるという世界観である。
スタトレがTNGを作ったのは1987年で、ダーティペアは1979年である。この特徴は、どちらが先かといえば、 ダーティペアの方が先である。ダーティペアを含めて、クラッシャージョウ、神拳李酔竜という、 この世界が発展するために、この共通の世界を持っているという特徴をもってすれば、スタトレのように 成功したのかもしれない。

18禁アニメ・18禁ゲームとダーティペア

ダーティペアは、紛れもなく、18禁でも15禁でもない。しかし、露出度の高いコスチューム、19歳の美少女二人が暴れまわるという内容から、そのような見方をされるのも事実である。

1980年頃から、1980年代後半まで、美少女アニメブームという呼ばれ方で、数多くのアニメが作られた。1990年代に入ると、もはや美少女がアニメの中心であることは普遍化してしまい、ブームという状況ではなくなった。
ダーティペアも、この美少女アニメブームの流れを汲むものである。その最たるものはうる星やつらや、プロジェクトA子であろうし、Zガンダムもその流れに乗った作品である。しかし、そういったTV作品ではなく、ビデオデッキの普及による、オリジナルビデオアニメ、略してOVAと呼ばれるものも登場してきた。
当時のビデオデッキは、やはり高額品であり、まずはマニアのものであった。子供が見ているのはやはり、TVアニメであり、OVAには大人向けの題材が要求され、そして供給された。
劇場版ガンダムの、セイラ・マスの入浴シーンを、写真撮影していた観客を見て、発想を得たという、くりぃむレモンシリーズは、まさに、その筆頭であり、18禁アニメの歴史の事実上の最初のページを飾る。
このくりぃむレモンシリーズの中で、ダーティペアと関連性があるものが、二作品ある。4作目「POP CHASER」と、10作目「STAR TRAP」だ。
4作目「POP CHASER」は、当時の有名な若手アニメーターが多数参加した作品で、全体的に作画レベルの低いくりぃむレモンシリーズにおいて、作画レベルが突出している作品である。森山ゆうじ、西島克彦、庵野秀明らとともに、土器手司も参加している。
ダーティペアの作画監督土器手司の回などに見られる、土器手司独特の美少女のカットを、数多く見ることができる。特に顔のアップのシーンに多い。
10作目「STAR TRAP」は、ダーティペアとスター・トレックのパロディ作品といえるもので、名前自体がSTAR TREK -> STAR TRAPであるし、主人公の二人は、完全にダーティペアがモデルである。
また、大きなディスプレイで、作戦の説明を受けるシーンがあるのだが、そのディスプレイがオフになる瞬間に、ユリそのものが、お遊びとして、描かれている。
関連作品として、PC-98シリーズで18禁ゲームが、フェアリーダストから出ている。

Sogna(ソニアと読む)という18禁ゲームブランドがある。比較的古株で、PC-98時代に、ゲーム中で派手なアニメーションを実現して話題になった、VIPERシリーズが有名であり、現在でもWindowsでそのシリーズは続いている。
このVIPERシリーズの中に、ダーティペアのパロディ作品が存在する。
1995年に出たVIPER-V12は、3本立ての内容で、そのうちのひとつ「ANGEL DUST」がそれである。キャラクター名は、「ケイト」「ユリア」、キャラクターデザインも、FLASHのそのままである。ストーリーも、宇宙で犯罪者を相手に・・・とそのままだ。(画像は後に出たWindows版)
また、もう少し古い、1993年のVIPER-V8では、4人組のうち二人が、TV版の二人を少し原作版に戻した感じのキャラクターデザインである。(画像は後に出たWindows版)
両作品について、Sogna自身もあまり言及したくはないらしく、公式ページ上でも、あまり情報がない。また、他の作品に比べ、宣伝があまり積極的ではない感じが見受けられる。


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