SINGLES As&Bs1976〜2004

(シングル・レヴューB)

 

ここでは、ザ・フーが1976年から1978年にキースの死、そして1982年の解散、数回にわたる再結成を経て2002年にジョンを失いながらもロック魂を見せ続ける現在に至るまでに発表したシングルをレヴューします。(但し、84年から96年に発表したシングルは私は殆ど未聴または再発モノの為割愛させて頂きます。)

 

SIDEA

SQUEEZE BOX(スクイーズ・ボックス)

SIDEB

SUCCESS STORY(サクセス・ストーリー)

1975年10月にリリースされたアルバム「THE WHO BY NUMBERS(ザ・フー・バイ・ナンバーズ)」より76年1月にシングルカットされたシングルで72年に全英9位のヒットを出した「ジョイン・トゥギャザー」以来久々に全英10位のヒットとなった。サウンドはかなりシンプルだがアレンジは結構多彩でバンジョーやアコーディオン(共にピートが演奏)を使っているのが面白い。因みに、ピートはアコーディオンを僅か10分で覚えてしまったからこの曲はシンプルになってしまったんだと言っているが・・・。歌詞は「バイ・ナンバーズ」アルバム全体が自己苦悩やロックンロールビジネスに対する猜疑心といった重いテーマが中心となった歌詞で占められているのに対してこの曲の歌詞は欲情過多の母親をテーマにした下ネタ(笑)がテーマなので苦悩のカケラも無い。(おまけにタイトルはママの胸をアコーディオンに見立てたダブルニーミングだし)

 

B面はジョン作のパワフルなロックナンバーだが歌詞は今までのジョン節と異なり「バイ・ナンバーズ」アルバムのテーマと一致したあるロックンローラーの幻滅をテーマにした内容になっているが実はこれどう考えてもピートをモデルにしたとしか思えない。(何故なら歌詞の中に「このギターを叩き壊せばきっと有名になれるぜ」とあるから)因みにビデオ「ザ・キッズ・アー・オールライト」の中でこの曲のプロモの中でジョンがマシンガンでゴールドディスクを撃ち落しているシーンは笑えるので必見おススメです。

SIDEA

WHO ARE YOU(フー・アー・ユー)

SIDEB

HAD ENOUGH(ハド・イナフ)

1978年7月にキース・ムーン生前最後のアルバム「WHO ARE YOU(フー・アー・ユー)」より先行シングルとしてリリースされたシングルで一昔前ゲートウェイのCMやアメリカの人気TVシリーズ「CSI・科学捜査班」のテーマに使われていた事もあるからひょっとしたらザ・フーを知らなくてもこの曲は聞いた事がある人も多いかも?サウンドは「バイ・ナンバーズ」で封印していたシンセを再び使い始めているがシンセ過多気味の「フー・アー・ユー」アルバムの収録曲の中では最も効果的に使われている。更に間奏のピートのアコースティックギターは流石にピートと唸らせるプレイであるし、隠し味的に使われているピアノも絶妙な効果をとっている。さらにこの曲、ピートがあの未完の大作「ライフハウス」(71年「フーズ・ネクスト」アルバムの母体)を78年に復活させる為に書かれた曲らしい。因みにこの曲はシングルテイクは短く編集されていて編集盤にもこのシングルテイクが採用されている事が多い。(一部の歌詞がカットされている)

 

B面はジョン作のポップなナンバーでロジャーがボーカルを取っている中々の佳曲だがアレンジにシンセだけではなくストリングスやホーンまで使っているからややゴテゴテの装飾過多になっている気もするが・・・。

SIDEA

YOU BETTER YOU BET(ユー・ベター・ユー・ベット)

SIDEB

THE QUIET ONE(ザ・クワイエット・ワン)

1978年9月7日にキース・ムーンが死去し、後任ドラマーに元FACES(フェイセズ)のケニー・ジョーンズを迎えてから1981年2月にアルバム「FACE DANCES(フェイス・ダンシズ)」より先行シングルとしてリリースされた。世間では新生ザ・フー再出発を受けてアルバム、シングル共に大ヒットを記録した。サウンドはキース・ムーン在籍時と異なりかなりソリッドかつポップになったがやはりこれはケニーのタイトなドラムに変わった事がやはり大きい。更にコーラスワークがかなり洗練されているがこちらはイーグルスを手掛けたプロデューサー、ビル・シムジクの手腕が見事に揮われている。歌詞は殆どラブソングを書かないピートにしては非常に珍しいタイプのラブソングである。(最もピートは僕を捨てていくんだろ、的なラブソングに近いと解釈しているが)

 

B面はライブでも頻繁に演奏されたジョン作のハードロックチューンだがある意味タイトルを含めてジョン自身のテーマソングとも言える。と言うのも歌詞の中には「お前を倒すには二言で充分だ」と歌っているのは言葉数が多くなったピートに対する揶揄ともとれてしまうし。なお、この曲ジョン自身がボーカルを取っているがかなり声がしわがれているので私が最初聞いた時はジョンに聞こえなかったくらいである。(苦笑)

SIDEA

DON'T LET GO THE COAT(ドント・レッツ・ゴー・ザ・コート)

SIDEB

YOU(ユー)

1981年5月にアルバム「フェイス・ダンシズ」よりシングルカットされたシングルだがセールス的には不振に終わっている。サウンドはザ・フーには間違いなく合ってないAORスタイルの大人しいサウンドでこれがかってのザ・フーか、と言うくらい別のバンドのサウンドに聞こえてしまう、と言うのは言いすぎか?歌詞はピートが傾倒していたインドの伝説的導師、故ミハー・ババ(この人の思想が69年に「トミー」アルバムの創作のきっかけの一つを作った)の教えの一つを元にしているらしいがどうもロジャーには言葉数が多すぎていまいち合っていないかも。(因みにミハー・ババは1925年から1969年に死去するまで一言も発する事は無かったと言われ、私の憶測ではおそらく文章とかで弟子達に教えを説いていたのでは)ただし、私個人としては「逃げ道なしの生き方をしていればどんなにキツクても何とかやっていけるさ」のくだりは非常に共感が持てます。

 

B面はジョン作のかなりストレートなハードロックチューンで(ジョンは8弦ベースも演奏している)皮肉な事に「フェイス・ダンシズ」アルバムのピート曲よりジョンの曲の方がかってのザ・フーらしさを感じさせてしまう。しかも、この曲をロジャーがボーカルを取ってるせいかよりザ・フーらしさが浮き彫りに現れてしまっているのであったりする。

SIDEA

ATHENA(アセーナ)

SIDEB

A MAN IS A MAN(ア・マン・イズ・ア・マン)

1982年9月にリリースされた(現時点で)ザ・フー名義のラストスタジオアルバム「IT'S HARD(イッツ・ハード)」より82年9月にシングルカットされたシングルであるがこのシングルもセールス的にはやはり不振に終わっている。サウンドはかってのザ・フーを彷彿させるかの如くロジャーとピートがボーカルを取り合い、マリアッチ調のホーン(ジョンの演奏か)がコーラスに絡み合うスタイルはかってのザ・フーを彷彿させるがやや空回りな感じもしてしまうが・・・。

 

B面はピート作のオードソックスなバラードで正直な話、かなり印象に残らない単調な曲で、これがあのザ・フーの曲か、と思うとかなり落胆させられるから当時のファンの落胆振りが目に浮かんでしまう・・・。

SIDEA

REAL GOOD LOOKING BOY(リアル・グッド・ルッキング・ボーイ)

SIDEB

OLD RED WINE(オールド・レッド・ワイン)

最後に少々変則的ですが今年(2004年)に発売された「THE WHO SINGLE BOX VOL1(ザ・フー・シングルボックス1)」にはシングル扱いされていたので・・・。この2曲はザ・フー名義としては88年のピートのソロアルバム「THE IRON MAN(アイアン・マン)」の中の2曲「DIG(ディグ)」と「FIRE(ファイアー)」(「ファイアー」はアーサー・ブラウンのカヴァー曲で純粋なオリジナルではない)がザ・フー名義で発表されて以来なので16年振りの待望の新曲になる。しかし、1999年にザ・フーが本格的に再結成を果たした後にジョン・エントウィッスルが2002年6月27日に死去してしまい、ザ・フーのメンバーもロジャーとピートだけになってしまったがザ・フーのメンバーは代役ベーシストに名セッションプレイヤー、ピノ・パラディーノを迎え入れ、さらに、99年より再結成時からサポートメンバーとして迎え入れたザック・スターキー(リンゴ・スターの息子:ドラムス)とジョン・バンドリック(通称ラビット:キーボード)にピートの弟、サイモン・タウンゼント(ギター・ヴォーカル)を加えた布陣でこの新曲2曲をレコーディングする。因みに新曲2曲をプロデュースしたのはサイモンである。

少々前置きが長くなりましたがまず「リアル・グッド・ルッキン・ボーイ」はエルヴィス・プレスリーで有名な「CAN'T HELP FALLING IN LOVE(邦題:愛さずにはいられない)」のイントロと一部の歌詞を引用しているが(その為曲のクレジットはピートと「愛さずに〜」の作者達との連名になっているのが面白い)曲自体はケニー・ジョーンズ時代の作風に近いミドルテンポの曲ですが予想以上に曲の出来は良い。正にベテランでなければ作る事は出来ない演奏、メロディ、アレンジと言った作風と言える。この曲は唯一ベースに元EL&Pのグレッグ・レイクをゲストに迎え入れてベースを弾いたナンバーですが残念な事にベースがいまいちミックスに埋もれて聴き取り辛いのが惜しい。

 

そして、もう1曲「オールド・レッド・ワイン」はジョン(エントウィッスル)に捧げたスローテンポのバラードナンバーだがこちらのベースはピノ(パラディーノ)が弾いている。こちらのベースはジョンほどではないにせよ良く聞こえる。そして特筆すべきはエンディングにおけるバンドの演奏でドラマテックかつハードにテンポアップしておおいに曲を見事に盛り上げる。更に注目すべきする点はロジャーのボーカルで流石に昔ほど高音は出なくなっているもののあまりボーカルに衰えが無いのは凄い。(しかも新曲2曲共に堂々としたボーカルを披露している!)因みにこの2曲はベスト盤「THEN AND NOW!1964〜2004(ゼン・アンド・ナウ1964〜2004)」で聴く事も出来ます。

 

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